七人のバ美肉 ~美少女V事務所を立ち上げたら、オッサンたちしか来なかった~

椎名 富比路

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第六章 バ美肉、ライブする!

第59話 t@N.Δ/M、オンステージ

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 OYA・KATAのファンは、えらい身近にいた。
 
 よりによって、えらいカルトなキャラを推すんだな。

「まさか、ガチ恋とはいいませんよね? 元親方だって情報は、流していますよ?」

「いえ。そこまで、熱狂的なファンってわけじゃ、ないんですけど。息子は、OYA・KATAから、勇気をもらって、いるんだそうです」

 でむさんの息子さんは身体が弱く、学校も休みがちだったという。

 夢をあきらめないOYA・KATAを見て、自分も奮起し、志望校に合格したそうだ。身体も鍛えはじめ、病気にも打ち勝ったそう。

「ですから、今度は僕が、みんなの夢を応援する側に、回りたいなと。初めて、自発的に、音楽を作りたいって、思ったんです」

 今までは、できるから音楽をしていた。音楽一家だったから。

 しかし今は、自分から音楽にのめり込みたいという。

 奇妙な気分だった。

 オレたちに、そこまでの影響力があったなんて。

 ファンからのエールをいただいたことは、たくさんある。そのおかげで、今のオレがいた。

 しかし、オレたちのほうがリスナーに影響を与えているかどうかは、なかなか気付けない。

 リスナーの弱さも強さも知っているでむさんなら、オレたちの仲間になってもらいたいと思える。

「ようこそ、【尾鰭おひれなき野郎ども】へ」

 
 ~~~~~ ~~~~~ ~~~~~ ~~~~~  


 t@N.Δ/Mたんでむによる、パフォーマンスが始まった。

 さすが、トップアーティストというだけある。オレたちの予算でギリギリ集められた機材でさえ、彼は一流の楽器のように使いこなした。
 演歌歌手が出したサンバナンバーを、自分なりにアレンジして流す。

 オレたちは、そのリズムに合わせて全員で踊った。

「会場のみんなも、いっしょに踊りましょう!」

 ギャラリーを煽って、会場と一体になる。

「ありがとう、リスナーのみなさん! 今までありがとう、ファン社長! そして、新メンバーですね。t@N.Δ/Mちゃん、これからよろしくお願いします! では、みなさんありがとうございましたーっ!」


 大盛況の中、ライブは終了した。


 ライブ後の打ち上げでは、OYA・KATAが自慢の鍋を振る舞う。

 あんな激しいライブのあと、こんな豪勢な料理まで出してくれるとは。

 オレなんて、数台のビールとジュースのケースを出すので手一杯だった。

「それではみなさん。お疲れ様でした!」

 鍋をつつきながら、祝勝会を開く。

「うまい! しょう油ダシの鶏そっぷ、シンプルなのに最高!」

 散々身体を動かしたあとなので、鍋がうますぎ。

「ほな、後はよろしゅうな、でむさん」

「はい。よろしくお願いします」

 でむさんが、ファン社長にビールを注いでもらっている。

「よかったな、つばさちゃん。社長が引退するって聞いたときは、どうなるかなって思ったけどな」

「ゆーなちゃんも思っていたか。いい人が入ってきて、よかったよ」

 新たな仲間を招き、【尾鰭おひれなき野郎ども】は再始動となった。



 しかし数日後、もう一組のバ美肉ユニットが現れるなんてなあ。

 しかも、大手から。


(第六章 おしまい) 
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