七人のバ美肉 ~美少女V事務所を立ち上げたら、オッサンたちしか来なかった~

椎名 富比路

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第七章 合計 十三人のバ美肉!?

第62話 さいれんと・びぃむ

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「なんだよ。りんが断れないクライアントって、五寸いつきかよ~」

 後輩ユニットを引き連れて、くぎ 五寸いつきがオレの事務所にやってきた。顔見せをしに来たという。

「えへへ~っ。奥さんを、NTLさせてもらったぜ~っ」

 オレの隣にいる燐に、五寸が抱きつく。

 更に隣には、七光ななひかりちゃんこと菅生すごうさんも同行していた。
 彼はウチのバ美肉ユニットのメンバーであると同時に、五寸の父親でもある。

「今日は七光として? それとも」

くいパパですね。どちらかというと」

 菅生さんが、頭に手を当てて笑う。
 ちなみに杭パパとは、五寸の配信に度々現れる「リアル父」キャラだ。

「お父ちゃんまで、連れてくるとは。本気だな。五寸」
  
「でもけいとしては、よかったでしょ? どこの馬の骨ともわからん男に依頼されるよりは」

「たしかにな。で、この子たちが、お前の後輩か」

 五寸が連れてきたのは、双子の男性である。
 どちらも金髪で、ロングパンツでピアス開けてる方が兄貴、短パンタイツでアイシャドーしてる方が弟だそう。
 二人はまだ、大学生らしい。
 
「こんにちは。さいれんとびぃむの『よっく』です」

「『もっく』です」
 
 本名はもちろん違うのだが、謎の地雷系バ美肉双子として売り出すつもりだという。

 ちなみに燐が手掛けたVのイメージだと、兄貴のほうがツインテ・ミニスカ・ゴスロリ、弟をサイドテールやや美少年気味に手掛けた。ボーイッシュなのにレースの透けブラをしているという、攻めた出で立ち。

 これが燐の、マジの性癖なのかもなぁ。

 ちなみに、どうしてこうも顔見せを頻繁に行っているかは、ちゃんと理由がある。

 先日、YouTuberのなりすまし事件があったからだ。
 
「燐は、なにか事情を知ってるのか?」

「五寸が後輩を育てたいって言うから、相談に乗ってた」

 VTuberとしてはもうベテランの域に、五寸は達していた。
 そのため今後は、独立も視野に入れているという。
 ひとまず、後輩の育成を自力でやってみようと考えたらしい。
 
「極力事務所のサポートなしで、やっていけたらと思ってる」

「お前なら、やれるだろ」

けいにできて、あたしにやれないことはないっての」

「言ったな。アドバイスしてやらんぞ」

「おっと、それは困るね。よろしくおねがいしまーす」

 およそ人にものを頼む様子ではない態度で、五寸はお願いしてきた。

「しかし、天下の【アイドレス】が、バ美肉を育てることになるとはねえ」

 バーチャルタレント事務所【ペタワールド】が放つ「箱」【アイドレス】は、女性しか所属していない。
 
 てっきり彼らは、男性限定ユニットである【ボーイズ・ビート】からデビューと思っていたが。

「二人とも、セクシャリティ的には女性なの」

 おおっと、LGBTQ的な理由だったのね。

 デリケートな話題なので、これ以上の追求は避ける。

「あんましゃべらんね」

「緊張しぃなのよ、二人とも。だから、無口キャラで通そうかなって」

 やりづらそう。いちいちフォローする人物が立ってないと、いけないか。

「でも、打ち解けていけば、会話は多少できるようになるかも」

 二人は「よろしくお願いします」と、短く挨拶をした。
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