七人のバ美肉 ~美少女V事務所を立ち上げたら、オッサンたちしか来なかった~

椎名 富比路

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第六章 バ美肉、ライブする!

第58話 ぼっちミュージシャンの苦悩

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「え、なにがです?」

「ですから、円谷つぶらやさん。その、新メンバー、僕、やってみたい。です」

「でむさんが?」

 オレは、改めて聞き返す。

『でむさん』というのは、t@N.Δ/Mさんの愛称だ。『迷宮』のメンバーからも、「でむたん」と呼ばれている。それがひっくり返って、【t@N.Δ/M】となった。

「メンバーから追放されて、路頭に迷っていて」

 でむさんは曲作りなどは得意なのだが、運営や金銭面、プロデュースなどは人任せにしてしまうところがある。リーダーが断った案件も、自分だけで引き受けたり。
 そこをつけこまれて、でむさんはメンバーから追い出されてしまった。

「それ、でむさんのせいじゃないですよね? プロデューサーが、悪いんじゃないですか」

 実際、迷宮のプロデューサーは悪名高い。
 メンバー同士を衝突させて、それぞれを孤立させて、自分たちのいいように操っていた。
 結局プロデューサーも、バンドから除名されている。一生、音楽業界で仕事ができなくなった。

 メンバーとも和解して、復帰と思われたが、でむさんは独立の道を選ぶ。

「せっかくの機会なので、言われるままの人生からサヨナラしようかなって。自分しか頼れない世界に、首を突っ込みたかったんです」

 これからは自立して、ソロで活動しようと考えていたという。

「案件をいただけて、ホントうれしかったです。ちょうど息子が中学に上がるところで、お金が欲しくて」

「そんな。闇バイトを引き受ける、中年男性みたいな言い方じゃないですか」

「ですね。すいません。あはは」

 オレとでむさんが、笑い合う。
 
「すいません、すいません。僕なんか、いても、邪魔、ですよね。すいません。忘れて、ください」

「いえ、ぜひいらしてください」

「ホントですか?」

「構いません。ぜひとも、ウチで活動してください」

「ありがとうございます。なんだかんだ言って、ぼっちなので不安だったんですよ」

 オレはでむさんを、秒で迎え入れた。

「ただ、アバターなどの関係で、ちょっと時間がかかりますけど」

「大丈夫です。独立してデビューする日のために、アバターは依頼してありまして」

 まじかよ、仕事早すぎだろ。

「ママは?」

紋白もんしろ しらすさんです。思い切って、頼んでみました」

 エッセイマンガのアニメ化も決まった、イラストレーターさんじゃないか。

 さすが、ビッグアーティスト! ママもビッグである。

「どうして、ウチなんです? Vになりたいなら、事務所はいくらでもありますよ」

 ましてや、でむさんは一流アーティストだ。引く手あまたに違いない。

「息子が、OYA・KATAのファンでして」

「あらまあ」
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