レアドロップしない男、魔法付与装備を生成できる女スライム魔王に溺愛されて、【レアアイテムを破壊する男】として覚醒!

椎名 富比路

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4-2 復興中の街を襲ってきた敵は、殴ります

ポータル増設と、友人との再会

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 ヒルデ王女は、転送ポータルを増やせばいいとアイデアを出す。

「そんなこと、できるのか?」

「できますとも」

 俺たちが知らないだけで、資材運搬用の転送ポータルなどは存在するらしい。

「ポータルを優先的に破壊していたと、ギルドの方々から聞きました。ルダニムは黄金の取れる街として、栄えていたそうですわ。そんな街を壊滅させるなんて」

 あらためて、χカイの危険さを垣間見た。

「必要な魔法石などは、こちらでご用意しましょう」

「いや。いいんだ。フィーンド・ジュエルで代用できるとわかった」

「まあ! すばらしいですわ。ジュエルの可能性は、そんな領域にまで」

 俺自身、ジュエルが公的に役立つとわかってうれしく思っていた。

 フィーンド・ジュエルによるポータル増設により、作業は三〇倍にまで進んだ。

 なにより、街の建築・装備品の資材を【龍の背骨】から直接集めているのがデカい。

 各国のハンターも、集まってきた。彼らにとっても、いい狩り場となっているようである。

 街の安全は、ハンターたちに任せていいだろう。

 とはいえ、安心もできない。

「ストップストップ! ああ~っ」

 アイレーナのハンターギルドに所属するキンバリーが、ポータルで発生した事故の処理に追われている。

「どうしたんだ、キンバリー?」

「ペールディネの作業員が資材を運搬していたんですが、見てください」

 キンバリーが示す先には、運搬用ポータルという大型の転送装置が。資材や車両など、大型の物体を移動させるのに使うポータルだ。装置自体も簡素化していて、魔方陣しか置いていない。現在、五基ほど稼働している。

「どうして、送られてきた鉄骨が欠けているんだ?」

「サイズオーバーですよ」

 ペールディネはインフラ設備のために、ルダニム東部を流れる川に橋を作ろうとしていた。が、資材が転送ポータルから出っ張っていることを知らず、そのまま送ってしまったのだという。

「作業員さんたちの責任ですからね! 我々は関与しませんので!」

 キンバリーが、ペールディネの作業員を叱り飛ばす。

「新人の作業員で、慣れていないみたいなんですよ」

「大変だな」

「ホントですよ! まったく、ハンターギルドがどうしてインフラの管理なんか」

 プリプリ怒りながらも、キンバリーは楽しそうに作業していた。

 かといって、キンバリー及びギルドは今回、味方ともいい切れない。

 ルダニムの街が発展していくのは、クリム包囲網が着々と進んでいることと同じだ。

 ハンターがルダニム及び龍の背骨に集結している理由は、クリムに懸賞金がかけられているからでもある。

 ルダニムに新設されたギルドでも、俺たちは数名に声をかけられた。

「クリムの居所に関して知らないか?」

 友人だったんだから、知っているはずだと。

「俺は、クリムのパーティから追放された身だ。知らん」

 無視をした。

「待てよ」

 ハンターに、俺は肩を掴まれる。

「元パーティメンバーだったからって、抜け駆けするんじゃねえよ」

「死にたくなかったら、その手を離せ」

「へっ! こいつ、オレたちに勝てる気でいやがるぜ!」

「違う。後ろだ」

 ハンターたちが振り返ると、黒金に光るソードオフ・ショットガンが、彼らの頭を狙っていた。

「自分に銃口を向けられているのもわからずに、よくそんなでかい口を叩けるな、おい」

「リック・ロードストリングス……」

 ソードオフの使い手に恐れをなし、俺に因縁をつけてきたハンターたちが一目散に逃げていく。

「あんな奴らなら、この一帯に棲む魔物たちにさえ食われちまうだろうな」

 リックが、ソードオフを肩に担いだ。

「よお。ランバート」

「久しぶりだな、リック」

「まだ、ちょっとの間だぜ」

 俺は、リックと抱き合う。

「ハンターたちの周りだと、リックの方が恐れられているようだ」

「ああ。【秘宝殺しレア・ブレイク】の使い手の存在は、ギルドで秘匿されているからな」

 秘宝殺しという使い手は存在するが、正体が俺であることは各国で伏せられている。

 リックと俺がつながっていると知れば、俺たちに関わろうとはしないだろう。

「どうしたんだ?」

「お前らの様子を見に来た。それと、オレもクリム確保のチームに」

「ヒューコ国の指示か?」

「オレは、ヒューコお抱えのハンターだからな。宮仕えは辛いんだよ」

 リックが、おどけた。

「心配していないよ。お前のボスは、エトムント王だろ?」

 エトムント王は、かつて俺たちと一緒に戦ってくれたメンバーの一人だ。クリムのことも、わかってくれるはずである。

「オレたちが先に見つけ出したら、穏便に済ませてくれるだろうが」

 フェリシアの親戚がいるペールディネとエルトリ、仲間たちが管理しているサドラーとヒューコ国であれば、こちらの事情も汲んでくれよう。しかし、他の国はそうはいかない。

 特にアイレーナは、クリムの故郷であるが、ギルドと親しいわけじゃない。

 悪質なハンターを出し抜くためにも、クリムを真っ先に見つけ出さないと。

「ルーオンとコネーホは?」

「置いてきた。あいつらにクリムは倒せねえ。人質にされたら、それこそ厄介だ」

 で、と、リックが話を続けた。

「クリムの目撃情報が出た」
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