レアドロップしない男、魔法付与装備を生成できる女スライム魔王に溺愛されて、【レアアイテムを破壊する男】として覚醒!

椎名 富比路

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1-4 ダンジョンの闇を、殴りにいきます

魔王さえ恐れる人間の業

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 湯上がりに、サピィの部屋でくつろぐ。トウコは今夜、サピィと寝るという。

「お待ちしておりました、みなさん。冷たいお茶をどうぞ」

 シーデーが、冷えたアイスコーヒーを用意してくれていた。
 彼も風呂に入れたらいいのだが、湯船に浸かると油が浮いてしまうらしい。
 コナツの手によって、洗車用の装置で洗ってもらったというが。

「えっと? フォート族の……」

 トウコが名前を失念していると、シーデーが腰を折った。

「サピィお嬢様の使用人で、シーデーといいます。お見知りおきを」
「すっげえ。相棒がフォート族とか、どんな貴族だ?」

 俺は、サピィの素性を明かす。

「ほえー魔王かー。まあいいや。みんなよろしくな!」

 トウコはニカっと笑う。

「私は魔物ですよ。あなたの神が示す戒律に背くのでは?」
「追われてるんだろ? そっちを助けないほうが神の意志に背くぞー」

 モンクとはいえ、トウコは聖職者によくある魔物や魔族への偏見がない。相手の行動から、善悪を判断するという。

 ならば、パーティに危害を及ぼしたジェンマを敵と見なしたに違いない。 
 
「さて、次の目的は、デーニッツの打倒だな」

 俺はファミリアを呼び出し、氷の魔法使用を指示する。冷たい風が、俺の身体から熱を取り去った。ファミリアは簡単な魔法なら、セットすることができる。

「あの二人、ランバートの仲間には……入らなかったな」

 先日のワーキャットと女ドワーフのことを、トウコはつぶやく。

 それはそうだろう。俺はレアをドロップしない疫病神だ。仲間になったとしても、いずれは破産してしまう。

「でも安心していいぞ。あたしが新たに仲間になってやるから」

 トウコが、平べったい胸を張る。

「本当に俺と組んでくれるのか、トウコは?」

 あの二人が、俺を裂けているくらいだ。さらにレベルの高いトウコが、俺なんか相手にするのだろうか。そんな不安がよぎる。

「何を言っているんだ? また友だちと組んで戦えるって、楽しみにしているんだぞ!」

 ニカっと、トウコが笑った。

 それだけで、俺は救われた気持ちになる。

「あたしは元々、ランバートの離脱に反対だったんだぞ?」
「そうだったのか」
「うん。あたしは装備品に興味がないしな」

 トウコは、回復魔法使い寄りの武道家だ。装備品に恵まれなくても、体術で相手の攻撃をしのげる。
 俺がクズドロップだったとしても、彼女だけは一切文句を言わなかった。

「相手は手強いぞ」
「なんぼのもんだってんだ。父ちゃんががんばってるんだ。あたしだって」

 手の指を鳴らしながら、トウコも息巻く。

 コイツもハンターなんだ。

「改めて、よろしくなサピィ!」

「はい」笑顔をみせて、サピィがトウコと握手をかわす。

「そこで聞きたい。サピィ、トウコ。デーニッツと戦って、俺は勝てると思うか?」

「うーん」と、トウコはうなった。

「あたしには判断しかねるな。第一、そのデーニッツとかいうやつに会ったことがない」

 それもそうか。

「サピィはどう思う?」
「難しいかと」

 相手は人間とはいえ、レアのマジックアイテムで固めた強敵だ。生半可な技や魔法が通じるとは思えない。

「正直な話、私でさえあの男に勝てる自信がありません」
「魔王でも、手強いと?」
「彼の力は、想像を絶します。何か凶悪な制約で、己を強化している気配を感じました」

 落涙公と呼ばれたサピィでさえ戦慄する、とてつもない縛り、か。

「明日は早い。デーニッツと戦うなら、まだジュエルも足りないだろう」

 俺は、コーヒーを一気に煽る。

 装備の素材もほしい。デーニッツがギルドに補足されるまで、ダンジョンに潜って装備を整えておきたい。

「狩りとアイテム堀りだな。よしきた。じゃあおやすみ」
「おう。また明日」

 俺は自室へと戻り、泥のように眠った。やはり、アラクネクイーンとの戦闘による疲れが抜けていない。
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