90 / 230
2-2 人さらいを、殴りに行きます
オフェーリア王女
しおりを挟む
窓から、様子を覗く。
白いドレスを来た女性が、縄で縛られてる。
彼女が、隣国の王女だろう。
髪型や目の色が、フェリシアに似ているようだが。
「ウソをつきやがれ! 変装したオフェーリア王女だろうが!」
大柄の男性が、首狩り刀を王女へ突きつけた。彼が盗賊団の頭領か。
「全然違います! わたしはヒルデ・サドラー。サドラー小国の第三王女です!」
王女が言うと、盗賊団が一斉に笑い出す。
「知っているんだぜ。ペールディネの先代王と、さる国のお妃さんとの間に娘ができていたってのを! 現に、ペールディネの馬車で移動していたじゃねえかよ!」
「こちらの機動馬車が破損したので、送ってもらったのです!」
王女は、自らの身分を証明するブローチを、頭領に見せた。
配下が、姫から強引にブローチを取り上げる。
そのせいで、姫の胸元がはだけてしまった。
「間違いねえです。サドラー小国の紋章がありますぜ」
「サドラーだと? ちいいい! 高え身代金をふんだくれると思ったのによぉ!」
頭領が、ブローチを床に叩きつける。
「何度も言っているじゃありませんか! ペールディネの王女は、並の騎士では歯がたたないほど腕の立つ女性です。ワタシなんかではとても」
「だろうな。しかし、サドラーみてえな貧乏国に、こんなベッピンがいたとは」
舌なめずりをしながら、頭領が姫に手を伸ばす。
その視線は、王女の破れた胸元に集中している。
「何をする気です!?」
これからされることを想像して、王女が後ずさった。
しかし、取り巻きに両脇をホールドされてしまう。
「離して! 離しなさい無礼者!」
ヒルデ王女の声が、小屋内に虚しく響く。
「あんな小国から取れるもんなんて何もねえ。だが」
盗賊の手が、今にも王女に伸びようとしたときである。
小屋の中に、一陣の風が吹いた。
フェリシアがガラス窓を突き破り、頭領の腕をはねとばす。
「ぎゃああああああああ!」
フェリシアは王女を解放し、自身の背中に隠れさせる。
「そこまでよバデム盗賊団! よくもサドラー国の王女を! 覚悟しなさい!」
「うるせえ騎士様がよ! やっちまえ!」
盗賊団が、フェリシアを取り囲んだ。
いくら格下相手でも、姫を守りながら一対多数では分が悪い。
これは、俺たちも参戦したほうがよさそうである。
シーデーが、ザコ盗賊を指マシンガンで蜂の巣にしていく。
何十人もいた盗賊が、一瞬で壊滅した。
意外と、あっけなかったな。
「やった……かあ!?」
なんと、シーデーにやられた盗賊が、ゾンビになって復活した。
「うわ、なんだコイツら! えーい、我に加護を!」
拳に浄化魔法を込めて、トウコがゾンビを殴る。
それでようやく、ゾンビが消滅した。
「だったらこれです! シーデー!」
「承知!」
サピィがフェリシアたちを、氷の障壁で包んだ。
その間に、シーデーが火炎放射器でゾンビを焼き払う。
「我に加護を!」
トウコが浄化魔法を唱え、ゾンビを霊魂ごと清めた。
「残りはお前だけだ」
「ちくしょおお!」
首狩り刀を構え、頭領が俺に斬りかかる。
「おらああ!」
刀を弾き、盗賊の腹に一閃を決めた。
頭領は、なおも俺に斬りかかろうとする。
しかし、直前になって事切れた。
ゾンビ化は……しない。
俺が攻撃して死んだということは、コイツも武器か何かに操られていたというわけか。
安心したのか、ヒルデ王女はフェリシアに抱きつく。
「ご無事で、ヒルデ王女」
「ありがとう、騎士様」
フェリシアが、ヒルデ王女をなだめた。
サピィが、頭領の死体から首狩り刀を手に取る。
「危なくないか?」
「大丈夫です。それより、重要な証拠品を手に入れました。
アイテムボックスに、サピィは刀を収める。
「詳しくは、ペールディネのお城で」
「城で、だと?」
サピィは、俺の問いかけに答えない。
その代わり、フェリシアに向き直る。
「話してくださいますよね、フェリシアさん。いや、オフェーリア王女」
白いドレスを来た女性が、縄で縛られてる。
彼女が、隣国の王女だろう。
髪型や目の色が、フェリシアに似ているようだが。
「ウソをつきやがれ! 変装したオフェーリア王女だろうが!」
大柄の男性が、首狩り刀を王女へ突きつけた。彼が盗賊団の頭領か。
「全然違います! わたしはヒルデ・サドラー。サドラー小国の第三王女です!」
王女が言うと、盗賊団が一斉に笑い出す。
「知っているんだぜ。ペールディネの先代王と、さる国のお妃さんとの間に娘ができていたってのを! 現に、ペールディネの馬車で移動していたじゃねえかよ!」
