勇者が最速魔王討伐に夢中で世界が崩壊寸前。代わりに友人の僕が領地経営やモフモフ娘の救出など人助けしまくっていたら最強に

椎名 富比路

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第五章 天空城のあとしまつ

第43話 子連れの男性を助けた

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 どうも、この宇宙人は本当に敵意がないらしい。

「行ってください」
「ああ。そうするよ。助かった」

 宇宙人の男性は、足早に逃げていく。

 それにしても、この城は広いな。ちょっとした島国くらいはあるのでは? 一晩で全部は回りきれないみたいだ。

「見て。あっちでは宇宙人同士が争っているわ!」

 黒い服のモンスターと、赤い服の人間が、光線型の剣で切り合っていた。

 どうしよう、どっちが善人なんだ?

 赤い服の男性の後ろには、小さい子供がいる。彼女をかばっているようだ。

「エリちゃんとマルちゃんは子どもを守って! 閃空斬せんくうざん!」

 仲間二人が小さい子どもをかばっている間に、赤い服の男性に加勢する。

「なにやつ! 貴様もダンダリアンに楯突く不届き者か!」

 黒いローブの異形が、こちらに切っ先を向けてきた。

「ダンダリアンの手先か。だったらやっつけさせてもらう!」
「小僧といえど、手加減できんぞ!」
「僕は小僧じゃない。閃空斬・氷!」

 剣に氷をまとわせて、斬りかかる。

 相手の光る剣と交差して、氷が蒸発した。

「フン。口ほどにも……ぬう!」

 つばぜり合いの際、僕は相手の目に水蒸気が当たるように仕向けたのだ。

 スキなんて、一瞬でいい。

「今です!」

 赤い服の剣士が、黒い怪物の首をはねた。

 男性剣士が、剣をしまう。

「娘をかばってくれて、助かった。礼を言う」

 剣士が、娘を抱きかかえる。子どもはまだ、三歳くらいだろうか。

「すまんが、先を急ぐ。娘の病気を治さないと」

 男性の娘が、咳き込んだ。

「これって、役に立つかしら?」

 エリちゃんが、男性にエリクサーを渡す。

「それは……」
「この世界の万能薬です。お役に立てればいいんだけど」
「助かる!」

 男性が、娘に白い治療液を飲ませた。

「おお、回復した。すごいな」

 娘が、元気を取り戻したらしい。

「一時的なものでもない?」
「詳しくは治療院で診てもらうが、もう大丈夫だろう」

 病気の特徴である目のクマがなくなっているから、治ったとみていいそうだ。

「感謝する。俺はギベオン星人だ」

 ギベオン星人が、懐から取り出した冒険者カードをこちらへ差し出す。こちらの冒険者カードと重ねれば、お金のやり取りができる。

 お金を出そうとしたので、僕たちは丁重に断った。

「いいのか?」
「大変そうな人からは、もらえません」

 この世界で無一文は、大変だ。娘さんのために、使ってもらいたい。

「すまん」と、ギベオン星人は冒険者カードをしまう。

 どうやら、ここの住人は敵ばかりではないらしい。

「それより、情報をください。ここって、どういう施設なんですか?」
「召喚された宇宙人の、ステーションだ。あんたらの世界で言う、港だな」
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