レアドロップしない男、魔法付与装備を生成できる女スライム魔王に溺愛されて、【レアアイテムを破壊する男】として覚醒!

椎名 富比路

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2-2 人さらいを、殴りに行きます

ペールディネの店舗

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 商業ギルドによると、他の売り場との折り合いでここしかなかったとか。
 もうペールディネには、工房付きの鍛冶屋に空きがなかったのである。

「店を出せるのはいいが、武器を作成するスペースがねえんだ」

 コナツも、困り果てていた。
 かといって、工房を作るにも店舗が密集しすぎている。
 拡張工事さえできない。

「工房は引き続き、アイレーナにするか。販売員をこっちに置くよ」

 アイテムボックスを設置して、アイレーナで作った装備をこちらへ転送する仕組みにするようだ。

「それでもぜいたくだ。元々、期待していなかったからな」

 なにより、ペールディネに店を建てられたのは大きい。
 王都を拠点を置ければ、なおよかったんだが。

「ごめんなさい。こんなお店しか紹介できなくて」

 なぜか、フェリシアが詫びた。

「いいって。他の商人たちとの折り合いもあったんだろうさ。十分配慮してくれたよ」

 コナツは、気にしていない。頭をすぐに切り替えている。

「さて、とりあえずあんたの壊れた装備の代わりを見繕おう」

 フェリシアの装備一式と新武装の要望書を、コナツがアイテムボックスに入れた。

「あとは、転送されるのを待つだけだ」
「人間も入れる大きさね?」
「ヨロイを入れるからな。ただ、アクシデント防止の為、生き物が入ると作動しなくなっている。前にチビが入りかけて動作不良を起こしてな。ガハハ!」
「笑いごとじゃないでしょ!」
「まあ、ガキも無事で、すぐに調節したからもう安心だ。おし、来たぜ」

 すぐに、要望通りのアイテムが転送される。

 武器は、トパーズがセットされたロングソードだ。雷の属性を持つ。

 アーマーには、魔力の最大値が上がるサファイアと、状態異常を軽減するパールがはめられている。

「これはすごいわ。さっきの武装より、数倍優れているとわかるわね」

 装備しただけで、フェリシアはアイテムの威力を見定めたらしい。

「魔法剣士らしいからな。魔力の回復もするダイヤも使っているぜ」 
「ダイヤまで入っているなんて、豪華ね」

 ヒータシールドに埋め込まれたダイヤを見て、フェリシアは興奮している。

「貴金属としての価値はありません」

 サピィが言うと、フェリシアは首を振った。

「それでも、キレイよ。どうもありがとうコナツさん」
「あんた本来の武装も、タダで見直すぜ」
「そこまでしてくれるなら、私も努力するわ。店の発展のために」

 サピィが、「提案なんですが」と手を挙げる。

「わたしは、アイレーナの街を発展させたいです」

 コナツの家族がいるし、本来の拠点を拡張すればいいのでは、という。

「アイレーナの方が、店舗の空きが多いのです。わたしを迎え入れてくれた街が寂れていくのを見るのは、しのびなくて」
「それはいいな。どうだコナツ?」

 サピィから出資を受けているコナツは、サピィの意思を尊重するという。

「なるほどな、オレたちでアイレーナを立て直すってわけか。いいじゃん。あっちの方が、知り合いも多いしな」

 誰からも反対意見が出なかった。
 ペールディネでは販売に力を入れて、鍛冶屋の拡張はアイレーナ中心で始めることにする。


 続いて、ハンターギルドへ。

「ヴァイパー族の事件以降、モンスターに不穏な動きは見られないわ。ねえ、もっと規模の大きいダンジョンはないの? そしたら、異変の正体がわかるかもよ?」
「そう申されましても、ヴァイパー族が出ているってだけでも相当の収穫ですよ!」

 俺たちの敵ではないが、平均以下のハンターにとってヴァイパー族は脅威だ。

「言っておきますが、ヴァイパー族が拠点を構えているって相当やばいんですからね。数も今までとはケタ違いです」

 きっと、ペールディネ襲撃のどさくさに紛れたのだろうとのことだ。


「頼む! すぐにハンターを招集してくれ! バデム盗賊団が!」


 突然、ギルドに傷ついたハンターが飛び込んできた。
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