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第四章 配信上位勢の仲間入り!?
第23話 ミスリル銀製シールドの使い道
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急遽ダンジョン攻略をお休みして、ボクはスマホで配信を始めた。
「えっと、こんにちは。ワラビチャンネルの管理人、ツヨシです。今日はみなさんに感謝をお伝えしたいと、思います」
続いて、ワラビがミスリルのラウンドシールドを掲げる。
「ワラビです。みなさんの応援のおかげで、このミスリルの盾をいただくことができました」
ミスリルの盾とは、ダンジョン攻略に際して多大なる貢献をしたものに与えられる、トロフィーアイテムだ。
たいていのトロフィーアイテムは、動画の再生数でもらえる。ボクも、そんなもんだろうと思っていた。
動画配信の再生数ではミスリルをもらえないあたり、いかにギルドが配信者の人間性を問うているのかがわかる。
盾が収まっていた箱には、『高みを目指す者の、幸運を祈る』というメモも同梱されていた。『この盾を使って、より高難度のダンジョンを攻略せよ』って意味かな?
「偶然にも、今のワラビと近いピンク色です」
「淡い桃色で、構成されているのです」
ボクは、ミスリルの盾を撫でる。
シールドの表面には、ギルドの紋章が刻まれていた。かなり薄いのに、並の金属盾より硬いとわかる。
「すごいですね。手触りが、他の金属製アイテムと違うんですよ。若干温かいというのかな?」
「それは、微量の魔力が流れているだからだ」
センディさんが、そう教えてくれた。
ミスリルは魔法銀とも言われている。
ほとんどの金属アイテムは、魔法石などの触媒がなければ、マジックアイテムとしての効果を発揮しない。もしくは装備作成の過程で、魔法石を砕いて鉄や銅などと混ぜ合わせる。
対してミスリルは、触媒がなくても直接金属に魔力を流し込むことが可能だ。
ギルドでも貴重なアイテムで、この盾の所持者は世界中でも一〇〇人いるかどうかだという。
「どんな冒険者なんだろう。見たことないや」
「ツヨシくんはすでに、ミスリルを活用している方とはお会いしているわ」
「どこに?」
「あなたの眼の前に」
コルタナさんが、メイヴィス姫を指差す。
「あたしの召喚獣である『コンラッド』のヨロイは、ミスリル製なのよ」
メイヴィス姫が、コンラッドを呼び出す。
『ミスリルは、命のある金属なのだ』
コンラッドが、胸を叩く。
こんな身近に、ミスリルの使い手がいたなんて。どおりで強いわけだよね。
ボクは、ミスリルの盾を実際に装備してみた。
「見た目は大きいんですけど、かなり軽いです。タブレットより軽いかも」
「厳密に言うと、装備品ではありませんからね」
盾には、レプリカも収められている。アルミ製の盾に、ミスリルと同じ色を付けただけの。
つまり、このミスリルはいくらでも加工して構わないのだ。このまま盾として利用してもいいし、他の武器や防具に加工しても構わない。いわばこの盾は、ミスリルのインゴットともいえる。
なので、本格的にシールドとして活用するには、付属品の良質な固定具が必要だ。分離しているということは、このミスリルの用途は自由なわけである。
「どうしよう。こんな高価なもの」
神棚に飾っておくわけにも、いかない。これだけ強力なアイテムをくれるんだ。ギルドとしても、難易度の高いダンジョンを攻略してほしいはず。
「私の知り合いは、ミスリルをお金に変えてリタイアしたわ」
コルタナさんによると、高みに到達して気が抜けたそうだ。高齢で、危険な冒険ができる状態でもなかったらしい。
「今はお墓の中だけど、未だに参列者が来るくらい、ダンジョン攻略に貢献した人なの」
「すごいですね」
ボクは、どうしよう?
「半分コするのは、決まっているんです」
ボクとワラビで、半分ずつ活用することだけは決めていた。
「はい。じゃあ、ワラビ。お食べ」
「いただきます」
ワラビはミスリルの盾を、半分だけ食べる。飾る用のレプリカはあるんだ。ワラビにミスリルの成分を接種してもらう。
「かなりウキウキしているみたいだけど、おいしいの?」
「なんというのでしょう? フカヒレだと思っていただければ」
おいしいんだ。
ワラビの全身が、ツヤッツヤになっている。
「全身が硬質化したのに、魔法が撃てます」
ファイアーボールを、ワラビが虚空へ空打ちした。ミスリルを、液体金属化したのか。
これで、メタル進化しても魔法が使えるはず。ボクの狙い通りだね。
「ボクの方なんだけど、盾で活用するか、武器にしようか迷っています」
これからは、より強力な魔物がいるに違いない。
分厚い装甲を破る武器が、必要になってくる。
とはいえ、自分を守る装備品もほしい。
ぜいたくだけど、ちゃんと考えないと。
「じゃあ、自分を守れる武器にすればいい」
「防御も可能な、剣を作ればいいと?」
「ああ。オレに任せろ。というか、打たせてください」
なんと、センディさんが土下座で頼んできた。
「わたしからもお願いよ。ミスリルを打てるチャンスなんて、めったにないの」
ミスリルを加工するのは、鍛冶職人の憧れだという。
コメント欄も、「いいなー」という言葉で埋め尽くされていた。生産職の人たちが、書いているみたい。
そこまでなんだ。
「じゃあ、お願いします」
「よし。できあがるまでかなり時間がかかる。ダンジョン攻略やら畑の作業で、時間を潰しておいてくれ」
「はい」
本格的な高難度ダンジョンは、武器ができてから目指すとしようかな。
「では、そんな感じでいきます。ご視聴ありがとうございました」
「えっと、こんにちは。ワラビチャンネルの管理人、ツヨシです。今日はみなさんに感謝をお伝えしたいと、思います」
続いて、ワラビがミスリルのラウンドシールドを掲げる。
「ワラビです。みなさんの応援のおかげで、このミスリルの盾をいただくことができました」
ミスリルの盾とは、ダンジョン攻略に際して多大なる貢献をしたものに与えられる、トロフィーアイテムだ。
たいていのトロフィーアイテムは、動画の再生数でもらえる。ボクも、そんなもんだろうと思っていた。
動画配信の再生数ではミスリルをもらえないあたり、いかにギルドが配信者の人間性を問うているのかがわかる。
盾が収まっていた箱には、『高みを目指す者の、幸運を祈る』というメモも同梱されていた。『この盾を使って、より高難度のダンジョンを攻略せよ』って意味かな?
