勇者が最速魔王討伐に夢中で世界が崩壊寸前。代わりに友人の僕が領地経営やモフモフ娘の救出など人助けしまくっていたら最強に

椎名 富比路

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第三章 ダンジョンのあとしまつ

第16話 囚人たちを助け出した

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 僕と囚人たちの間には、鉄格子があった。よく見ると、なにかの文字のようなものが刻まれている。これはなんだ? 

 手を触れようとすると、囚人たちが首を振る。やはり、なにか仕掛けがあるのか。

「今、助け出すよ!」

 鉄格子を、マルちゃんが掴もうとした。力で強引にこじ開けるつもりだろう。

「待って!」

 慌てて、僕は止める。

「どうした? 早く助けないと!」
「わかってる! でも、ワナの危険もある」

 その辺の石ころを、鉄格子へ当ててみた。

 バチッ! と石の塊が粉々に。

「うへええ」

 マルちゃんの耳が、しおれた。

 やはり、鉄格子にはワナがしかけられている。

「それに、みんな丸腰だ。武器を取り上げられたんだろう」

 今脱走させたとしても、逃げる手段がない。

「先に装備を取り戻します。どこにあるかわかりますか?」
「奥の倉庫だ。頼む」
「行ってきます!」

 僕たちは、牢屋の奥にある倉庫へ。

「曲者だ!」

 見張りが僕たちに気づいた頃には、みんなで敵を昏倒させていた。僕の体術、エリちゃんの催眠ガス、マルちゃんの高速移動で。

「カギがかかっているぞ」
「任せて」

 見張りが持っていた鍵束から、それっぽい物を見つける。

「これが一番大きい。倉庫の扉が開くかもしれない」

 鍵を開けると、冒険者たちの装備品が大量に見つかった。急いでアイテムボックスの中へ。

 あとは、彼らを逃がすだけ。しかし、キーの差込口に石を投げ入れたら、やはり石が砂に変わった。あのまま鍵を差し込んでいたら……。

 扉の仕掛けを壊さないと。

「この構造について、なにか知っていますか?」

 再び、囚人から話を聞く。

「別室に、制御室があるらしい」

 詳しい場所を聞いて、上の階に。

「監視カメラとか、無線機がなくてよかったよ」

 さすがに、電気までは発達していないらしい。
 そこまで文明を、維持できないのだろう。電流トラップも、仕掛けは魔法で細工しているようだ。

 仮に逃げられたとしても、すぐに捕まえたほうが早いのかもしれない。
 敵はそれだけ、腕に自身があるのだろう。

「まだ魔物がいるぞ」

 大木槌を持った毛むくじゃらの大男と、下半身が蛇の魔法使いが襲ってきた。

「やーっ!」

 マルちゃんが、大男をヒザ蹴りで撃退する。

「くらいなさいっ。ブレイズ!」

 エリちゃんがオイルを床にまいて、火球でモンスターを焼く。

 相手が怯んだところで、僕がとどめを刺した。

「強めの武器が手に入ったよ。交換しておこう」

 魔物を撃退しつつ、装備を更新していく。

 野盗たちとも交戦になったが、相手はたいして驚いていない。しょっちゅう襲撃を受けているのだろう。やはりここはダンジョンの扱いで、敵襲も想定済みのようだ。

 上の階に到着した。制御室に、屈強な男性が立っている。

「ケガをしたくなかったら、こんなことはやめなさい」
「ハン! ボスから力をもらったオレサマに、説教とは!」

 野盗の身体が、膨れ上がった。皮膚を突き破って、モンスターの姿となる。

 なんだ、このバケモノは?
 顔がコブラのような半人半獣で、右手はカマになっていた。身体の弱い部分を補うかのように、機械が各所に埋め込まれている。

 僕が知識として知っているファンタジー系魔物とは、似ても似つかない。

 そういえば、マルちゃんが戦った魔族も、あんな感じだった。

 大量に、こういった怪人を作り出している?

「くらいなさいバケモノ!」

 エリちゃんが、火の玉をモンスターに撃ち込んだ。

「フン!」

 だが、魔物はカマの手を振るっただけで、火球を弾き飛ばしてしまう。

「やっつけるぞ!」

 マルちゃんが飛びかかろうとしたのを、ボクは止めた。今やるべきことは。

「僕が戦う! みんなは制御室を壊して」
「わかった! ぶっ壊せばいい?」
「多分!」

 人の手が触れるんだ。こっちにはトラップなんてないだろう。

 マルちゃんが、コンソールを破壊していく。エリちゃんも、毒ポーションをコンソールの破損部分に流し込む。


「おのれ! 我々の実験場を!」

 カマを振り回し、魔物が襲ってきた。

「囚人たちは、逃したわ!」

 下の階から、エリチャンの声が。鍵を開けてくれたようだ。

「お前の相手はこっちだ!」

 僕は、怪人の行く手を遮る。
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