底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路

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第五章 底辺配信者 対 魔族三人衆!

第39話 歴史資料館 『ピー子の城』

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『ピー子のお城』まで、ボクたちはやってきた。

 お城と言っても、そんなにガッツリした本格派ではない。外壁など、ピンク色に塗られている。攻め込まれることなど、想定していないのだろう。お菓子の家のように、ファンシーなデザインである。だが、逆にそこが不気味だ。

 城の周辺は、水路に囲まれている。橋が切り離されていて、城まで渡れない。水路では、コイの下半身をした人魚が泳いでいる。この辺は和風なんだね。

「ようこそ! ピー子のお城へ! あたしがここの主、ピー子よ!」

 ペンギン型ハーピーが、城の天井からこちらを見ている。

「あなたたちにしてもらうのは、『宝探し』よ!」

 ギギギ……と、閉ざされていた橋が降りてきた。

「この城のどこかに、カギが隠されているわ! それを見つけ出しなさい! もちろん、カギ以外にもお宝があるわ。それは、好きに持って帰りなさいな」

「お前を倒さなくていいのか?」

 センディさんが、ピー子に質問をする。

「あたしは退散するわ! 決着は、カギを手に入れてからよ! ただし、カギを手に入れるまで、城からは出さないわ。そのつもりで」

 ボクたちは、橋を渡りきった。

 同時に、橋が折りたたまれる。

「帰れないんですか?」

「引き換えしてみれば、わかるわ」

 その辺の石を拾い、城の向こう側へ放り投げた。

 なにか見えない障壁に阻まれ、石が跳ね返ってくる。

「橋の下に、コイ型の人魚がいるわね。あの人魚が、特殊な魔力障壁を作り出しているみたい」

 コルタナさんが、分析をした。

「本当にカギを手にするまで、戻れないわけね」

 人魚を倒そうにも、城の内陸側に障壁がかかっている。そのため、人魚を攻撃できない。

「行きましょう、ツヨシ」

 覚悟を決めて、メイヴィス姫から探索を開始した。

 歴史資料館と呼ばれるだけあって、異世界と地球の歴史が、絵本タッチに描かれている。都合の悪い部分とかは、カットしているんだろうな。この辺りは、歴史書と同じである。

「私はこの辺りの時代を、世界史の授業で習ったわね」

 コルタナさんが、幼少期を振り返った。

「そうなんですか?」

「ええ。当時の日本は、高度成長期だったの。時の芸術家をカモフラージュとして、大阪にダンジョンを作ったことが記されているわ」

 あの公園って、ダンジョンだったんだ。そう言われると、納得してしまうなぁ。

「宝箱ですよ、みなさん」

 ヒヨリさんが、宝箱を見つけた。

 ただの木箱な見た目が、いかにもファンタジーっっぽい。

 思えば、ダンジョンで宝箱を発見するって、そんなになかった気がする。

「ダンジョンのアイテムって、たいていモンスターからのドロップ品だよな?」

「設置したところで、モンスターが盗んでいってしまうの」

 キラキラした見た目を面白がって、鳥が巣にしたりするという。

「もしくは、特殊な魔力を帯びたお宝が、箱で自身を守っていたりするけど。それでも宝箱って、存在自体が結構レアなのよね」

 ここは、モンスターが出て来ない。だから、安心して宝を置けるのかも。

「開けるぞ」

 中身がカギなら、一発クリアだ。しかし、そう簡単にもいかない。

「ポーションだな。見た目は豪華だが」

「いえ。これ【エリクサー】ですよ! いきなり大当たりです!」

 ヒヨリさんが、興奮気味に答えた。

「エリクサーって、こんな感じなのか。実物を見たことがないから、わからねえ」

 センディさんが、ヒヨリさんにエリクサーを譲る。

「お前が持っていたほうがいいな。オレたちには、薬の知識がねえ」

「はい。じゃあピオン。おねがいします」

 ヒヨリさんが、エリクサーをピオンに預けた。

「他にも、お宝は……あったわ」

 メイヴィス姫が、江戸時代の掛け軸の裏をめくる。

 そこに、小さい宝箱が。

「なにこれ、からくり仕掛けよ」

 カギがかかっていて、メイヴィス姫では開けられない。センディさんが刀で斬っても、弾かれてしまった。

「さすがダンジョンの宝箱だな。力任せでは開かない仕組みになってやがる」

「形も、これまでとは違うわ。なにか、エリアによって形状が変わるみたい」

 コルタナさんの解錠魔法も、通じない。

 みんながあきらめようとしたとき、ワラビが宝箱を飲み込んだ。

「ワラビでも、溶かすのはムリなんじゃないかな」

「たしかに、溶解はできません。ですが、このとおり」

 なんと、宝箱が開いた状態でワラビの身体から出てきた。

「どうやったの、ワラビ?」

「パズルを解きました」

 この宝箱は、表面がスライド式のパズルになっている。ある一定の法則に則って周囲を動かすと、開く仕組みだ。ワラビは宝箱を飲み込んで、パズルを解いたのである。

「すごい。頭がいいのね?」

 コルタナさんが、ワラビを撫でた。

「いえ。こういうのはガチャガチャ動かしていれば、いずれ開くものです」

「そんな簡単なパズルでは、ないわね……」

 ワラビは元々、天才なのかもしれない。

「おっ、こっちにもあるぜ。かなりデカい!」

 センディさんが、宝箱に近づこうとした。

「それはやべー」

 ピオンが、なぜかセンディさんを横へ突き飛ばす。

 同時に、さっきまで宝箱だったものが飛びかかってきた。さっきまでセンディさんがいた床を、食い破る。

「うわ! ミミックだ!」
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