レアドロップしない男、魔法付与装備を生成できる女スライム魔王に溺愛されて、【レアアイテムを破壊する男】として覚醒!

椎名 富比路

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3-3 大人数で、殴りに行きます

ジュエル回収班と合流

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 俺とサピィは、急いでペールディネへ向かった。

 もしかすると、ミューエとメグが、デーニッツの息子を襲撃している可能性がある。なんとかして、止めないと。あそこには、我が親友クリムの妹グレースだっているんだ。

「グレース! 大丈……夫のようだな」

 慌てて店に入ると、ミューエ、メグ、ゼンの三人がプレートをシェアし合っていた。

「あら、ランバート! いらっしゃい!」

 ちょうどグレースは、ミューエたちのコップに水を注いでいるところである。

「今日は、コナツの所で食べていると思っていたんだけど?」
「いや、もう食ってきた。ミューエたちがこっちに来ているというから、顔を出そうかと」
「じゃあ、席を詰めるわね」

 ミューエたちに断りを入れて、グレースは後ろの机をゼンたちの席にくっつけた。

「なにか食べる? ジュースかお酒か」

 俺はオレンジジュースを、サピィはメロンソーダをオーダーする。

 オーダーを受けたグレースは、忙しそうにパタパタと厨房へ。

「飲まないのだな、二人とも」

 口いっぱいにパスタソースをつけながら、ゼンが尋ねてきた。

「どっちも飲めないんだ。サピィに関しては、意外かもしれんが」
「いくら魔物といえど、アルコールをおいしいと思えません」

 サピィは、酒を飲んでもすぐに体内で分解してしまうという。おいしさを感じる前に、消化するそうだ。身体が酒を、「毒」と認識しているのだろうとのこと。

「それより、どうしてここに?」
「ここのチリソースパスタが、絶品と聞いて」

 ゼンの口周りが赤いのは、パスタソースがついているからか。

「みんなは、ここがどんなところか知っているのか?」

 グレースに聞かれないように、こっそりと話しかける。

「知っているわ。デーニッツの息子が経営しているのでしょ?」

 やはり、知っていたか。

「ああ。それに、俺の友人の妹が、ここに嫁いでいる」

 友人の母親まで、面倒を見ている。普通の人間には、とてもできることではない。

「他人の親なのに、すごいね」

 自分の親が、ハンター稼業でたくさん人を殺めたから、家族を大事にしたいと言っていた。もちろん、グレースには内緒にしているが。

「お前たちからしたら、ここは仇の肉親が経営しているレストランだ。なのにどうして?」
「関係ないわ。彼は関係ないもの」

 ミューエは、あっさりと返答した。

「体つきを見たところ、戦闘経験もない。生粋の料理人だなあれは」
「うむ。普通に家族思いな男性のようだ。危険な因子は見当たらない」

 ヴァイパー族が言うなら、そうなのだろう。

 俺も、彼からは何も感じない。

「サピィは、どう思った?」
「お菓子もおいしいんですよね。ここは」

 いつの間にか、サピィはアップルパイを頼んでいた。

「一口どうぞ。おいしいですよ」
「ありがとう」

 サピィが、黄金色に光るアップルパイを、俺に食べさせてくれる。

 うまい。生地がサクサクで、りんごがシャクシャクしている。

 前を見ると、ミューエとメグが俺たちをみてニヤニヤしていた。ゼンはパスタの消費で口を忙しく動かしているだけだが。

「な、なんだ?」
「いやあ。いいなぁ、って」
「なにがいいんだよ、ミューエ?」

 俺が聞くと、ミューエがはあ、とため息をつく。

「サピィ、苦労しそうね」

 なにかすごい、モヤモヤした気分になる。

 気を取り直して、俺もアップルパイを頼んだ。

「実を薄く切って、ミルフィーユ状にするとは。これはうまい」
「こんなおいしいものを作れる人に、悪い人はいません」
「だよな……そうか。お前たちは、それを確かめるために」

