130 / 230
2-6 最終兵器を、殴りに行きます
能面の策略:サピィサイド
しおりを挟む
サピロスは、ヴァスキーを追ってなおも急ぐ。
なおも、ヴァイパー族の残党はサピロスたちを狙う。
「いい加減に、あきらめなさい!」
フェリシアのハンドキャノン、『福音』が火を吹く。
ヴァイパー族は、確実に数を減らしていた。
大型の銃器なのに、片手で撃っても安定した射撃ができるとは。
フェリシアのテクニックもすばらしいが、コナツの腕はすごい。
「だいぶいなくなったわね」
「はい。それに、もうすぐエルトリです」
夜の闇の中、エルトリの明かりが見えてきた。
ヴァスキーの背中も、目前である。
エルトリから、砲撃が飛んできた。相手も、ヴァスキーに気づいたのだ。
ロケット砲やミサイルが、ヴァスキーを止めねばと放出される。
「危ない! フェリシア!」
サピロスは、フェリシアの身体を屈ませた。
猛スピードで、ヴァスキーから離れる。
瞬間、ヴァスキーやその周辺に砲撃が着弾した。
ヴァスキーの動きが徐々に緩まっていき、やがて止まる。
巻き添えをくらわないように、サピロスたちはヴァスキーから少しずつ距離を取った。
砲撃は、とどまることなく続く。
ヴァスキーの周辺に、土煙が上がった。
取り付くことは、あきらめない。
どうにかこの攻撃をかいくぐって、ゼンを引っ張り出せないか。
だが、それは絶望に近いかもしれない。
あれだけの攻撃を受けて、ヴァスキーが無傷だったからだ。
再び、ヴァスキーが進軍する。
数台の戦車が、ヴァスキーの行く手を遮った。無数の砲撃を開始する。
しかし、一発も致命傷を与えられない。
ヴァスキーが、長いシッポを振り回す。
それだけで、戦車部隊が一瞬で壊滅した。
シッポの勢いは、止まらない。今度はサピロスたちのところに。
「いけない。シーデー、回避!」
「承知……うごっ!」
思いの外、早すぎる。回避が間に合わなかった。
シーデーの後輪に、シッポがかする。
「くううう!」
シーデーの車体が分解してしまう。
「無事ですかシーデーッ!?」
「心配ご無用! ドローンたちも無事です!」
ドローンたちが、破損したシーデーのボディを修復していく。
「あいつを撃ったら、ダメなのよね?」
フェリシアが、ハンドキャノンの照準をヴァスキーの背面に合わせる。
「今撃ったとしても、効果は薄いでしょう」
「ランバートは、無事でしょうか」
χの刺客の中で、最も強い人物の相手をさせてしまった。
いくらその方が効率的とはいえ、彼を危険に晒したのは事実である。
「彼を信じましょうぞ。ランバートなら無事でしょう。それに、トウコ殿もおります。命を失う事態には」
「そうですね……!?」
ヴァスキーの上空に、小さな飛行船が飛ぶ。
飛行船は、身動きが取れないヴァスキーの頭上で止まった。
そこから、ダイブしてくる人影が。
「あれは、【能面】! ヒューコにいたのではなかったのですか!?」
χの首魁である【能面】が、姿を現す。
しかし、彼の目的は最初からヴァスキーだった。ここに来る方が自然か。
高架下状態から、能面はヴァスキーの脳天を突く。
「あの上に、コクピットが!」
ヴァスキーの頭上に、半球状の透明な障壁があった。
サピロスはガラス状の障壁内部に、ゼンの姿を捉える。
「ゼンを見つけました! 向かいます!」
彼女を押さえ込めば、きっとヴァスキーを無力化できるはずだ。
「お気をつけて!」
急がないと。
サピロスは、ヴァスキーの表面をよじ登っていく。
ガラスと思われたが、能面がいくら踏みつけても割れない。
おそらく、なんらかの魔力が込められているのだろう。
いまだ能面はコクピットを踏みつけて、半球状のバリアを破ろうとしていた。
『やはり外側から侵攻はムリか。ならば、内部から攻め込むとしよう』
能面のバックパックから、無数の触腕が伸びる。
触腕はヴァスキーの眼球に侵入した。
「ぎゃあああああ!」
「ぐおおおおおお!」
赤と青のヘビが、能面の電流に当てられる。
ヴァスキーの瞳から、光が急速に失われていく。
なおも、ヴァイパー族の残党はサピロスたちを狙う。
「いい加減に、あきらめなさい!」
フェリシアのハンドキャノン、『福音』が火を吹く。
ヴァイパー族は、確実に数を減らしていた。
大型の銃器なのに、片手で撃っても安定した射撃ができるとは。
フェリシアのテクニックもすばらしいが、コナツの腕はすごい。
「だいぶいなくなったわね」
「はい。それに、もうすぐエルトリです」
夜の闇の中、エルトリの明かりが見えてきた。
ヴァスキーの背中も、目前である。
