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第五章 FIRE失敗民、最後の戦い!?
第58話 旧友との戦い
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前に敵がいたかと思えば、後ろに回り込まれている。
分身したわけじゃない。前にも後ろにも、敵がいるのだ。同じ顔の敵が。
「これは、ホムンクルス」
高度なホムンクルス技術がなければ、なしえないこと。
「そうだ。アタイはベリト様の配下、ホムンクルス使いのムルル。地球のバーチャルアバター技術を、ホムンクルスに転用したのさ」
こんな芸当ができる人物を、ロニは一人しか知らない。
「ベリト様から教わった、【せーせーえーあい】? とかいうのを採用して、アタイの意のままに操れるんだ」
「キャトレイ、どうしてベリトの手下なんかに? 冒険者になるんだって、言っていたじゃん! なんで、冒険者を邪魔する側に回ったの?」
かつての学友が、闇バイトの関係者になっていたなんて。
「黙れ、ロニ! もうその名前は捨てたんだ! 今のアタイは、ベリト様のしもべ!」
キャトレイは頑なに、自分の過去と向き合おうとしない。
どうする?
大型範囲攻撃魔法は、軒並み使えない。人が多すぎる。野次馬まで、集まってきた。
【レイジ・オブ・エレメンタル】が、往来に被害を及ぼさないとも限らない。
この状況を、どうやって切り抜ければ……。
「しゃらくさいんじゃ。こらあ! 【アックス・ボンバー】」
どこからともなく、ゴツい槍斧が飛んできた。
「アイザック騎士団じゃ! お前ら、避難せえや!」
斧は市民を威嚇するように飛び、避難を促す。
悲鳴を上げながら、市民は逃げていった。
うまい。さすが、大都市だろうと武装して大暴れする、騎士団たちのトップだ。
「なんだい!? うお!?」
ブーメランのように飛び回る斧に、キャトレイが怯む。
コントロールを失ったのか、キャトレイのホムンクルスも手が緩んだ。
そのスキに、ロニは母親とともにネコ獣人から離れる。
「誰だい!? 邪魔してくれて!」
「アイザックじゃ! 往生せえや!」
オーゼ・アイザックが、助けに来てくれた。ロニと母の前に立ち、斧と盾を構える。
「どうして、ここがわかったの?」
「マリエはんから、『イヤな感じがするから、様子見にいったってくれ』って連絡があってな」
「ありがとう、オーゼ。お母さんをお願い」
ロニと共闘すると思っていたのだろう。オーゼ・アイザックは呆気にとられた顔になった。
「ムチャすんなや、ロニ。ワイと二人でコイツをシバいたれ」
「いいから。行って」
「……よっしゃ。ムリはアカンで、ロニ」
母は、オーゼに任せていいだろう。
「そんなに死にたいなら、死に場所くらい選ばせてやろうじゃないか!」
キャトレイが、移動を促す。
「ロニって呼んでよ、キャトレイ。昔みたいにさぁ!」
そう。
ヴェロニカを「ロニ」と呼び出したのは、キャトレイが最初だった。
分身したわけじゃない。前にも後ろにも、敵がいるのだ。同じ顔の敵が。
「これは、ホムンクルス」
高度なホムンクルス技術がなければ、なしえないこと。
「そうだ。アタイはベリト様の配下、ホムンクルス使いのムルル。地球のバーチャルアバター技術を、ホムンクルスに転用したのさ」
こんな芸当ができる人物を、ロニは一人しか知らない。
「ベリト様から教わった、【せーせーえーあい】? とかいうのを採用して、アタイの意のままに操れるんだ」
「キャトレイ、どうしてベリトの手下なんかに? 冒険者になるんだって、言っていたじゃん! なんで、冒険者を邪魔する側に回ったの?」
かつての学友が、闇バイトの関係者になっていたなんて。
「黙れ、ロニ! もうその名前は捨てたんだ! 今のアタイは、ベリト様のしもべ!」
キャトレイは頑なに、自分の過去と向き合おうとしない。
どうする?
大型範囲攻撃魔法は、軒並み使えない。人が多すぎる。野次馬まで、集まってきた。
【レイジ・オブ・エレメンタル】が、往来に被害を及ぼさないとも限らない。
この状況を、どうやって切り抜ければ……。
「しゃらくさいんじゃ。こらあ! 【アックス・ボンバー】」
どこからともなく、ゴツい槍斧が飛んできた。
「アイザック騎士団じゃ! お前ら、避難せえや!」
斧は市民を威嚇するように飛び、避難を促す。
悲鳴を上げながら、市民は逃げていった。
うまい。さすが、大都市だろうと武装して大暴れする、騎士団たちのトップだ。
「なんだい!? うお!?」
ブーメランのように飛び回る斧に、キャトレイが怯む。
コントロールを失ったのか、キャトレイのホムンクルスも手が緩んだ。
そのスキに、ロニは母親とともにネコ獣人から離れる。
「誰だい!? 邪魔してくれて!」
「アイザックじゃ! 往生せえや!」
オーゼ・アイザックが、助けに来てくれた。ロニと母の前に立ち、斧と盾を構える。
「どうして、ここがわかったの?」
「マリエはんから、『イヤな感じがするから、様子見にいったってくれ』って連絡があってな」
「ありがとう、オーゼ。お母さんをお願い」
ロニと共闘すると思っていたのだろう。オーゼ・アイザックは呆気にとられた顔になった。
「ムチャすんなや、ロニ。ワイと二人でコイツをシバいたれ」
「いいから。行って」
「……よっしゃ。ムリはアカンで、ロニ」
母は、オーゼに任せていいだろう。
「そんなに死にたいなら、死に場所くらい選ばせてやろうじゃないか!」
キャトレイが、移動を促す。
「ロニって呼んでよ、キャトレイ。昔みたいにさぁ!」
そう。
ヴェロニカを「ロニ」と呼び出したのは、キャトレイが最初だった。
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