 俺が尋ねると、ミューエたちは照れくさそうにした。

「まあ、そうだよ」
「お察しのとおりと感じてもらっていい」

 なるほど。一応、警戒はしていたわけか。ならば、結論は出ているだろう。

「では、彼の疑いが晴れたようなので、本題に入りましょう」

 サピィは、三層の探索についてミューエたちと話し合った。

「攻略対象では、ないんだよな?」
「ですが、トレハン場所としては価値があるかと。レベル上げにも最適です」

 サピィが話す間、ゼンがアゴに手を当てている。

「ふむ。では我々が低いレベル組を引き連れて三層の探索をしている間に、他のメンバーで四層を調べると?」
「そうなります。トレハン・レベルアップ組と、四層探索組で分けようと考えています」
「で、第五層あたりで合流すると」

 四層はおそらく、並大抵のレベルでは太刀打ちできない。敵の攻撃も激しくなり、トラップも凶悪になってくるはず。ヘタに犠牲者を出すより、強くなったほうがマシだ。

「あたしも行っていいの? ほとんど非戦闘員だけど?」

 ミューエが手を上げた。

「あなたには、宝箱のトラップ解除をお願いします」
「そっか。レアが出るのね」

 ミューエは、何かを察したようである。

「三層にはモンスターが多数いますが、その分宝箱も大量に置いてあります。モンスターのドロップ品も含め、トレハンとしての価値は十分にあると思います」

「楽しみね」と、ミューエが微笑んだ。

「俺がいると、レアアイテムが出ないからな」

 なので、俺は必然的に四層行きである。

「そこで一旦、みなさんのレベルをチェックしようかと」

 メグが、「五〇だ」と手を広げた。ミューエも五〇、ゼンは五七である。
 
「それでも、ルーオンたちよりは高いですね」

 ルーオンとコネーホは、やっとレベル四〇に乗ったくらいだ。上級職には遠い。

 ミューエは上級職として、【クノイチ】を取ったという。ニンジャの女性専門職で、房中術が使えるそうだ。男性を魅了して、情報を聞き出すスキルらしい。

「メグ、ルーオンのコーチを頼みたい」
「あたいがか? あんたじゃダメなのか?」

 同じ剣士職だろ、とメグが聞いてきた。

「俺はサムライと言っても、ウィザード上がりだ。どうしても魔法での肉体強化に依存する。筋力を生かした戦闘を、想定していないんだ」

 その点、メグは上級職の【バーバリアン】に手が届くかという程のムキムキ戦士だ。

「女のあたいが教えるのに抵抗がないってんなら、いいぜ。あたいも、ガキには興味がないし、向こうだって、あたいに欲情しないだろう」

 えらく確信を持って、メグは主張する。服装は、大胆なビキニアーマーだ。思春期の少年には目の毒だと思うのだが。

「上級クラス、【アマゾネス】の特徴があるからね」
「どんなものなんだ?」
「女性を誘惑する系の魅了魔法が、一切効かないのさ。色気がなくなっちまって、男が寄り付かなくなるけどね」
「【戦乙女】って上級職への道が拓けていたが」
「そっちのルートには行かなかった。魔法を覚える必要があってさ」

 武器一本で戦うのが、彼女のスタイルらしい。

「ますます、ルーオンのコーチにふさわしいな。頼めるか?」
「お安い御用だ」

 
 食事を終えて、全員でアイレーナにて顔合わせをした。

「おー、お前がルーオンかー。あたしはメグだ。よろしくな」

 さっそくメグが、ルーオンにヘッドロックをする。

「うわっ。おっぱいが硬い」
「だろー? 巨乳だって筋肉がついたらパンパンになるんだぜー」

 コネーホが二人の間に割り込んで、過剰なスキンシップをやめさせた。

「もう、二人共マジメにやってください!」
「あはは。若いっていいね! こんな純情、久しく忘れていたよ!」

 ガハハ、とメグが豪快に笑う。

「もう、そういうんないですから!」

 冷やかされて、コネーホが頬をふくらませる。

「わーったわーった。んじゃ、明日はよろしくな」

 簡単な自己紹介を終えて、三人はサドラーの宿へ帰っていった。

「そういえばコナツ、ダフネちゃんにジュエルは送ったのか?」
「もちろんだ。お前らにもらった分はすぐに」

 装備の見直しも含め、すべてやってくれているそうだ。

「わかった。明日には新装備で探索ができそうだな」
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