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第四章 新たな仲間と、姫騎士
第28話 ウッドゴーレムと温泉
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ピオナやヴェリシモさんのナイスバディについつい目が言ってしまうけど、パロンもムッチムチなんだよね。ずっと気になっていたけど。ぽっちゃりメイドさんなのだ。
「パロンさま、最近輪をかけて、ふくよかになられていませんか?」
地雷発言を、ピオナが平然と聞き出す。
「あーっわかっちゃった? コーキの身体から生えてくるリンゴやブドウを、食べまくっているからね」
パロンが二の腕をプニプニする。
「戦闘はあるけど、狩りをする程度だからそんなに緊張感もないし。戦闘自体も危険度こそあるけど、頻度は低いんだ。動かないときは、ホントに動かないんだよね」
最近のボクたちは、移動が多くて忙しかった。しかしパロンは普段、ダンジョン攻略や開拓がなければポーション作りに引きこもっている。運動も、むくみを取る程度だし。
「ご無礼を。ハイエルフの方は、細身が多いとお聞きしましたので」
「かまわないよー。ハーフエルフが、こんな感じなんだよ」
あくまでもハーフエルフの体質なのだと、パロンは言い張る。
「でもさ、ここからだよね」
湯をすくいながら、ボクは決心する。
ダンジョンを見つけ出して、攻略しないと。調査をして、安全を確保するんだ。
お風呂の後は、ナップルとヴェリシモと夕飯を共にする。
「こんなおいしい料理を、毎日食べているのか?」
ヴェリシモが食べているのは、鶏肉の薬草焼きとフルーツの盛り合わせだ。鶏は近所の村から譲ってもらい、卵から育てた。
「うめえ。王都でもこんなに丁寧な育ち方はしねえ。コメの可能性も、広がったな。トマトとコメがこんなに合うなんて、知らなかったぜ」
オムライスを食べながら、ナップルは口周りを真っ赤にする。
使用したケチャップは、王都で取れた香辛料とトマトを加工したものだ。
「それにしても、ヴェリシモには関心だよね。人間にもアプレンテス再生を望んでいる存在がいるなんてね。おかげでこんなおいしいお魚にありつけたよ」
「人間が真っ先にこの地を見捨てたのに、ヴェリシモは大したもんじゃ……」
パロンとクコが、魚の干物をかじる。王都からの贈り物だ。
「とんでもない。当然のことをしたまでだ。実際は、ナップルたちドワーフに助けられっぱなしで。私自身は、何もしていないに等しいんだ。本当の貢献者は、ナップルたちなんだ」
二人から評価され、ヴェリシモさんは萎縮する。
「ヴェリシモさんは、この地を復活させようと色々工夫しているんでしょ? ボクも手を貸すよ」
「おかげで、ここも広くなったからね」
村を覆っていた岩山が道路の素材になり、ボクたちの村もだんだんと充実してきた。
「まさか、この土地に来てお風呂に入れるなんて思わなかったよ」
「いつもは、川で水浴びだったもんね」
ボクの肉体は、お風呂を必要としない。けど、ボクの魂としてはほしいと願っていた。火山がなさそうだから、ムリかもと思ったけど。
「温泉があるってことは、ここって火山に近いのかな?」
「だとしたらダンジョンは、火に包まれた場所なのかもね」
それから数日、パロンを連れ立って、アプレンテス地帯の調査にあたった。この付近に点在する、ダンジョンの探索だ。まだ三つしか見つけていないが、どれも例の邪教絡みの遺跡だったみたい。
岩山に覆われたダンジョンの探索は、ナップルに任せている。
「今日は、行商人さんが三人来てくださいました」
ボクたちが留守の間、ドリアードのピオナが商人と取引をしたそうだ。ネイス・クルオンに近い村から聞いて、こちらにきたとか。ウチの品物と、日用品とを交換していった。畑の防虫ポーションと、毒消しが売れたという。
「こちらの稼ぎは、珍しい作物の種をすり潰した粉だね? へえ、ニオイも強烈だ」
「それ、カレー粉だよ! やった。カレーが食べられ……」
ボクが歓喜していると、村に一人のドワーフが駆け込んできた。
「ナップル! スプルスのダンナは?」
「今は風呂だぜ。どうした?」
「急いで一緒に来てくれ! ダンジョンが出てきた!」
