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第六章 最終決戦 黒い勇者との戦い
第45話 現在の実力
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「センディ、殺気立つのはわかるわ。でも、あなた一人で敵う相手ではないわよ?」
「わかってるよ。あいつとの力量は、見ればわかる」
どうにか、センディさんは自分の感情を抑え込む。
『戦っているとき、あの子の意思は感じなかったわ。完全に、身体を乗っ取られていたのよ』
佐護と戦ったパーティは、佐護は本能のままに攻撃行動をさせられているような印象を持ったらしい。
『頼む。オレたちの代わりに、あいつを止めてくれ』
ムリに体を起こして、リーダー格の男性が頭を下げてきた。
「そうはいっても、北海道なんて」
北海道どころか、ボクたち冒険者は他地域への移動を制限されている。隣の街に行くことさえ、複雑なギルドの手続きを踏む必要があった。よほどのことがなければ、自分たちの活動地域から出られないのだ。しかも、ボクはテイマーだ。普通の冒険者より、活動規制が厳しい。
「心配は無用です、マスターツヨシ。我々魔物は、ダンジョン間であればどこへも移動が可能です」
ワラビが、そう話してくれた。佐護がモンスターとなっているのなら、別の地域への移動も容易だろう、とのこと。
「それで、佐護氏は我々が探しても見つからないのですね? 交通機関や徒歩を使わず、ダンジョンの間を移動しているのであれば、こちらに接近する可能性もありますね」
なんぜ、ここにはワラビがいる。おそらく、魔王の侵攻にもっとも邪魔な存在が。
「そうか、わかったぜ。魔王の目的は、人間をテイムすることだったんだ!」
普通モンスターは、ダンジョンの外へは出られない。出たとしても極限まで力を制限される。地球は魔素が足りなすぎるからだ。
しかし人間をテイムすれば、モンスターの悩みは多少改善される。テイマーから、魔力を提供してもらえるから。
魔王ルクシオ・ソールはその習性を逆手に取って、自分がテイムされたフリをして、何喰わぬ顔で活動すればいい。
「ギルドは、それを危険視しているんですね?」
「そのとおりです」
ボクが問いかけると、石田さんはうなずいた。
「意思の弱い人間なら、なおさら魔王の力には抗えません。なんせ魔王は、佐護を介して上位勢の【ピグ★まり】さえ操っていたようですから」
どうもピグまりの彼氏というのも、佐護だったようである。
「ピグまりを? 魔王ルクシオは、女性ですよね? ピグまりが、同性である魔王に好意を持つなんて」
「同性だから、ピグまりのプライドをうまくコントロールできたのでしょう」
佐護をサポートしつつ、魅力的に見せていたのか。
「おそらく佐護を止められるのは、今のあなたがただけでしょう」
ミスリルにさえ魅了されないボクたちなら、魔王の魔力にも対抗できるだろう、と。
「待てよ。オレたちは四層で苦戦していたんだぜ? 勝てるわけが」
「それが、あなた方のレベルはピグまりを倒した段階で、既に四層突破レベルに達していまして」
ボクたちが攻略したテーマパークの合体魔族も、難易度で言えば六層ボスに匹敵するらしい。
「なるほどな。どおりで、成長痛がきつかったわけだ」
「大幅にレベルアップしていたのね?」
コルタナさんが肩を回す。頭痛を散らすためだろう。
「また、少々気になることも」
「なんだ?」
「実は、レベルが上限に向かうたびに、あなた方の全身も異世界の環境に最適化されていきます」
深い層へ潜れるようになる度に、ダンジョンに漂う魔力の濃度が上がっていく。つまり、異世界へ近づいていくのだという。
「地球に、住めなくなるというの?」
「そこまではいきません。異世界からいらしているコルタナさんは、地球でも平気でしょ?」
「たしかにね。では、どうなると?」
「どちらの世界へも、自由に行き来できてしまいます」
要するに、ボクたちも魔物同様、ダンジョンを自由に移動できると。
「それじゃあ、通行制限が無意味になるじゃねえか!」
「はい。ギルドとしては、対策したいのですが」
前例がないため、どう対処していいかわからないそうだ。また過剰に制限して、非常事態に高レベルの冒険者が現場に迎えない事態も避けたい。
「ですが、対策しないと」
魔王に先を越されてしまう、ってわけか。
「ワラビは、どう思う? ボクは、佐護に勝てそう?」
「ではマスターツヨシ、あなたにお聞きします。あなたは、人を殺せますか?」
ボクは、言葉をつまらせる。
「我々魔物は、個体同士に対する特別な意識など持ち合わせていません。仲間であれば同類であっても攻撃しません。ですが敵対すれば、たとえ同種族であっても倒します。あなた方ニンゲンには、倫理や法律があるでしょう。おいそれと、殺害したりはできないはず」
「ごめんなさい。軽率な質問だったよ」
「責めているわけでは、ありませんよ」
笑みに似た声色で、ワラビは告げた。
「マスターツヨシが、優しい人でよかった。たとえ魔王に操られている存在でもためらいなく殺せるニンゲンだったら、ワタシはあなたと契約などしなかったでしょう」
「ありがとう、ワラビ」
ボクは、ワラビをなでる。
プルプルと、ワラビも反応した。
「……ッ! マスターツヨシ!」
ギルド内に、緊急ブザーが鳴り響く。
