腹ペコ召喚獣VSドラゴン肉「あれ~召喚士くん、キミのペットさあ、オレの焼いた肉をガツガツ食ってますよ~」「ざこ胃袋❤」

椎名 富比路

文字の大きさ
7 / 31
~試験一日目~ 「サモナーく~ん。キミのペットちゃんはオレの焼いたドラゴン肉をおいしそーに食べてまーす」「ざこ胃袋❤」

一日目終了

しおりを挟む
「かんぱーい」

 シチサブローとテルル、協会長は、冒険者の酒場にいた。
 協会長はシードル酒、二人はリンゴジュースで乾杯をする。
 酔うと手先に影響が出てしまうためだ。

 また、テルルはガキに自分の身体を食わせる。
 アルコールの成分を食べる側に与えると、召喚士である児童にもよくない。
 召喚獣と召喚士は、精神面ならず肉体面も連動しているからだ。

「まったく、不甲斐なかったのう」

 ピーナッツをツマミながら、協会長は今日の試験を振り返る。

「しゃーねえだろ。今年は特別難しい試験にしたんだからよ」

 シチサブローも、ローストビーフとサラダを口へ放り込む。


 結局、S級召喚士認定試験の一日目は、合格者ゼロという結果に終わった。
 貴族たちは不本意だったかもしれない。
 とはいえ、ちびっ子たちにとっても同様とは言えないだろう。彼らにとって、学ぶことは大いにあったはずだ。

「なんたって、オレに頼んでいる時点で無理ゲーだっつーの」
「子どもが操る召喚獣。その胃袋を刺激するのはたやすい」

 酒場特製プリン・アラモードをチョコチョコと口へ運びながら、テルルも意見する。

「うむ。難易度を跳ね上げたのは、間違いではなかったのう」

 これまでの試験は、適当に上位の称号を与えすぎていた。S級を出した協会は、世間でも箔が付くからだ。
 前の協会長は、率先して汚職に励んでいたという。その恩恵をひた隠しにして、出来の悪い召喚士たちを輩出していった。
 しかしその結果、召喚士たちの質は著しく低下。冒険者たちの信用問題にまで発展する。汚職の主犯であった前任協会長は、更迭された。
 
 現協会長は現状を憂慮し、認定試験の難易度を跳ね上げる。
 食欲に打ち勝つ。シンプルでいて、恐ろしく奥が深い。舐め腐っていると、足下をすくわれる。失敗したときに生じる、恥のかき方も段違いだ。戦闘とは違った難しさを要求される。

「魔王が倒されて平和ボケした結果、無能な召喚士が増えた。名ばかりS級召喚士では、この国を守ることなどできんじゃろう」
「だな。クズばっかりだった」

 姫騎士親子なんて、特例中の特例だろう。あんな筋を通せる召喚士ばかりだったらよかったのだが。

「負けたヤツらのほとんどが、前任協会長派だっているから笑えねえ」
「ワシが協会長になったからには、好き勝手させんわい」
「もっと根性があって力も精神面も申し分ない人物が召喚士には相応しい、ってのはわかるぜ。けどよ」

 そこまでの人間がこの時代にいるとはとても……。

「あっ!」

 一人の少年が、冒険者に足を引っかけられて転倒した。トレイに載っていた料理が、床に散らばる。

「ここはガキの来るところじゃねえんだよ」
「とっとと国に帰りな。質の悪い召喚士が!」

 冒険者たちが、床に伏している少年をあざ笑う。
 少年の足を引っかけた男は、やせているシーフ。相棒の大男は、斧を担いでいた。
 シチサブローから見て、どちらも弱そうに見える。

「なんだと! ご主人を甘く見るな!」

 少年が連れている召喚獣が、冒険者に食い下がった。ネコミミの映えた獣人で、ジャケットと短パンを着ている。見たところ【ケットシー】だ。ネコ型の召喚獣だが、服を着て二足歩行で立っている。

 となると、あのケットシーは少年の召喚獣か。

「んだぁ? ケンカ売ってんのか? テメエらみたいな出来の悪い召喚士共のせいで、俺たちがどれだけ尻拭いをさせられてるかわかってんのか?」
「なにを? 自分が弱いのを召喚士のせいにするなっ!」

 ケットシーが、冒険者の顔をひっかく。

「てめえ、俺の顔に傷を!」

 大柄の冒険者が、岩のような拳を振り上げた。

「このお、ケットシー如きがっ!」
「やめな」

 シチサブローが、片手で冒険者の手首を掴む。

「いでででで! なんて力だ!」
「食い物を粗末にするヤツは」

 相手の腕を背中までひねり回し、シチサブローは思いきり締め上げる。

「出て行け」

 冒険者の背中を、シチサブローは思い切り蹴り上げた。

 蹴られた冒険者は、店の外まで放り出される。

「次に追い出されたいヤツら、前に出やがれ」

 単なる料理人に、歴戦の冒険者が足蹴にされた。その事実を突きつけられたからか、他の客からのおちょくりが止む。

「今度は、ウチが相手になる」

 加えて、ドラゴンの娘まで参戦してきた。シッポをジャブのように振っている。

「いつから市民を守る冒険者様は、その市民を弱い者イジメをするようになったんだ? 質が低下したのはどっちだって話だよな? 教えろよ。おいそこのやつよ、え?」

 足を引っかけた冒険者を煽り、ウザ絡みを始めた。

「か、勘弁してくれ」
「してやらん。お前は絶対に許さねえ。食い物を大事にしないヤツはな。おいテルル、絞め殺せ」

 テルルのシッポが、男の首に巻き付く。

「よ、よせ! ホントに勘弁してくれっ!」
「だったらなんて言うんだ? ママに習わなかったのか?」

 男を解放し、両膝を蹴り上げ、床に付けさせる。

「あとは何をすればいいか、わかるな?」

 シチサブローは、氷のような冷たい声で言い放った。
 男の前には、さっき転ばされた少年が尻餅をついたままでいる。
 怯えた男は、床に手を突く。

「も、申し訳ありません」
「いい子だ。なあお前、許してやってくれるか?」

 シチサブローが聞くと、少年はコクコクとうなずいた。

「行け。あと弁償しろ」

 金を床に投げ落とし、男が泣きながら逃げ出す。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜

mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
【週三日(月・水・金)投稿 基本12:00〜14:00】 異世界にクラスメートと共に召喚された瑛二。 『ハズレモノ』という聞いたこともない称号を得るが、その低スペックなステータスを見て、皆からハズレ称号とバカにされ、それどころか邪魔者扱いされ殺されそうに⋯⋯。 しかし、実は『超チートな称号』であることがわかった瑛二は、そこから自分をバカにした者や殺そうとした者に対して、圧倒的な力を隠しつつ、ざまぁを展開していく。 そして、そのざまぁは図らずも人類の命運を握るまでのものへと発展していくことに⋯⋯。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎
ファンタジー
 伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。  その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。  出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。  そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。  大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。  今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。  ※ハッピーエンドです

処理中です...