「こちらの機動馬車が破損したので、送ってもらったのです!」
王女は、自らの身分を証明するブローチを、頭領に見せた。
配下が、姫から強引にブローチを取り上げる。
そのせいで、姫の胸元がはだけてしまった。
「間違いねえです。サドラー小国の紋章がありますぜ」
「サドラーだと? ちいいい! 高え身代金をふんだくれると思ったのによぉ!」
頭領が、ブローチを床に叩きつける。
「何度も言っているじゃありませんか! ペールディネの王女は、並の騎士では歯がたたないほど腕の立つ女性です。ワタシなんかではとても」
「だろうな。しかし、サドラーみてえな貧乏国に、こんなベッピンがいたとは」
舌なめずりをしながら、頭領が姫に手を伸ばす。
その視線は、王女の破れた胸元に集中している。
「何をする気です!?」
これからされることを想像して、王女が後ずさった。
しかし、取り巻きに両脇をホールドされてしまう。
「離して! 離しなさい無礼者!」
ヒルデ王女の声が、小屋内に虚しく響く。
「あんな小国から取れるもんなんて何もねえ。だが」
盗賊の手が、今にも王女に伸びようとしたときである。
小屋の中に、一陣の風が吹いた。
フェリシアがガラス窓を突き破り、頭領の腕をはねとばす。
「ぎゃああああああああ!」
フェリシアは王女を解放し、自身の背中に隠れさせる。
「そこまでよバデム盗賊団! よくもサドラー国の王女を! 覚悟しなさい!」
「うるせえ騎士様がよ! やっちまえ!」
盗賊団が、フェリシアを取り囲んだ。
いくら格下相手でも、姫を守りながら一対多数では分が悪い。
これは、俺たちも参戦したほうがよさそうである。
シーデーが、ザコ盗賊を指マシンガンで蜂の巣にしていく。
何十人もいた盗賊が、一瞬で壊滅した。
意外と、あっけなかったな。
「やった……かあ!?」
なんと、シーデーにやられた盗賊が、ゾンビになって復活した。
「うわ、なんだコイツら! えーい、我に加護を!」
拳に浄化魔法を込めて、トウコがゾンビを殴る。
それでようやく、ゾンビが消滅した。
「だったらこれです! シーデー!」
「承知!」
サピィがフェリシアたちを、氷の障壁で包んだ。
その間に、シーデーが火炎放射器でゾンビを焼き払う。
「我に加護を!」
トウコが浄化魔法を唱え、ゾンビを霊魂ごと清めた。
「残りはお前だけだ」
「ちくしょおお!」
首狩り刀を構え、頭領が俺に斬りかかる。
「おらああ!」
刀を弾き、盗賊の腹に一閃を決めた。
頭領は、なおも俺に斬りかかろうとする。
しかし、直前になって事切れた。
ゾンビ化は……しない。
俺が攻撃して死んだということは、コイツも武器か何かに操られていたというわけか。
安心したのか、ヒルデ王女はフェリシアに抱きつく。
「ご無事で、ヒルデ王女」
「ありがとう、騎士様」
フェリシアが、ヒルデ王女をなだめた。
サピィが、頭領の死体から首狩り刀を手に取る。
「危なくないか?」
「大丈夫です。それより、重要な証拠品を手に入れました。
アイテムボックスに、サピィは刀を収める。
「詳しくは、ペールディネのお城で」
「城で、だと?」
サピィは、俺の問いかけに答えない。
その代わり、フェリシアに向き直る。
「話してくださいますよね、フェリシアさん。いや、オフェーリア王女」
0
あなたにおすすめの小説
掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~
テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。
しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。
ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。
「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」
彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ――
目が覚めると未知の洞窟にいた。
貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。
その中から現れたモノは……
「えっ? 女の子???」
これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる