七人のバ美肉 ~美少女V事務所を立ち上げたら、オッサンたちしか来なかった~

椎名 富比路

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第七章 合計 十三人のバ美肉!?

第61話 ディープ・ダーク・デビル・ドリーム

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 D;Ⅳディーフォーの一人が、オレの事務所に挨拶に来た。

「どうもお久しぶりです。円谷つぶらやさん。ディープ・ダーク・デビル・ドリーム所属の【白鞘しらさや 小雪こゆき】こと、雪平ゆきひら 健介けんすけです」

「よろしく」

 面接時のような、挑戦的な瞳をしている。が、雪平くんは決してウチに敵対意識を持っているわけじゃない。

「どうしてまた、バ美肉にこだわってんの?」

「だって男子Vって、需要ないじゃないですか!」

「いやいや、スパチャ獲得率ランク上位は、だいたい男性が占めてるぞ」
 
 見識、浅すぎだろ。

「あれは男性Vが需要高めというより、あの人たちの人柄によるところが多いじゃないですか。男性Vってだけで、ハイリスクなんですよ。バ美肉するか、人外になるしかないっす」

「でもバ美肉って、いうてファン層は特殊だぞ。結構キャラクター性なんかも考えておかないと、バズったりは難しいよ」

「承知しています。だからこそ、やってみる価値はあるかなって」

 他のメンバーも、同じような志のようだ。

「とにかくキミたちは、人気者になりたいと」

「はい。俺は顔出しもしてて、他のメンバーも、ダンサーとか元アイドルとか、有名どころでユニットを組んでいます」

 先輩として、またライバル企業として、挨拶に来たわけだ。

「せっかくだけど、オレたちはそこまで、有名になりたいわけじゃないんだ」
 
「存じ上げています。だからこそ、俺は面接に落ちたんで」

 面接当時、あまりにも彼はギラつきすぎていた。声優としてパッとしないことで、行き詰まりを感じていたという。
 VTuberとしてなら、自分の声をいかんなく発揮できるだろうと。

「いや、まずは声優として天下を取ったら?」と、当時のオレはアドバイスした。

 ただ声を活かしたいだけなら、VTuberでもいいだろう。それこそ個人勢で、細々とやってもいい。
 だが、彼の場合は違う。バズりたいわけだ。
 ならば、本業で頑張ったほうがいい。

 それを聞いて、彼は一礼して面接場を後にした。

 そこからの彼は、飛ぶ鳥を落とす勢いである。

 声優アワード若手部門を、本当に取りやがった。

 で、満を持してVとなったのである。

「忙しいのに、大変じゃない?」

「はい。それでもVになるのは夢だったんで」

「そんなに、Vって憧れの職業かなあ?」

「あの。円谷さんがみんなの憧れの人だって、自覚してないんですね?」

 オレの横で、ウチのいずみ社長がニヤニヤしていた。

「でないと、硬い商売しかやろうとしない泉社長が、ファン・レバレッジちゃんなんかになりませんって」

 そう言われてもねえ。

「とにかく、俺は尾鰭おひれ超えるんで。今日はその宣戦布告に参りました」

「はい。がんばってください」

「コラボしたいとか言ったら、やってくれますか」

「いいの? まずは自分の箱を、デカくするほうがよくね?」

「そうなんですけど、いっしょになんかしたいっす」

「ありがとう。では、喜んで」

 スケジュールなどは、クリスマスライブ前後でいいかどうか確認を取った。

「では、ありがとうございました。そうだ。こちら、みなさんで」

 ありがたい。手土産までくれるとは。

「好青年やんけ。あれやったら、忙しさで潰されたりはせんやろ」

「でしょうね。多忙もバネにできそうです。オレは、そうじゃないけど」
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