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試験最終日 「食欲に勝てないとか、魔王として恥ずかしくないの?」「よわよわ胃袋❤」
東洋の仙人、【九尾の狐】
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『S級召喚士認定試験最終日、第一回戦はまさかの自滅エンドという結果に終わりました! 協会長、この試合をどう見ましたか?』
「想像も付かんかった。見事な散り際じゃった。黒魔術界が誇ってよい逸材じゃったのに、惜しいことをしたのう」
『壮絶な開幕戦を終えた次なる試合、果たしてどんなドラマが待っているのでしょう? では二人目の選手が入場します!』
次に現れたのは、着物を着た東洋人の娘だ。これまでの挑戦者の中で、最も容姿が幼い。しかし、服装は一番大胆である。肩ははだけ、歩くだけで着物の足にきわどいスリットが入った。
東洋娘が連れているのは、頭から尖った狐耳の生えた少年である。ラッシュガードという垢抜けた服装に、サングラスというふざけたルックスだ。頬からは、鋭利なヒゲが突き出ていた。
「フォフォフォ。これだけの人垣、照れるのう」
話し方はまるで老人なれど、親しみやすそうなルックスである。
『さて続きましては、ミアズマ国・白輪神社出身、テンドー選手です。その相棒は、なんと伝説の妖怪【妖狐】! またの名を【九尾の狐】であります!』
妖怪とは。東洋にしか棲息していない魔物で、シチサブローも実物は初めて見る。
中でも妖狐は通称、「召喚獣界の仙人」とも呼ばれていた。酒に変えた雨をひょうたんに詰めて、霞を肴に食うという。それだけで、ほぼ千年は生きるとか。
「いやあ、お若いの。お主が審査員のシチサブロー殿か。お手並み拝見といこうかのう?」
妖狐が「フォフォフォ」と、特徴的な笑みを浮かべる。
「その見た目だと、どっちが若いのかわからんな」
実に美少年、いや好々爺という印象だ。とはいえ、サングラスの奥に光る眼光は、強者の威光を放つ。なにより際立つのは、スパッツの臀部から生えた九本のモフモフ尻尾である。
「モフモフだな」
「さわりたいモフモフ」
シチサブローだけでなく、テルルも夢中だった。
『東洋最強の幻獣【妖狐】を操れる召喚士は、召喚士を多く輩出してきた白輪神社でさえ、歴史上たった三人だけです! それだけ、このテンドー選手は実力者と言えるでしょう』
「当たり前でござる。西洋のポンコツガキと一緒にするんじゃないでござる」
独特の方言で、幼女はつり上がった眼をさらに細めた。
『さて、東洋の召喚士は、祖国初となるS級の称号を土産に持ち帰ることができるのか。相対するは、ここまで幾多の実力者を飲み込み、無敵とされているドラゴン肉。はたして、東洋の仙人にも通用するのか? ゴングが鳴りました。試合開始です!』
シチサブローが、肉を焼き始める。できあがったモノを出してもよかった。しかし、匂いを出すことで更に勝率を上げていく。
『さて、これまで数々の挑戦者を飲み込んできた、目の前での調理作戦! ですが、仙人に反応なし。不敵な笑みを浮かべるだけ!』
「フォフォフォ。仙人は食欲が元々ないでのう。お主の誘惑なんぞに屈指はせん」
言うとおり、仙人召喚獣はドラゴン肉に見向きもしない。
「ああ、たしかテメエも、マナの塊だったよな? ウチのテルルと同じだ」
「左様じゃ。お主ではワシには勝てんよ」
「そいつぁ、勝ってから言うんだな。今発言すると、負けたときに後悔するぜ」
「後悔させてから、言うんじゃな。フォフォフォ……」
これだと、ドラゴン肉は処分になる。シチサブローの胃袋行きになる可能性が高い。
だが、負けるつもりもなかった。
「若造。草食の幻獣すら手玉に取るお主の手腕。装備品の恩恵があるとはいえ、見事なり」
妖狐の指摘通り、アクセサリはオシャレのためではない。すべて、「魅了効果」を持つアイテムだ。テンプテーションの効果を、ドラゴンのシッポに振りまいているのである。
「コイツは料理をうまくするために、腕によりを掛けた特注だ。どんな聖人君子ですら野獣に変える。ガキに操られた召喚獣の胃袋が、コイツに勝てるわけがない」
調理しながら、シチサブローはアクセをジャラリと鳴らす。シチサブローは決して、チャラい男なわけではない。装飾品にいたるまで、すべてに意味があるのだった。
「フォフォフォ。たしかにのう」
相変わらずあぐらをかきながら、妖狐はヒゲを指で整える。
「ズルだと言いてえのか?」
「とんでもない。そこまでしてやらんと、彼らは勝ったときに調子に乗るでのう。実戦では役に立たぬじゃろう」
少なくとも、これまでの戦績はシチサブローの実力、と妖狐はいいたげだ。
「じゃが、その力を持ってしても、この妖狐の心を折ることはできんぞ」