エルトリから、砲撃が飛んできた。相手も、ヴァスキーに気づいたのだ。
ロケット砲やミサイルが、ヴァスキーを止めねばと放出される。
「危ない! フェリシア!」
サピロスは、フェリシアの身体を屈ませた。
猛スピードで、ヴァスキーから離れる。
瞬間、ヴァスキーやその周辺に砲撃が着弾した。
ヴァスキーの動きが徐々に緩まっていき、やがて止まる。
巻き添えをくらわないように、サピロスたちはヴァスキーから少しずつ距離を取った。
砲撃は、とどまることなく続く。
ヴァスキーの周辺に、土煙が上がった。
取り付くことは、あきらめない。
どうにかこの攻撃をかいくぐって、ゼンを引っ張り出せないか。
だが、それは絶望に近いかもしれない。
あれだけの攻撃を受けて、ヴァスキーが無傷だったからだ。
再び、ヴァスキーが進軍する。
数台の戦車が、ヴァスキーの行く手を遮った。無数の砲撃を開始する。
しかし、一発も致命傷を与えられない。
ヴァスキーが、長いシッポを振り回す。
それだけで、戦車部隊が一瞬で壊滅した。
シッポの勢いは、止まらない。今度はサピロスたちのところに。
「いけない。シーデー、回避!」
「承知……うごっ!」
思いの外、早すぎる。回避が間に合わなかった。
シーデーの後輪に、シッポがかする。
「くううう!」
シーデーの車体が分解してしまう。
「無事ですかシーデーッ!?」
「心配ご無用! ドローンたちも無事です!」
ドローンたちが、破損したシーデーのボディを修復していく。
「あいつを撃ったら、ダメなのよね?」
フェリシアが、ハンドキャノンの照準をヴァスキーの背面に合わせる。
「今撃ったとしても、効果は薄いでしょう」
「ランバートは、無事でしょうか」
χの刺客の中で、最も強い人物の相手をさせてしまった。
いくらその方が効率的とはいえ、彼を危険に晒したのは事実である。
「彼を信じましょうぞ。ランバートなら無事でしょう。それに、トウコ殿もおります。命を失う事態には」
「そうですね……!?」
ヴァスキーの上空に、小さな飛行船が飛ぶ。
飛行船は、身動きが取れないヴァスキーの頭上で止まった。
そこから、ダイブしてくる人影が。
「あれは、【能面】! ヒューコにいたのではなかったのですか!?」
χの首魁である【能面】が、姿を現す。
しかし、彼の目的は最初からヴァスキーだった。ここに来る方が自然か。
高架下状態から、能面はヴァスキーの脳天を突く。
「あの上に、コクピットが!」
ヴァスキーの頭上に、半球状の透明な障壁があった。
サピロスはガラス状の障壁内部に、ゼンの姿を捉える。
「ゼンを見つけました! 向かいます!」
彼女を押さえ込めば、きっとヴァスキーを無力化できるはずだ。
「お気をつけて!」
急がないと。
サピロスは、ヴァスキーの表面をよじ登っていく。
ガラスと思われたが、能面がいくら踏みつけても割れない。
おそらく、なんらかの魔力が込められているのだろう。
いまだ能面はコクピットを踏みつけて、半球状のバリアを破ろうとしていた。
『やはり外側から侵攻はムリか。ならば、内部から攻め込むとしよう』
能面のバックパックから、無数の触腕が伸びる。
触腕はヴァスキーの眼球に侵入した。
「ぎゃあああああ!」
「ぐおおおおおお!」
赤と青のヘビが、能面の電流に当てられる。
ヴァスキーの瞳から、光が急速に失われていく。
0
あなたにおすすめの小説
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~
テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。
しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。
ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。
「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」
彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ――
目が覚めると未知の洞窟にいた。
貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。
その中から現れたモノは……
「えっ? 女の子???」
これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる