レアドロップしない男、魔法付与装備を生成できる女スライム魔王に溺愛されて、【レアアイテムを破壊する男】として覚醒!

椎名 富比路

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第一部 レアドロップしない男 1-1 殴りウィザードとして生きていきます

フィーンド・ジュエル

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「私は、デーモンロードの一族『落涙公』。またの名を、フレキシブル・ドロップ・ルーラー第一王女です。父は五代目落涙公であるギヤマン・フォザーギル。亡き父の跡をつぎ、今は私が六代目を襲名しています」 

 この世界に数名存在する魔王の一人、落涙公。サピィはその忘れ形見だと語る。

 ギヤマンダイヤモンドに、サピロスサファイアか。

 サピィの家は、古くから代々伝わる名誉ある魔王の一族だった。

「ですが、敵対勢力によってとうとう滅ぼされてしまったのです」

 魔王が死んだことで、サピィたちもほとんどの力を失ってしまったらしい。魔族の割に力が弱かったのは、このためか。

「我の紹介がまだでしたな。我は魔王の執事でした。落涙公爵以外に従うつもりはなく、姫の逃亡を助けました。しかし、ほとんど対抗できる力もなく。我に力さえ戻っておれば、オーガ程度などに遅れは取らぬのじゃが」

 膝を叩き、シーデーが悔しがる。

「それであんたらは、自分たちの勢力を取り戻すために、逃げながら戦っていると?」
「はい。先程の戦いも、追手をまくために」
「追手の割には、さして強くなかったな」

 亜種とはいえ、舐めプもいいところだ。

「誰一人、我がフォザーギル家を驚異と思っていません。実に歯がゆい思いです」

 よっぽど、ワンマン魔王だったんだろうな。

 おそらく、敵対勢力は本気で殺しに来ていない。単なる脅しの可能性がある。多分、「お前たちはこんな小物すら撃退できないのだ」とわからせるために用意したのだろう。

「ところで、これなんだが。心当たりはないか?」

 オーガたちからドロップした魔法の宝石を、サピィに見てもらった。落涙公の伝承が本当なら、何か知っているはずである。

「あっ、それこそ、我々落涙公のスキル【魔輝石フィーンド・ジュエル】です!」

 目をキラキラさせながら、サピィは解説してくれた。

 魔物を倒すと宝石が手に入るという伝承は、本当だったらしい。

「これを集めていけば、あんたらの力が戻ると?」

 予測を立ててみたが、サピィは「違います」と言う。

「そうではないです。我々は、魔物を倒せば力がその身に宿ります。つまり、我々は魔物さえ倒し続ければ、いずれは力を取り戻せます」
「では、この魔石はいったい?」
「我々は魔族の持つ魔力を、外部へ取り出せるのです」

 落涙公の血統が近くにいると、倒したモンスターは魔力のこもった宝石を落とすという。それがフィーンド・ジュエルだ。

「魔物が落とす魔石との違いは?」
「あれはいわば、モンスターの核です。鉱石に近いですね。ジュエルは魔石より遥かに、魔力の純度が高い宝石です」

 フィーンド・ジュエルを他の魔物に与えて、使役することもあるという。

 ただし、狙ったタイプの宝石をなど、自分ではコントロールできないらしい。

「ゴーレムやスケルトン、またシーデーのようなフォート族も、フィーンド・ジュエルで動いています」
「逆に言えば、それが原因であんたらは消されそうになったと」
「はい。父は実際、そうでした」

 落涙公は、その力を疎まれて殺害された。
 彼のような魔物がいれば、魔族たちの力が奪われてしてしまう。

「あんたの命も危ないと」
「私はまだ力が弱いので、そこまでは」

 とはいえ、成長すれば危険が及ぶかも知れない。

 こんな大事なものを、武器にはめ込んだのか。

「で、これはどうすれば。お返ししたほうが」

 俺は、ブロードソードごと宝石をサピィに差し出した。

「差し上げます。それはあなたのものです」

 サピィは受け取ろうとしない。

「こんな貴重なもの、いただけない! 形見みたいなもんだろ?」
「それは、あなただからです」
「なんだって?」
「あなたのような優しいお方だから、我が力の結晶をお使い願いたい」

 聞けば、魔物や魔族を倒せばジャンジャン出てくるという。
 後生大事にする代物でもないそうだ。

「いいんだな? そんな大事なもの、俺が私物化しても」
「あなたなら、信用できます。積極的に活用してくださいませ」

 ここまでの信頼が、どこから湧いてくるのかわからない。
 が、ありがたくいただいておく。

「よかった。あんたらに帰さないといけないのではと思ったぜ」

 ただ、おかしい点もある。

「どうして、俺にこんなアイテムが拾えた?」
「我々と接触するだけで、影響が出たのでしょう」

 サピィのスキルが発動できる範囲に、俺がいたからではないかという。

 だが、俺が聞きたいのはそこではない。

「コイツはいわゆる、レアアイテムだ。俺がいくらやっても、ドロップなんてしなかったのに」

 レアアイテム欲しさに、どれだけのモンスターを狩ってきたか。

「物欲センサーなどという人間の呪いなど、落涙公に通用しませんよ」

 魔王だもんな。人間の影響などは受けないのだろう。

「レアイテムなどでは、ありませんわ。フィーンド・ジュエルは、私がドロップしたもの。私が戦えば、普通にドロップします。剣や銃のようなレアアイテムは、私もお目にかかったことはありませんわ」

 たしかに、二人の装備はお世辞にも豪華とは言えなかった。身を隠すためなのかも知れないが。

 フィーンド・ジュエルを手にして装備を強化することは、他の魔王勢力を牽制することにも繋がる。どんどん奪っていいそうだ。

「そうだわ。いっそ仲間として、一緒に戦っていただけませんか?」
「俺が?」
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