とうとう、ダンジョンが顔を出したか。
「私では不満か?」
「殿下! あなたが行くのは危険でさぁ! 中が火の海なんで!」
(第四章 完)
「パロンさま、最近輪をかけて、ふくよかになられていませんか?」
地雷発言を、ピオナが平然と聞き出す。
「あーっわかっちゃった? コーキの身体から生えてくるリンゴやブドウを、食べまくっているからね」
パロンが二の腕をプニプニする。
「戦闘はあるけど、狩りをする程度だからそんなに緊張感もないし。戦闘自体も危険度こそあるけど、頻度は低いんだ。動かないときは、ホントに動かないんだよね」
最近のボクたちは、移動が多くて忙しかった。しかしパロンは普段、ダンジョン攻略や開拓がなければポーション作りに引きこもっている。運動も、むくみを取る程度だし。
「ご無礼を。ハイエルフの方は、細身が多いとお聞きしましたので」
「かまわないよー。ハーフエルフが、こんな感じなんだよ」
あくまでもハーフエルフの体質なのだと、パロンは言い張る。
「でもさ、ここからだよね」
湯をすくいながら、ボクは決心する。
ダンジョンを見つけ出して、攻略しないと。調査をして、安全を確保するんだ。
お風呂の後は、ナップルとヴェリシモと夕飯を共にする。
「こんなおいしい料理を、毎日食べているのか?」
ヴェリシモが食べているのは、鶏肉の薬草焼きとフルーツの盛り合わせだ。鶏は近所の村から譲ってもらい、卵から育てた。
「うめえ。王都でもこんなに丁寧な育ち方はしねえ。コメの可能性も、広がったな。トマトとコメがこんなに合うなんて、知らなかったぜ」
オムライスを食べながら、ナップルは口周りを真っ赤にする。
使用したケチャップは、王都で取れた香辛料とトマトを加工したものだ。
「それにしても、ヴェリシモには関心だよね。人間にもアプレンテス再生を望んでいる存在がいるなんてね。おかげでこんなおいしいお魚にありつけたよ」
「人間が真っ先にこの地を見捨てたのに、ヴェリシモは大したもんじゃ……」
パロンとクコが、魚の干物をかじる。王都からの贈り物だ。
「とんでもない。当然のことをしたまでだ。実際は、ナップルたちドワーフに助けられっぱなしで。私自身は、何もしていないに等しいんだ。本当の貢献者は、ナップルたちなんだ」
二人から評価され、ヴェリシモさんは萎縮する。
「ヴェリシモさんは、この地を復活させようと色々工夫しているんでしょ? ボクも手を貸すよ」
「おかげで、ここも広くなったからね」
村を覆っていた岩山が道路の素材になり、ボクたちの村もだんだんと充実してきた。
「まさか、この土地に来てお風呂に入れるなんて思わなかったよ」
「いつもは、川で水浴びだったもんね」
ボクの肉体は、お風呂を必要としない。けど、ボクの魂としてはほしいと願っていた。火山がなさそうだから、ムリかもと思ったけど。
「温泉があるってことは、ここって火山に近いのかな?」
「だとしたらダンジョンは、火に包まれた場所なのかもね」
それから数日、パロンを連れ立って、アプレンテス地帯の調査にあたった。この付近に点在する、ダンジョンの探索だ。まだ三つしか見つけていないが、どれも例の邪教絡みの遺跡だったみたい。
岩山に覆われたダンジョンの探索は、ナップルに任せている。
「今日は、行商人さんが三人来てくださいました」
ボクたちが留守の間、ドリアードのピオナが商人と取引をしたそうだ。ネイス・クルオンに近い村から聞いて、こちらにきたとか。ウチの品物と、日用品とを交換していった。畑の防虫ポーションと、毒消しが売れたという。
「こちらの稼ぎは、珍しい作物の種をすり潰した粉だね? へえ、ニオイも強烈だ」
「それ、カレー粉だよ! やった。カレーが食べられ……」
ボクが歓喜していると、村に一人のドワーフが駆け込んできた。
「ナップル! スプルスのダンナは?」
「今は風呂だぜ。どうした?」
「急いで一緒に来てくれ! ダンジョンが出てきた!」
とうとう、ダンジョンが顔を出したか。
「私では不満か?」
「殿下! あなたが行くのは危険でさぁ! 中が火の海なんで!」
(第四章 完)
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