10 / 48
第一問 日本で初めてコーヒーを飲んだ、歴史上の人物は? ~クイズ番組研究会、発足~
「いとしのエリー」は、誰のために作られた?
しおりを挟む
ネタばらしをする前に、のんが答えを言ってしまった。
「えー!?」
「はい。福原 昌子。僕の一つ上です」
僕が話すと、嘉穂さんと湊が呆然とした。
「嘉穂たんは、クイズ研究部だったよね。気付かなかったのかい?」
「入部して間もなかったので、部長ってしか呼んでませんでした。それにしても全然似てませんね!」
「兄弟全部が顔が似てるわけじゃないですから」
名護姉妹を見てしまうと、きょうだいって似るのかな、と錯覚してしまいそうになるが。
「最近、めちゃ仲悪いしなー。しょーたと昌子姉って」
「そうねぇ。昌子も晶ちゃんが嫌いなワケじゃないんだけどね」
姉の率いるクイズ研は知識一辺倒になっていき、本来の楽しいクイズから遠ざかっている。
ゆったりしたムードというものが、薄れつつあった。
ピリピリした雰囲気が家庭内にも漂い、僕たちは衝突してしまうことが増えている。
「それにしても、しょーた、今のままでいいのか?」
のんが足を止めた。
「何がだよ……」
「しょーたがクイズ好きになったきっかけって、昌子姉の影響だろ?」
僕は、言葉をなくす。
「へえ、そうだったんだ」
のんと湊からそう言われて、顔をそらす。
「昌子姉の夢がクイズ王で、お前の夢が『姉貴の出てるクイズ番組の司会』じゃないのかー?」
「なのにケンカ中だと。どうしてあんなに辛辣なんだい?」
一呼吸置いて、僕は二人に回答した。
「あんなのが家族だって、思いたくなかったんだよ」
クイズ王になるんだという、姉の言い分は分かる。
だが、エンジョイまで排除しようとする戦い方に納得ができるかと言えば話は別だ。
「でも、なんだかロマンチックですぅ」
「どこにロマンチックな要素が?」
「ロマンチックじゃないですか、同じ夢を姉弟で持ってるなんて。私、一人っ子なので」
兄弟がいるのがうらやましいのかも。
「でも、どうして姉さんは、嘉穂さんを追い出すようなマネを?」
いくら、嘉穂さんを大切に育てようとしていたからと言って。
「そうまでしないと、嘉穂たんが部活をやめてくれないから、じゃないかな?」
湊の言葉で、僕は納得した。
嘉穂さんが後腐れなくクイズ研を抜けられるように、自分が悪者になって。
今頃になって、僕は姉さんの意図に気づく。
ホントに不器用な姉だな、と我が姉ながら思う。
「仲直りはした方がいいかな。クイズ研究部には今後もお世話になるんだし。ウチも挨拶しておきたいし」
嘉穂さんに続き、湊も僕に姉との仲直りを促す。
そうは言っても、納得できない。僕は答えを渋った。
「それにさ、晶太くんだって意識してたんじゃないですかぁ? だって」
「ああ、最終問題ね。いとしのエリー」
嘉穂さんの意図が分かったのか、湊があごに手を当てる。
「それがどうしたんだよ」
「じゃあ、問題です。いとしのエリーの歌詞は、とある二人の人物を歌ったものとされています。一人は奥さんの原由子さん、もう一人は誰でしょう?」
嘉穂さんが、僕に問題を投げかけてきた。
「岩本えり子さんです」
桑田佳祐の実の姉だ。二〇〇八年に亡くなっている。
だが、「エリーという響きがよかっただけ」と桑田氏は語っている。
「あ……」
「ほら、無意識でも気にはしてたんじゃ?」
「そんなこと」
「仲直りなんて、できなくてもいいじゃないか。そういうのは時間が解決してくれるから。とにかく今は……どら焼きだ」
和菓子屋『とらのこ』を向いて、湊が呟く。
「待ってて」
僕は先に入店した。みんなに待っていてもらう。
「どうぞ、みんな」
四人は、呆気にとられた顔をした。
クイズ番組研究会で、優勝賞品は出ない。これは僕が個人的に送る、感謝の気持ちだ。
「みんな、今日はありがとう。これは、僕からみんなに」
人数分のどら焼きを分ける。
「じゃあ、嘉穂には多めにあげないとなー」と、のんが紙袋からどら焼きを出して、嘉穂の両手に置いて行く。
「ありがとうございますぅ」
「ウチらは一個ずつでいいや。ありがたくもらっておくよ、福原」
それと、と嘉穂さんが微笑んだ。
「え、いいの、みんな?」
「いいんです。楽しかったのは、福原君だけじゃないですから」
嘉穂さんにそう言ってもらえたのが、何よりうれしかった。
「そっか、じゃあ、遠慮なく」
「福原、鼻血」と、湊が言う。
僕は慌てて、袖で鼻を拭った。何もついていないじゃないか!
