イケメン王子に転生したけど、常時発動スキル【おじさん構文】でヒロイン全員リバースしたZO☆ でも悪い気を取り除くだけだから安心だね❤

椎名 富比路

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第三章 魔王の配下をリバースさせちゃうYO❤

第17話 卑劣なサキュバスを、リバースさせちゃうZO❤

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「図星だな。あんたはチチェロには、おしとやかな娘に育ってほしかった。血を流すのは、自分だけで十分だと。そこに、自分を探して魔王に掴まっちまった娘を見た。自分の庇護すべき対象が、眼の前に理想形として現れちまった。違うかい?」

 
「戯言を聞くんじゃないよ! パッパ!」

 サキュバスが煽り立てる。

 だが、オレはやめない。

「けどな、それはあんたのエゴさ。チチェロはずっとあんたを慕っていた。あんたを誇りに思っていた。それは止められん」

 現にチチェロは、強くなっている。

 チチェロはずっと、父親の背中しか見ていない。
 
「断言する。今あんたが剣を交えている少女こそ、本当の娘の姿だ。認めろよ。あんたの娘は最強になってあんたの眼の前に立っているんだぜ。あんたが一番、望んでいなかった形に! あんたと同じ、最強にな! もうチチェロは、自分で自分を守れるんだよ! 親父さんの技を受け継いで」

 剣を持つ、勇者の手が震えている。戸惑っているのか。

「わたしの言う事を聞くんだよ、パッパ」

「口を閉じていろ。NI★SE★MO★NO❤」

「う、うええ」

 オレが圧をかけると、サキュバスは口を抑えて黙り込んだ。

「本物のチチェロは、口調だっておしとやかでたくましいんだZO★ お前みたいに、Sっ気全開で呼びかけるのも悪くない。でも、それならチチェロじゃなくてもいいんDA❤」

 さあ、あとは自分で始末をつけろ。チチェロ。

「おおお!」

 チチェロが、兜の眉間に剣を突き立てた。

 兜に、ヒビが入る。

 ガシャンと、兜が割れた。

 兜の他に、コツンとなにかが地面に落ちた。

 
「これは、ワイヤレススピーカー」

 どうして、「ファンタジー世界に似つかわしくない代物」が。

「なるほどな。そういうことか」

 耳に直接呼びかけることで、相手を操っていたのか。


 なんとなくわかってきた。
 なぜ女神が、オレをこの地に招き入れたのか。
 あと、魔王の正体とかも。

「くっそー。結界も剥がれてしまったか!」

 なんの攻撃も与えていないのに、サキュバスが勝手に吹っ飛んでいる。どうもヤツの魔力は、兜に集中していたようだ。チチェロが破壊したことで、魔力が逆流したのだろう。

「さて、反撃開始だ」

 オレはワイヤレススピーカーを、倒れているサキュバスの耳に差し込んだ。
 
「なにを!?」

「知れたKO★TO❤  オレの美声を、直接耳に流し込んであげるのさ」

 ワイヤレススピーカーに、オレの魔力を注ぐ。

「いぎいいいいい!」

 サキュバスが、耳に手をかけようとした。

 だが、オレは拘束魔法でサキュバスを金縛りにさせる。

 その間にも、オレの「おじさん構文」で、サキュバスに魔力的ダメージを与え続けた。
 

「やめてやめてぇ!」

 サキュバスが、泣き叫ぶ。

「だーめ❤」

 今までさんざん、人の心を弄んできたんだ。
 次はお前が、心を乱される番だろ。

 オレは、精一杯の言霊を送り込む。
 
「おえええええええええええええええええええええええええええ!」
 
 サキュバスはうずくまり、嘔吐した。すべての魔力を吐き切り、気絶する。

 人一倍洗脳力が高い分、自分でやられるのは弱かったか。
 
 
「おお、チチェロ」

「お父さん!」

 チチェロと勇者が、抱き合う。

 だが、勇者は膝をついた。
 長年の疲労が蓄積していたのだろう。
 
「みんな。城から出ろ。ここは、オレ一人で行く」

「ムチャだ! 一人では危険だぞ」

「勇者を死なせるわけにはいかん」

 とにかく、休ませないと。

「ご心配には、及びません」

 サキュバスが、起き上がった。

「まだ、やる気か?」

「いや待て、クッコ姫よ。サキュバスの様子がおかしい」

 背負っていたコウモリの羽根が、天使の翼に変わっている。

「勇者ブレイヴァルト。ワタシの持つ最後の力にて、あなたの傷を癒やして差し上げましょう」

 サキュバスだった女性が、勇者の肩に触れる。

 ボロボロだった勇者の身体が、すぐに回復した。あれだけ傷だらけだったのに。

 なんだというのだ?

「王子ジュライよ。本来の姿に戻してくださって、感謝いたします」

「何者だ、あんたは?」

「わたしは、天使です」
 
 どうもこの女性は、オレを召喚した女神の使いらしい。
 しかし魔王に掴まって、サキュバスにされてしまったという。

 オレが邪悪な魔力を吐き出させたことで、元の姿になれたようだ。
 かなり荒療治だったが。

「ですが、ジュライ王子の力で、元の姿を取り戻せました。ワタシはこれより、天へと帰ります。魔王に力を奪われて、ワタシにはもう戦う力は残っていません。が、あなたたちの無事を祈っておりますよ」

「わかった。気を付けてな」

 天使は微笑んで、空へ帰っていった。

「しかし、ここから先はオレだけで向かったほうがいいかもしれんな。みんなは街へ戻ってくれないか?」

「ついていきます。ジュライ王子」

「頼もしいが、遠慮しよう。お父上のそばにいてあげなさい」

 チチェロが同行を求めたが、オレは丁重に断る。

「魔王はキミたちでは、歯が立たないかもしれん」

「勇者が勝てなかったからか、ジュライ王子」

「それもあるが、やつは別次元の怪物だ」
 
「どういうことだ?」

「やつはおそらく、オレと同じタイプのやつだろう」

 オレと同じ、転生者である可能性が高い。
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