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4-3 ラストダンジョンへ!

飛び出すチサちゃん

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 ボクは、ゴーレムの圧迫攻撃を両腕で防いだ。手の平同士に挟まれて、動けない。

「さっきまでの威勢は、どうしたのかな? 結局、攻撃手段なんてないじゃん!」

 オンコが勝ち誇る。

 たしかに、蹴りを繰り出そうにも足も届かない。

 しかし、ボクは一人じゃないんだ。

「チサちゃん!」

 ボクは、融合による変身を解除した。

 チサちゃんが、ゴーレムの前に飛び出す。

「なにい!?」

 オンコが驚愕の表情を見せた。ボクを拘束する腕を解き、チサちゃんに反応する。

 だが、チサちゃんの火球がゴーレムのノドに命中するのが早かった。

 チサちゃんのファイアーボールを浴びて、ゴーレムの首部分が爆裂する。

「わあああ!」

 ゴーレムの頭が吹っ飛び、乗っていたオンコまで地面に落下した。

 のけぞった状態のゴーレムが、そのまま後ろへ倒れ込む。
 身体を覆っていた鉄のヨロイが、剥がれ落ちていった。
 ヨロイと操縦席をつないでいた魔力の流れが、断たれたからだろう。

「やったね、チサちゃん!」
「ハイタッチ!」

 ボクとチサちゃんが、ハイタッチをする。

 壊れたゴーレムから、オンコが這い上がった。

「オンコ、ケガはない?」
「大丈夫大丈夫。くそー。勝てると思ったのになー」

 ゴーレムの残骸をコンと叩き、オンコが悔しがる。

「仕方ない、妹よ。我々の敗北だ」
「さすが、魔王が認めただけのことはありますよ。オンコ」

 オンコのお兄さん二人は、ボクたちを認めてくれた。

「ではオンコ、約束の品を」
「うん!」

 オンコが、腰のポケットからカギを出す。昔ながらの、古めかしいカギだ。持ち手に、豪華な装飾がされてある。

「これが次のフロアのカギだ。受け取るがいい」
「戦果を期待しますよ」

 装飾から、怪しげで不思議な魔力を感じた。
 
 差し込み棒ではなく、この装飾からの魔力が重要なのだろう。

「楽しかったよダイキ! またやろうね!」
「ありがとう」

 ボクは、オンコから鍵を受け取る。

 次のフロアへ続く扉まで、オンコはボクたちを案内してくれた。

「次の魔物は強いよ。予想はできてると思うけど」
「気をつけるよ。じゃあね、オンコ」

 鍵を差し込んで、ボクらは次のフロアへ。


 次のフロアは、どこか落ち着いた雰囲気を持つ遺跡である。

 そこには、ベルガがいた。神々しい衣装を、身にまとっている。まさに、人魚姫だ。

「キミが、次の対戦相手?」
「いいえ。ワタシは、回復地点の担当です」

 ベルガの隣にはテーブルがあり、豪華な料理が並んでいる。

「そろそろ、お腹が空いてくる時間だろうと思いまして、お食事をご用意しました」
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