「偶然にも、今のワラビと近いピンク色です」
「淡い桃色で、構成されているのです」
ボクは、ミスリルの盾を撫でる。
シールドの表面には、ギルドの紋章が刻まれていた。かなり薄いのに、並の金属盾より硬いとわかる。
「すごいですね。手触りが、他の金属製アイテムと違うんですよ。若干温かいというのかな?」
「それは、微量の魔力が流れているだからだ」
センディさんが、そう教えてくれた。
ミスリルは魔法銀とも言われている。
ほとんどの金属アイテムは、魔法石などの触媒がなければ、マジックアイテムとしての効果を発揮しない。もしくは装備作成の過程で、魔法石を砕いて鉄や銅などと混ぜ合わせる。
対してミスリルは、触媒がなくても直接金属に魔力を流し込むことが可能だ。
ギルドでも貴重なアイテムで、この盾の所持者は世界中でも一〇〇人いるかどうかだという。
「どんな冒険者なんだろう。見たことないや」
「ツヨシくんはすでに、ミスリルを活用している方とはお会いしているわ」
「どこに?」
「あなたの眼の前に」
コルタナさんが、メイヴィス姫を指差す。
「あたしの召喚獣である『コンラッド』のヨロイは、ミスリル製なのよ」
メイヴィス姫が、コンラッドを呼び出す。
『ミスリルは、命のある金属なのだ』
コンラッドが、胸を叩く。
こんな身近に、ミスリルの使い手がいたなんて。どおりで強いわけだよね。
ボクは、ミスリルの盾を実際に装備してみた。
「見た目は大きいんですけど、かなり軽いです。タブレットより軽いかも」
「厳密に言うと、装備品ではありませんからね」
盾には、レプリカも収められている。アルミ製の盾に、ミスリルと同じ色を付けただけの。
つまり、このミスリルはいくらでも加工して構わないのだ。このまま盾として利用してもいいし、他の武器や防具に加工しても構わない。いわばこの盾は、ミスリルのインゴットともいえる。
なので、本格的にシールドとして活用するには、付属品の良質な固定具が必要だ。分離しているということは、このミスリルの用途は自由なわけである。
「どうしよう。こんな高価なもの」
神棚に飾っておくわけにも、いかない。これだけ強力なアイテムをくれるんだ。ギルドとしても、難易度の高いダンジョンを攻略してほしいはず。
「私の知り合いは、ミスリルをお金に変えてリタイアしたわ」
コルタナさんによると、高みに到達して気が抜けたそうだ。高齢で、危険な冒険ができる状態でもなかったらしい。
「今はお墓の中だけど、未だに参列者が来るくらい、ダンジョン攻略に貢献した人なの」
「すごいですね」
ボクは、どうしよう?
「半分コするのは、決まっているんです」
ボクとワラビで、半分ずつ活用することだけは決めていた。
「はい。じゃあ、ワラビ。お食べ」
「いただきます」
ワラビはミスリルの盾を、半分だけ食べる。飾る用のレプリカはあるんだ。ワラビにミスリルの成分を接種してもらう。
「かなりウキウキしているみたいだけど、おいしいの?」
「なんというのでしょう? フカヒレだと思っていただければ」
おいしいんだ。
ワラビの全身が、ツヤッツヤになっている。
「全身が硬質化したのに、魔法が撃てます」
ファイアーボールを、ワラビが虚空へ空打ちした。ミスリルを、液体金属化したのか。
これで、メタル進化しても魔法が使えるはず。ボクの狙い通りだね。
「ボクの方なんだけど、盾で活用するか、武器にしようか迷っています」
これからは、より強力な魔物がいるに違いない。
分厚い装甲を破る武器が、必要になってくる。
とはいえ、自分を守る装備品もほしい。
ぜいたくだけど、ちゃんと考えないと。
「じゃあ、自分を守れる武器にすればいい」
「防御も可能な、剣を作ればいいと?」
「ああ。オレに任せろ。というか、打たせてください」
なんと、センディさんが土下座で頼んできた。
「わたしからもお願いよ。ミスリルを打てるチャンスなんて、めったにないの」
ミスリルを加工するのは、鍛冶職人の憧れだという。
コメント欄も、「いいなー」という言葉で埋め尽くされていた。生産職の人たちが、書いているみたい。
そこまでなんだ。
「じゃあ、お願いします」
「よし。できあがるまでかなり時間がかかる。ダンジョン攻略やら畑の作業で、時間を潰しておいてくれ」
「はい」
本格的な高難度ダンジョンは、武器ができてから目指すとしようかな。
「では、そんな感じでいきます。ご視聴ありがとうございました」
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