余裕綽々で、妖狐は空腹を凌ぐ。腹の虫が鳴っているかすら怪しい。
「随分と若いじゃねえか。最年長の召喚獣を、最年少の召喚士が操るとは」
異国の召喚士テンドーは、この学校でもっとも幼い、六歳での挑戦となる。
「うむ。後継者がおらぬから、大急ぎで仕込んだのじゃ。それでも、ワシを顕現できるレベルまで見事に育ったもんじゃ。若いと言えど、他の召喚士には負けぬ。その証拠に、ほれ」
妖狐が、時間を示す大型砂時計を指した。
あと二分を切っている。
「想像も付かんかった。見事な散り際じゃった。黒魔術界が誇ってよい逸材じゃったのに、惜しいことをしたのう」
『壮絶な開幕戦を終えた次なる試合、果たしてどんなドラマが待っているのでしょう? では二人目の選手が入場します!』
次に現れたのは、着物を着た東洋人の娘だ。これまでの挑戦者の中で、最も容姿が幼い。しかし、服装は一番大胆である。肩ははだけ、歩くだけで着物の足にきわどいスリットが入った。
東洋娘が連れているのは、頭から尖った狐耳の生えた少年である。ラッシュガードという垢抜けた服装に、サングラスというふざけたルックスだ。頬からは、鋭利なヒゲが突き出ていた。
「フォフォフォ。これだけの人垣、照れるのう」
話し方はまるで老人なれど、親しみやすそうなルックスである。
『さて続きましては、ミアズマ国・白輪神社出身、テンドー選手です。その相棒は、なんと伝説の妖怪【妖狐】! またの名を【九尾の狐】であります!』
妖怪とは。東洋にしか棲息していない魔物で、シチサブローも実物は初めて見る。
中でも妖狐は通称、「召喚獣界の仙人」とも呼ばれていた。酒に変えた雨をひょうたんに詰めて、霞を肴に食うという。それだけで、ほぼ千年は生きるとか。
「いやあ、お若いの。お主が審査員のシチサブロー殿か。お手並み拝見といこうかのう?」
妖狐が「フォフォフォ」と、特徴的な笑みを浮かべる。
「その見た目だと、どっちが若いのかわからんな」
実に美少年、いや好々爺という印象だ。とはいえ、サングラスの奥に光る眼光は、強者の威光を放つ。なにより際立つのは、スパッツの臀部から生えた九本のモフモフ尻尾である。
「モフモフだな」
「さわりたいモフモフ」
シチサブローだけでなく、テルルも夢中だった。
『東洋最強の幻獣【妖狐】を操れる召喚士は、召喚士を多く輩出してきた白輪神社でさえ、歴史上たった三人だけです! それだけ、このテンドー選手は実力者と言えるでしょう』
「当たり前でござる。西洋のポンコツガキと一緒にするんじゃないでござる」
独特の方言で、幼女はつり上がった眼をさらに細めた。
『さて、東洋の召喚士は、祖国初となるS級の称号を土産に持ち帰ることができるのか。相対するは、ここまで幾多の実力者を飲み込み、無敵とされているドラゴン肉。はたして、東洋の仙人にも通用するのか? ゴングが鳴りました。試合開始です!』
シチサブローが、肉を焼き始める。できあがったモノを出してもよかった。しかし、匂いを出すことで更に勝率を上げていく。
『さて、これまで数々の挑戦者を飲み込んできた、目の前での調理作戦! ですが、仙人に反応なし。不敵な笑みを浮かべるだけ!』
「フォフォフォ。仙人は食欲が元々ないでのう。お主の誘惑なんぞに屈指はせん」
言うとおり、仙人召喚獣はドラゴン肉に見向きもしない。
「ああ、たしかテメエも、マナの塊だったよな? ウチのテルルと同じだ」
「左様じゃ。お主ではワシには勝てんよ」
「そいつぁ、勝ってから言うんだな。今発言すると、負けたときに後悔するぜ」
「後悔させてから、言うんじゃな。フォフォフォ……」
これだと、ドラゴン肉は処分になる。シチサブローの胃袋行きになる可能性が高い。
だが、負けるつもりもなかった。
「若造。草食の幻獣すら手玉に取るお主の手腕。装備品の恩恵があるとはいえ、見事なり」
妖狐の指摘通り、アクセサリはオシャレのためではない。すべて、「魅了効果」を持つアイテムだ。テンプテーションの効果を、ドラゴンのシッポに振りまいているのである。
「コイツは料理をうまくするために、腕によりを掛けた特注だ。どんな聖人君子ですら野獣に変える。ガキに操られた召喚獣の胃袋が、コイツに勝てるわけがない」
調理しながら、シチサブローはアクセをジャラリと鳴らす。シチサブローは決して、チャラい男なわけではない。装飾品にいたるまで、すべてに意味があるのだった。
「フォフォフォ。たしかにのう」
相変わらずあぐらをかきながら、妖狐はヒゲを指で整える。
「ズルだと言いてえのか?」
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少なくとも、これまでの戦績はシチサブローの実力、と妖狐はいいたげだ。
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