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第一部 レアドロップしない男 1-1 殴りウィザードとして生きていきます
殴りウィザードビルド
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「承知しました。では、スキル表をお持ちしますね」
カウンターでカタカタと石版のコンソールを叩き、俺の前に見せた。
自分の端末でも表示や振り直しが可能だが、ギルドなら頼んだら無料で相談できる。
まずは、ステータス表の見直しからだ。
「氏名:ランバート・ペイジ」
「職業:ウィザード」
「レベル:三五」
「筋力:二五」
「敏捷性:四〇」
「体力:五〇」
「魔力:一二五」
装備品には、筋力を要する。ヨロイで一番軽いキルト製でも、二五ポイントが必要だ。
俺の筋力だと、皮のヨロイまでしか装備できない。しかも、扱おうとすると素早さを犠牲にしてしまう。
また、「敏捷性は、魔法の詠唱時間には反映されない」という弱点がある。
あくまでも移動時間、武器使用時のみの時間なのだ。それだけ詠唱は複雑なのである。
「たしか、金属製のヨロイを装備できる筋力は、六五ポイント必要なのだな?」
「そうですね」
悩ましいな。しかし、迷っていても仕方ない。
「魔力を減らす。筋力を五〇ポイント増やせばいいな」
「そんなに!? ランバート様、魔法詠唱はなさらないので?」
「うむ。省エネ魔法を思いついたのでね」
当分は、魔物が弱いエリアでレベルを上げる。
そのため、大量のマナを食う大火力魔法は非効率だ。ソロで戦うから、詠唱中に注意を引きつけてくれる相手もいない。
「これでよし」
筋力を「七五」まで上げた。
「広い場所を使わせてくれ。装備のチェックがしたい」
「はい。どうぞ」
受付嬢の案内で、訓練場の広場へ通される。
あれだけ重かったブロードソードが、片手でもブンブン振り回せるようになった。
試しにタワーシールドや金属ヨロイも着てみる。
「うん、こんな感じなんだな」
チェックし終えた装備を、一旦外す。
「ついでに、スキル表も確認するか」
俺は「炎」「氷」「雷」属性の、三大最強魔法を習得している。ここまでくるのに、相当の時間を費やした。
しかし、覚えただけである。実際の威力は、またスキルポイントを振って強化するしかない。
だったら。燃費がよくて連発しやすい魔法がいい。
「大魔法は、もういらん。当分使わないからな」
これからは、魔物の弱いエリアを回る。
ならば、火力より燃費や取り回しを重視する方がいいだろう。
また、ソロでは大魔法は使い勝手が悪い。詠唱に時間がかかる上、サポートしてくれる壁役もいないのだ。
一度使ってみて、勝手もわかっている。不要な魔法はドンドン捨てることに。
俺はスキルを大火力魔法から別魔法に移し替えた。
ポチポチと、コンソールを叩く。
「魔法も、いっそ【エンチャント】にほぼ全振りだ」
エンチャントの何がいいかと言うと、「消費魔力量の少なさ」にあった。要求する魔力が、大火力魔法の一〇分の一である。
ソロ狩りのための魔法だったのでは? 仲間がいては、絶対にできないビルドだ。遠方でペチペチ魔法を撃つイメージからは、かけ離れている。
受付嬢が、「まじかよ」とつぶやく。
仲間と組む気はないんだ。
なんせ、俺のクジ運の悪さは折り紙付きである。
誰しもが、俺の引きの悪さを知っていた。強力なアイテムが欲しいなら、俺とは組みたがらない。
「まさか、そんな! 【エンチャント】なんて、子どもでも扱える初期魔法じゃないですか」
エンチャントの魔法は、申し訳程度に武器や防具を強化する程度の効果しかない。それが、俺たち魔術師職の常識だった。
しかし、俺はスキル表に穴を見つける。
「強化に際限がないんだよ、エンチャントには」
つまり、どこまでも強くなれるということだ。魔法使い系はどうせ大魔法に移行するため、誰も使わなかっただけで。
リビルドも済み、俺は再度依頼書を確認する。
依頼書に、『オーガ亜種が襲来、救援求む』とメモがあった。
女性の字である。しかし、手にとってもらえた形跡はない。
「ところで受付嬢、俺を助けてくれた女性を知らないか? フォート族とフードを被った女が、ギルドに報告に来ていると思うのだが?」
「いいえ。そのような報告は。『街に危機が迫っている』と伝えてきたのは、子どもハンターたちです」
なるほど。さっき助けた子どもたちか。
「ハンターたちは準備をしてくれたんですが、ちょうど入れ違いであなたが帰ってきまして」
「そうか。わかった」
この街にいるハンターは、初級クラスばかりである。
対して相手は、オーガのチャンピオンクラスだ。下手なフロアボスより、腕も立つ。
ほとんどのハンターは尻込みしてしまった、と。まあ、レア装備品目当てのヤツらの場合、レアを出せない俺なんて見捨てるだろう。それでも同行してくれたクリムたちが、優しすぎたのだ。
ともかく、俺を助けてくれたフォート族と女性は、なんらかの事情でギルドを利用できないのかもしれん。
「依頼書などは、貼られている分だけか?」
「はい」
「よし、確認した」
自分のカード型端末に、依頼書のコピーをとっていく。もしかすると、さっきの二人組みに関する手がかりがあるかも。
ハンターギルドで発行されるカード式の端末は、身分証明の他にも役立つ機能が備わっている。決済や銀行機能、依頼書や手配書の投影機能などである。
報酬を受け取って、俺はギルドを後にした。