「何事ですか!?」
石田さんとともに、ギルマスの元へ。
「初級ダンジョンに、膨大な魔力反応が現れた! おそらく佐護氏だ!」
「わかってるよ。あいつとの力量は、見ればわかる」
どうにか、センディさんは自分の感情を抑え込む。
『戦っているとき、あの子の意思は感じなかったわ。完全に、身体を乗っ取られていたのよ』
佐護と戦ったパーティは、佐護は本能のままに攻撃行動をさせられているような印象を持ったらしい。
『頼む。オレたちの代わりに、あいつを止めてくれ』
ムリに体を起こして、リーダー格の男性が頭を下げてきた。
「そうはいっても、北海道なんて」
北海道どころか、ボクたち冒険者は他地域への移動を制限されている。隣の街に行くことさえ、複雑なギルドの手続きを踏む必要があった。よほどのことがなければ、自分たちの活動地域から出られないのだ。しかも、ボクはテイマーだ。普通の冒険者より、活動規制が厳しい。
「心配は無用です、マスターツヨシ。我々魔物は、ダンジョン間であればどこへも移動が可能です」
ワラビが、そう話してくれた。佐護がモンスターとなっているのなら、別の地域への移動も容易だろう、とのこと。
「それで、佐護氏は我々が探しても見つからないのですね? 交通機関や徒歩を使わず、ダンジョンの間を移動しているのであれば、こちらに接近する可能性もありますね」
なんぜ、ここにはワラビがいる。おそらく、魔王の侵攻にもっとも邪魔な存在が。
「そうか、わかったぜ。魔王の目的は、人間をテイムすることだったんだ!」
普通モンスターは、ダンジョンの外へは出られない。出たとしても極限まで力を制限される。地球は魔素が足りなすぎるからだ。
しかし人間をテイムすれば、モンスターの悩みは多少改善される。テイマーから、魔力を提供してもらえるから。
魔王ルクシオ・ソールはその習性を逆手に取って、自分がテイムされたフリをして、何喰わぬ顔で活動すればいい。
「ギルドは、それを危険視しているんですね?」
「そのとおりです」
ボクが問いかけると、石田さんはうなずいた。
「意思の弱い人間なら、なおさら魔王の力には抗えません。なんせ魔王は、佐護を介して上位勢の【ピグ★まり】さえ操っていたようですから」
どうもピグまりの彼氏というのも、佐護だったようである。
「ピグまりを? 魔王ルクシオは、女性ですよね? ピグまりが、同性である魔王に好意を持つなんて」
「同性だから、ピグまりのプライドをうまくコントロールできたのでしょう」
佐護をサポートしつつ、魅力的に見せていたのか。
「おそらく佐護を止められるのは、今のあなたがただけでしょう」
ミスリルにさえ魅了されないボクたちなら、魔王の魔力にも対抗できるだろう、と。
「待てよ。オレたちは四層で苦戦していたんだぜ? 勝てるわけが」
「それが、あなた方のレベルはピグまりを倒した段階で、既に四層突破レベルに達していまして」
ボクたちが攻略したテーマパークの合体魔族も、難易度で言えば六層ボスに匹敵するらしい。
「なるほどな。どおりで、成長痛がきつかったわけだ」
「大幅にレベルアップしていたのね?」
コルタナさんが肩を回す。頭痛を散らすためだろう。
「また、少々気になることも」
「なんだ?」
「実は、レベルが上限に向かうたびに、あなた方の全身も異世界の環境に最適化されていきます」
深い層へ潜れるようになる度に、ダンジョンに漂う魔力の濃度が上がっていく。つまり、異世界へ近づいていくのだという。
「地球に、住めなくなるというの?」
「そこまではいきません。異世界からいらしているコルタナさんは、地球でも平気でしょ?」
「たしかにね。では、どうなると?」
「どちらの世界へも、自由に行き来できてしまいます」
要するに、ボクたちも魔物同様、ダンジョンを自由に移動できると。
「それじゃあ、通行制限が無意味になるじゃねえか!」
「はい。ギルドとしては、対策したいのですが」
前例がないため、どう対処していいかわからないそうだ。また過剰に制限して、非常事態に高レベルの冒険者が現場に迎えない事態も避けたい。
「ですが、対策しないと」
魔王に先を越されてしまう、ってわけか。
「ワラビは、どう思う? ボクは、佐護に勝てそう?」
「ではマスターツヨシ、あなたにお聞きします。あなたは、人を殺せますか?」
ボクは、言葉をつまらせる。
「我々魔物は、個体同士に対する特別な意識など持ち合わせていません。仲間であれば同類であっても攻撃しません。ですが敵対すれば、たとえ同種族であっても倒します。あなた方ニンゲンには、倫理や法律があるでしょう。おいそれと、殺害したりはできないはず」
「ごめんなさい。軽率な質問だったよ」
「責めているわけでは、ありませんよ」
笑みに似た声色で、ワラビは告げた。
「マスターツヨシが、優しい人でよかった。たとえ魔王に操られている存在でもためらいなく殺せるニンゲンだったら、ワタシはあなたと契約などしなかったでしょう」
「ありがとう、ワラビ」
ボクは、ワラビをなでる。
プルプルと、ワラビも反応した。
「……ッ! マスターツヨシ!」
ギルド内に、緊急ブザーが鳴り響く。
「何事ですか!?」
石田さんとともに、ギルマスの元へ。
「初級ダンジョンに、膨大な魔力反応が現れた! おそらく佐護氏だ!」
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