レアドロップしない男、魔法付与装備を生成できる女スライム魔王に溺愛されて、【レアアイテムを破壊する男】として覚醒!

椎名 富比路

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2-2 人さらいを、殴りに行きます

ヴァイパー族の、呪われた秘宝

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 今日は、ヴァイパー族が集まっているという廃墟へ向かった。

 ヴァイパー族とは人間大のヘビ族で、長い爪を持つ手足が付いている。 
 いわゆるヘビ人間だ。ヘビの魔王に仕えている。

 生い茂った森の中へ入っていく。

 大型のサソリが、ハサミをバチバチといわせながら近づいてきた。

「二、三メートルはあるわね?」
「来るぞ!」

 巨体からは想像もつかないほどのスピードで、サソリは突進してくる。

「これは、【スマイト】ね?」

 モンスターも、俺たちと同じようなスキルを使う。

「いくわよ、【ジャストガード】!」

 ギリギリまで相手を引きつけて、フェリシアは相手のハサミを盾で弾いた。

 大サソリが、腹が見えるほどにのけぞる。

「お返しよ!」

 最もやわらかい部分に向けて、フェリシアが剣を突き刺す。

 大サソリは倒れながら、五ミリほどのジュエルを吐き出した。


「遺跡が見えてきたわね」

 木々の隙間から、廃墟と化した遺跡が見えてくる。

 蛇の頭をもした宮殿は、壁一面がツタで覆われていた。絡みついたヘビを連想させる。

 見張りをしていたヘビ人間たちが、俺たちを発見して襲いかかってきた。あれが、ヴァイパー族だろう。

「おらああ!」

 ディメンション・セイバーで、ヘビ人間共を一掃する。

「あなた、魔法使いなのに前衛を任されているのね?」
「エンチャント魔法があるおかげで、どうにかやれている」
「頼もしいわね。でも、私がいるから心配はないわ」

 俺に顔を向けたまま、フェリシアは襲ってきたナーガ族を盾で殴る。
 
 そっちの方が頼もしいんだが?

「ここまで来た感想は?」
「敵は弱いのですが、数が多いですね」

 サピィも、久々の戦闘に加わる。それだけ、数が多いのだ。

 ヴァイパー族は、先日倒した大サソリまでも引き連れている。
 サソリの亜種を作り出していたのは、どうもコイツたちらしい。

「チェストォ!」

 回し蹴りを群れに食らわせながら、トウコも奮闘する。

「とてつもない数です! アリの這い出る隙間さえありません!」

 指マシンガンを乱射しながら、シーデーもウンザリ気味に答えた。

 この過密状態を打開しないと、先に進めない。

「おらあ!」

 俺は、ソード・レイでヴァイパー族を切り裂く。

「すごいわね。ここまで高い威力の【ディメンション・セイバー】は初めて見たわ」
「これしか、芸がないだけさ」

 ようやく、先が見えてきた。

 遺跡の奥に、祭壇がある。

 蛇頭の司祭が、豪勢な衣装を来て祭壇に祈りを捧げていた。

 祭壇にあった二股のムチが、ヴァイパー族を呼び寄せていたらしい。

「あれが【オミナス】。いわゆる呪いのアイテムなのね?」
「動いている。近づくんじゃない」

 アイテムは生き物のように、カマ首を持ち上げる。
 ひとりでに這いずり回り、ヴァイパー司祭の手に収まった。

「わが神聖なる祭壇に、土足で足を踏み入れる愚か者共よ。我らが魔王ヴァスキーの贄となるがいい!」

 祭壇の両脇にある炎が、勢いを増す。

 ヴァスキーとは、ヴァイパー族の魔王だという。

「滅びるのは、お前たちの方だおらああ!」

 ディメンション・セイバーで、威嚇する。
 光の刃から、衝撃波が飛んだ。

「フン!」

 二股のムチが、衝撃波を撃ち落とす。

 しかし、ムチに黒く焦げたあとが残った。

「ぬう、これがレア・ブレイクか。ならば」

 頭の一つが、矢のように襲いかかってくる。直接攻撃する気だ。

 俺たちは跳躍して回避した。

 ムチの頭部が、床に穴をあける。

「私が道を作るわ!」

 バッシュのスキルを用いて、フェリシアが突撃した。

 なにか、嫌な予感がよぎる。

「よせ、深追いするな!」
「そうです! 何かいます!」

 サピィも異変に気づいたようだが、もう遅い。

 どこからともなく現れたヘビのシッポにより、フェリシアは拘束されてしまった。


「きゃあああ!」
 
 四方八方からの尾撃により、宙吊りの状態に。
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