こうして、殴りウィザードのビルドは、ひとまず完成である。
カウンターでカタカタと石版のコンソールを叩き、俺の前に見せた。
自分の端末でも表示や振り直しが可能だが、ギルドなら頼んだら無料で相談できる。
まずは、ステータス表の見直しからだ。
「氏名:ランバート・ペイジ」
「職業:ウィザード」
「レベル:三五」
「筋力:二五」
「敏捷性:四〇」
「体力:五〇」
「魔力:一二五」
装備品には、筋力を要する。ヨロイで一番軽いキルト製でも、二五ポイントが必要だ。
俺の筋力だと、皮のヨロイまでしか装備できない。しかも、扱おうとすると素早さを犠牲にしてしまう。
また、「敏捷性は、魔法の詠唱時間には反映されない」という弱点がある。
あくまでも移動時間、武器使用時のみの時間なのだ。それだけ詠唱は複雑なのである。
「たしか、金属製のヨロイを装備できる筋力は、六五ポイント必要なのだな?」
「そうですね」
悩ましいな。しかし、迷っていても仕方ない。
「魔力を減らす。筋力を五〇ポイント増やせばいいな」
「そんなに!? ランバート様、魔法詠唱はなさらないので?」
「うむ。省エネ魔法を思いついたのでね」
当分は、魔物が弱いエリアでレベルを上げる。
そのため、大量のマナを食う大火力魔法は非効率だ。ソロで戦うから、詠唱中に注意を引きつけてくれる相手もいない。
「これでよし」
筋力を「七五」まで上げた。
「広い場所を使わせてくれ。装備のチェックがしたい」
「はい。どうぞ」
受付嬢の案内で、訓練場の広場へ通される。
あれだけ重かったブロードソードが、片手でもブンブン振り回せるようになった。
試しにタワーシールドや金属ヨロイも着てみる。
「うん、こんな感じなんだな」
チェックし終えた装備を、一旦外す。
「ついでに、スキル表も確認するか」
俺は「炎」「氷」「雷」属性の、三大最強魔法を習得している。ここまでくるのに、相当の時間を費やした。
しかし、覚えただけである。実際の威力は、またスキルポイントを振って強化するしかない。
だったら。燃費がよくて連発しやすい魔法がいい。
「大魔法は、もういらん。当分使わないからな」
これからは、魔物の弱いエリアを回る。
ならば、火力より燃費や取り回しを重視する方がいいだろう。
また、ソロでは大魔法は使い勝手が悪い。詠唱に時間がかかる上、サポートしてくれる壁役もいないのだ。
一度使ってみて、勝手もわかっている。不要な魔法はドンドン捨てることに。
俺はスキルを大火力魔法から別魔法に移し替えた。
ポチポチと、コンソールを叩く。
「魔法も、いっそ【エンチャント】にほぼ全振りだ」
エンチャントの何がいいかと言うと、「消費魔力量の少なさ」にあった。要求する魔力が、大火力魔法の一〇分の一である。
ソロ狩りのための魔法だったのでは? 仲間がいては、絶対にできないビルドだ。遠方でペチペチ魔法を撃つイメージからは、かけ離れている。
受付嬢が、「まじかよ」とつぶやく。
仲間と組む気はないんだ。
なんせ、俺のクジ運の悪さは折り紙付きである。
誰しもが、俺の引きの悪さを知っていた。強力なアイテムが欲しいなら、俺とは組みたがらない。
「まさか、そんな! 【エンチャント】なんて、子どもでも扱える初期魔法じゃないですか」
エンチャントの魔法は、申し訳程度に武器や防具を強化する程度の効果しかない。それが、俺たち魔術師職の常識だった。
しかし、俺はスキル表に穴を見つける。
「強化に際限がないんだよ、エンチャントには」
つまり、どこまでも強くなれるということだ。魔法使い系はどうせ大魔法に移行するため、誰も使わなかっただけで。
リビルドも済み、俺は再度依頼書を確認する。
依頼書に、『オーガ亜種が襲来、救援求む』とメモがあった。
女性の字である。しかし、手にとってもらえた形跡はない。
「ところで受付嬢、俺を助けてくれた女性を知らないか? フォート族とフードを被った女が、ギルドに報告に来ていると思うのだが?」
「いいえ。そのような報告は。『街に危機が迫っている』と伝えてきたのは、子どもハンターたちです」
なるほど。さっき助けた子どもたちか。
「ハンターたちは準備をしてくれたんですが、ちょうど入れ違いであなたが帰ってきまして」
「そうか。わかった」
この街にいるハンターは、初級クラスばかりである。
対して相手は、オーガのチャンピオンクラスだ。下手なフロアボスより、腕も立つ。
ほとんどのハンターは尻込みしてしまった、と。まあ、レア装備品目当てのヤツらの場合、レアを出せない俺なんて見捨てるだろう。それでも同行してくれたクリムたちが、優しすぎたのだ。
ともかく、俺を助けてくれたフォート族と女性は、なんらかの事情でギルドを利用できないのかもしれん。
「依頼書などは、貼られている分だけか?」
「はい」
「よし、確認した」
自分のカード型端末に、依頼書のコピーをとっていく。もしかすると、さっきの二人組みに関する手がかりがあるかも。
ハンターギルドで発行されるカード式の端末は、身分証明の他にも役立つ機能が備わっている。決済や銀行機能、依頼書や手配書の投影機能などである。
報酬を受け取って、俺はギルドを後にした。
こうして、殴りウィザードのビルドは、ひとまず完成である。
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追記:2025/09/20
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