ダンジョンを出禁にされたJK二人組は、母校の旧校舎型ダンジョンを守護するバイトを始めました。

椎名 富比路

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第五章 鬼族が合宿を襲撃! 防衛ミッション!

第49話 水着のギャングたちの画策 ~ギャングサイド~

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 七星ななほし 洲桃すももと、金盞花きんせんか 晴子はるこが、装備のメンテナンスをしていたその頃……。

 巫女喫茶に、大勢の女生徒と冒険者が集まっていた。

「いいか、お前たち。今日こそケーサツ側をギャフンと言わせるんでよろしくぅ!」

「「「「「よろしくぅ!」」」」」

 ギャング連合のチームリーダー、トローゼ・フィングスは、仲間を鼓舞する。
 エドワード大学付属女学院の、三年生だ。
 この地雷系ビキニは、副長の二年、パニ・キュラータと揃えた。「今の流行っすよ」と言っていたが、絶対ウソだろう。

「昨日は最強の布陣で挑んだのに、負けちまうとは」
  
 前回のミュージアム襲撃では、不覚を取った。
 巳柳みやなぎ高校の愚地おろち三姉妹や、一般参加の冒険者を信頼しすぎて、連携が取れなかったせいである。

「フリーダム過ぎて、収集がつかなくなっていましたわね」

 愚地三姉妹の長女、友希那ゆきなが、発言した。
 巳柳の三年生であり、それなりの実力がある。

 昨日はケンカしたが、今はお互いに落ち着きを取り戻していた。
 というのも、次女の三澄みすみから、どえらい説教を受けたためだとか。

「だよな。ある程度の連携が必要だったんだなーと、思い知らされたぜ」

 ソファにもたれながら、トロはため息をつく。
 
 ミュージアム襲撃は、誰の主導で行くかすら決めていなかった。
 そのせいで、誰が手柄を取るかでモメてしまったのである。
 結果、その隙をつかれて勇者に捕まった。

 あと我々は案外、アドリブに弱い。
 ある程度のシナリオが必要なのだなと、思い知らされた。

「今回は、こんな感じのフォーメーションで、置きに行こうかって思ってるんだけど。冒険者のみなさんは、よろしいか?」

 トロは、冒険者にお伺いを立てる。

 生徒主導のイベントなので、トロが実質的なリーダーだ。
 冒険者も、理解はしてくれているだろう。
 とはいえ、協力してくれるのだ。礼節はわきまえる。

「あのドラゴンキラーの女に妹のリベンジができるなら、それで構わない」

 四〇代くらいの男性冒険者が、鉄棍を振り回す。

 ドラゴンキラーの女……洲桃か。

 男性の隣では、三〇代くらいの女性冒険者が、スマホで電話をかけていた。相手は、夫だという。

「兄貴、やっぱ帰るね。うちの子、熱が出たって」

「娘の病気なら、仕方ない。昨日も、集中できていなかったろ? 家のことがなかったら、お前も本気が出せたろうに」

「いやいや。こればっかりは、言い訳にならない。あの七星って女の子、本当にめっちゃ強いよ。兄貴も気をつけて」
 
 冒険者側は冒険者で、色々と事情を抱えているようだ。

 自分は、どういう人生を送るのだろう? 
 ダンジョンの建設だけで、満足だと思っていた。将来は歴代先輩のように、バリキャリがいいなと思っていたが。かといって、六割が独身と言われると……。

「先輩、時間っすよ。いつまで、トリップしてるんすか?」

「おっと」
 
 パニに呼びかけられて、トロは我に返った。

「他に用事のあるものは、いねえか?」

 愚地三姉妹の三女、青葉あおばが手を挙げる。

「あのさあ、さっきから鬼怨おにおん組の話題が出てないじゃん。警戒すべきはケイサツじゃなくて、そっちだと思うんだけど?」

「おめーの言いたいことはわかる。ただこればっかりは、考えても仕方ねえ。相手がガチ勢である以上、気にしても対策のしようがねえんだよ。場当たり的に、対処するしかないかなって」

「いかにも、ウチらしいね。変に相手をしない辺り、余裕すら感じるよ」

「おうよ。こんなの、望むところだろ? おめーさんも。企画のブチ壊しを恐れてウジウジ悩むなんて、あたいたちらしくねえじゃん」

「だよねえ」

 トロが挑発すると、青葉も悪い顔になった。

「ごめんください……」

 企画会議は基本、運営にも秘匿である。
 そこに、謎の人物が現れた。
 全員に緊張が走る。
 
 茶屋の玄関にいたのは、なんと睡蓮すいれん ティナだった。

「おめー、勇者連合じゃん。一人か?」

「はい」
 
「どうやってココに来た? 用事はないはずだろーが」
 
「忘れ物をした、とウソついて、みんなに黙ってこっそりと」
 
「なにお前、スパイなん?」

 トロが尋ねると、ティナは首をふる。

「違います。そういうんじゃないんで」

「じゃあどうして?」

「実はみなさんに、ご相談がありまして。勇者連合では、この事態に対処できません」
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