七人のバ美肉 ~美少女V事務所を立ち上げたら、オッサンたちしか来なかった~

椎名 富比路

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第六章 バ美肉、ライブする!

第56話 オリ曲披露

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「え~っ!」

 ゆーなちゃんが、大げさに驚いた。

「みんなもいっしょに。せーのっ。え~っ」

 会場のリスナーたちも、同じようにビックリしている。ゆーなちゃんの誘導で。

「だって、つばさちゃん。全曲カバーだよって、私たちに説明してたじゃーん」

「告知では、ね」

 いやいや、ゆーなちゃん。事前に説明したやん。

 つまり、このトークパートは茶番だ。

 ちゃんとみんな知っていたし、練習も収録もした。

「そりゃあ、作っておりますよ。だって、想定以上にチケット予約が出まして」

 オレたちのライブを、こんなに大勢の人が心待ちにしてくれたのである。

 一般のお客さんだけではない。芸能関係の方も。

「オリ曲を、ぜひ作らせてくれ」、「なんなら、ダンスの振り付けも」と。

 トントン拍子に話は進んで、今この場でオリ曲披露となった。

 今日で引退をしてしまうファン社長にも、相談をしてある。

 社長は社長業に戻るだけなので、VTuber活動はやめない。

 なので、オリ曲も積極的に歌ってもらう。

「まずは、ゆーなちゃん! どうぞ!」

 トップバッターのゆーなちゃんが、軽快なラブソングを歌った。
 ザッツ、王道な歌である。

 次は、七光ななひかりちゃん。
 娘の人気に負けない、ビューティママな歌詞を披露する。

「では、スケるとんちゃんのステージも見てもらおうか!」

 スケる豚ちゃんの歌は、架空のロボットソングだ。
 やっぱり、スキなのだろう。ノリノリで歌唱する。
 
山梨やなまし 水沢みずさわちゃんは、一人で二人の掛け合いだ!」

 一人でデュエットという、謎の技術でオーディエンスを魅了した。
 ゴリゴリの百合ソングで、山梨が低いパートを、水沢で高い声を出す。

 OYA・KATAは、念願の魔法少女ソングである。
 動きが、尋常ではない。
 決め技も張り手なのに、OYA・KATAのアバターが動くと、なんの違和感もなかった。むしろかわいい。

 オレのパートは、ちょっとダーティめな歌詞である。
 下手をすると炎上しかねない、ポリコレギリギリで攻めてみた。
 歌うのを躊躇するようなアレっぽい詩であるが、「結局ブーメランじゃん」といったオチでシメている。
 
「では最後にね。ファン社長なんですが。ここでみなさんにお知らせが」

 オレがファン社長を呼び、社長が会場に立つ。

 引退を宣言したとき、やはり悲壮な声が上がった。 

 その悲しみをふっとばすかのように、とびきり明るいコミックソングで会場を沸かせる。

 同じ歌詞を繰り返すばかりなので、子どもでも歌いやすい。
「小さい孫に聴かせても耳障りのいい曲を」と、ファン社長からリクエストをもらっていた。
 作詞家さんが、その要望に応えたのである。

 オレたちもバックでダンスして、会場と一体になった。

「ありがとうございました。それではみなさん、尾鰭おひれは六人になりますが、ここでもう一つお知らせが。なんと、新たな七人目が、この会場にいます!」
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