上 下
27 / 53
第四章 クーデター勃発! リシュパン城防衛戦

第27話 サブクエスト

しおりを挟む
『ゴットフリートは、戦力として見ないほうがいいね。王都の仕事が忙しくなるから』

 彼は戦闘より、内政面で役立ってもらう。

「そうですの、ダテさん? 司令役にピッタリと思いましたのに」

『司令塔にも、難しいかな』

 指示役はこちらにヴィル姫、エースチームにはアマネ姫がいる。これ以上の指揮官は必要ない。

『強いんだけどね。彼の強さはどちらかというと、防衛向きなんだ。もうウチは防御は足りているから』

 近々、城の防衛戦がある。

「たしかに、ダテ殿のおっしゃるとおりだ。ボクの攻撃は雑魚モンスターには十分通用したが、ゲミュートの撃退はできなかった」

『そういうこと』

 ゴットフリートのジョブは【フェンサー】だ。大盾で攻撃を防ぎながら、レイピアで魔法攻撃を行う職業である。肉弾戦には向かない。ましてやボスキラー役なんて、荷が重すぎる。

 だからゴットフリートには、内政面でがんばってもらうことにした。

「ですが、どうやって?」

『サブクエストだよ』

 このゲームには、【サブクエスト】というイベントがある。
 戦闘ではなく、内政で味方を増やすイベントだ。

『現在、ゼノンがリシュパンの勢力下にあるでしょ? それは、内政イベントをやったおかげなんだ』

 ヴィル王女に動いてもらい、ゼノンを打倒してもらったのだ。

「王女が、ゼノンを収めていたとは。わたくし、初めて聞きましたわ」
『おとなしいアマネ姫と違って、ヴィル王女は勝手に動くからね』

 その特性があるせいで、王女は私たちが見たほうがいい。というより、ゴドウィンたちの手に余るのだ。

『今回は、グレーデンに味方を増やすよ。そうやって、ゴットフリートが政治でも活躍できるってアピールするんだ』

 まずは、リシュパンの王様を説得する。

「我々リシュパンは、出過ぎたマネをしたのでは?」

 リシュパン王は、私たちがゼノンを倒したことについて、グレーデンの面子を潰したのではときにしていたのだ。

「それは、もったなきお言葉。不甲斐ない我々グレーデンの落ち度でございます」

「そうおっしゃってくださると。して、交易関係の話ですが、難しいかもと」

 同じ王都同士、リシュパンもグレーデンとは馬が合わなかった。
 グレーデンは、勢力争いが耐えない。
 そのとばっちりを受けるのではないかと、リシュパンは警戒をしている。誰の味方をするかも、慎重になっていた。

「リシュパン国王。今はいがみ合っている場合ではございません。ともに魔王打倒を達成いたしましょう」

「わかっておるのだが、問題はその後だ。交易面では、どのようなメリットが?」

「といいますと?」

「あなた方は、軍事国家でしょうに。軍事力をいただいても、我々には他国と戦争を起こす気はござらん」

 魔王軍打倒の最前列にいるリシュパンは、民衆の経済力を気にしているらしい。戦争にかまけて、民の生活を脅かしているのではないかと。

「オヤジィ、そういう意味じゃ、あたしらリシュパンだって軍事国家だわ。よそから見ていれば、オーバーテクノロジーに囲まれた大国なのよ?」

「そういうが、ヴィルジニー。リシュパニウムは医術や交通にも貢献している。戦闘に使うだけではないのだ」

 リシュパンとしては、戦争より交易などで需要を得たいのだ。

「現在グレーデンは、サクラダとも交流をしております。リシュパンに直接、貿易ができるように手配いたしますわ」

 サクラダの姫であるアマネ様が、助け船を出す。

「それはありがたい」 

 こうして、グレーデンとリシュパンは協力関係を築く。

「大丈夫ですの? 勝手に約束してしまって」

『現在のグレーデン指導者は、実質ゴットフリートだよ。大丈夫だって』

 アマネ姫はサクラダへと帰ることになった。リシュパンと交流することを、国王へ報告するために。

 その前に、サブリナの工房にて装備品の整理だ。

 妖怪軍団との戦闘で、大量の素材や装備が手に入っている。

 各々が、装備を更新していく。

 不用品はすべて錬金ツボで溶かし、私の強化素材に。レベルがカンストしている以上、私の強化はサブリナ頼みになる。

「不用品や、低レベルの素材だけでいいのかい? 強い素材は、全部ゼットにあげちゃってさ』

『私より、ゼットさんの強化を優先して。お願い』

「心得たよ」

 サブリナは、ゼットさんも錬金ツボの中へ。

 私はプレイヤースキルで乗り切れる。ゼットさんはそうはいかない。それに、弱い装備品からもいい素材は取れる。要は高価さより、実用性が大事なのだ。

「二つとも、ほとんど別物になっているんだけどね」

 パワーアップした【魔神の盾】は、もはや原型をとどめていなかった。
 すごいぞ。【魔力回復:中】まで手に入った。もう、私は不沈艦に近い。
 
 これでイーデンちゃんが、戦闘に集中できる。

『見違えたねゼットさん』

『あなたほどではありません、ダテさん。武器にはなるわ、マップ兵器にはなるわ。ワタシにはマネができません』

『いやいや、ゼットさんだって、【コピー】の技能で私と同じ武器になれるじゃん。
【エナジーシールド】まで手に入ったからね』

『ですが、あなたの攻撃力まではコピーできません』

 続いて、技能の見直しだ。


「あたしは、あたしは?」

 さっそくヴィル王女が、私に意見を求めてくる。

『王女は今後、後衛に回ってもらいます』

「えーっ!?」
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

捨て方に困るから

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,209pt お気に入り:1

悪役令嬢は逆鱗に触れました

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:5

処理中です...