「騙したな、湊!」
「でも、鼻の下伸ばしてたのは事実だから」
湊がイタズラっぽく笑う。
◆
帰ってくると、姉の昌子が居間でTVを見ていた。
僕の帰宅に気付くと、手を後ろに組みながら居間から玄関に歩いてくる。
「ほらよ」
姉さんに和菓子の包みを差し出す。さっき買ってきたのだ。
「なぁんだ、考えること、同じかよ」
だが、姉さんの方も、僕とまったく包みを差し出している。
「それって」
「ほら、あんた好きだったじゃん。○×どら焼き」
僕は苦笑した。同じ物を姉さんも買ってきてたからだ。
「晶太」
同じような苦笑いを昌子が浮かべる。
思えば、姉さんは嘉穂さんの元へ真っ先に駆けつけ謝罪したという。
ガサツな姉だと思っていたが、案外繊細な部分があるのかもしれないな。
「何だよ?」
謝るのか? 僕に? しょうながないなぁ。許してやるか。
「お茶」
……ああ?
「はあっ!? お前、こんな良い感じの流れで頼むか普通! お茶ぐらい自分で淹れやがれよクソ姉貴!」
こんな姉を許してやろうとした自分をブン殴りたいよこんちくしょう!
「女を働かせるなよ、このクソ弟」
そう言いながら、リビングへと引っ込んでいく。
これじゃあ、またケンカになりそうだ。
だが、こういうのも悪くない。
そう思いながら、僕は台所に向かい熱い緑茶を注ぐ。
(第一章 完)
「えー!?」
「はい。福原 昌子。僕の一つ上です」
僕が話すと、嘉穂さんと湊が呆然とした。
「嘉穂たんは、クイズ研究部だったよね。気付かなかったのかい?」
「入部して間もなかったので、部長ってしか呼んでませんでした。それにしても全然似てませんね!」
「兄弟全部が顔が似てるわけじゃないですから」
名護姉妹を見てしまうと、きょうだいって似るのかな、と錯覚してしまいそうになるが。
「最近、めちゃ仲悪いしなー。しょーたと昌子姉って」
「そうねぇ。昌子も晶ちゃんが嫌いなワケじゃないんだけどね」
姉の率いるクイズ研は知識一辺倒になっていき、本来の楽しいクイズから遠ざかっている。
ゆったりしたムードというものが、薄れつつあった。
ピリピリした雰囲気が家庭内にも漂い、僕たちは衝突してしまうことが増えている。
「それにしても、しょーた、今のままでいいのか?」
のんが足を止めた。
「何がだよ……」
「しょーたがクイズ好きになったきっかけって、昌子姉の影響だろ?」
僕は、言葉をなくす。
「へえ、そうだったんだ」
のんと湊からそう言われて、顔をそらす。
「昌子姉の夢がクイズ王で、お前の夢が『姉貴の出てるクイズ番組の司会』じゃないのかー?」
「なのにケンカ中だと。どうしてあんなに辛辣なんだい?」
一呼吸置いて、僕は二人に回答した。
「あんなのが家族だって、思いたくなかったんだよ」
クイズ王になるんだという、姉の言い分は分かる。
だが、エンジョイまで排除しようとする戦い方に納得ができるかと言えば話は別だ。
「でも、なんだかロマンチックですぅ」
「どこにロマンチックな要素が?」
「ロマンチックじゃないですか、同じ夢を姉弟で持ってるなんて。私、一人っ子なので」
兄弟がいるのがうらやましいのかも。
「でも、どうして姉さんは、嘉穂さんを追い出すようなマネを?」
いくら、嘉穂さんを大切に育てようとしていたからと言って。
「そうまでしないと、嘉穂たんが部活をやめてくれないから、じゃないかな?」
湊の言葉で、僕は納得した。
嘉穂さんが後腐れなくクイズ研を抜けられるように、自分が悪者になって。
今頃になって、僕は姉さんの意図に気づく。
ホントに不器用な姉だな、と我が姉ながら思う。
「仲直りはした方がいいかな。クイズ研究部には今後もお世話になるんだし。ウチも挨拶しておきたいし」
嘉穂さんに続き、湊も僕に姉との仲直りを促す。
そうは言っても、納得できない。僕は答えを渋った。
「それにさ、晶太くんだって意識してたんじゃないですかぁ? だって」
「ああ、最終問題ね。いとしのエリー」
嘉穂さんの意図が分かったのか、湊があごに手を当てる。
「それがどうしたんだよ」
「じゃあ、問題です。いとしのエリーの歌詞は、とある二人の人物を歌ったものとされています。一人は奥さんの原由子さん、もう一人は誰でしょう?」
嘉穂さんが、僕に問題を投げかけてきた。
「岩本えり子さんです」
桑田佳祐の実の姉だ。二〇〇八年に亡くなっている。
だが、「エリーという響きがよかっただけ」と桑田氏は語っている。
「あ……」
「ほら、無意識でも気にはしてたんじゃ?」
「そんなこと」
「仲直りなんて、できなくてもいいじゃないか。そういうのは時間が解決してくれるから。とにかく今は……どら焼きだ」
和菓子屋『とらのこ』を向いて、湊が呟く。
「待ってて」
僕は先に入店した。みんなに待っていてもらう。
「どうぞ、みんな」
四人は、呆気にとられた顔をした。
クイズ番組研究会で、優勝賞品は出ない。これは僕が個人的に送る、感謝の気持ちだ。
「みんな、今日はありがとう。これは、僕からみんなに」
人数分のどら焼きを分ける。
「じゃあ、嘉穂には多めにあげないとなー」と、のんが紙袋からどら焼きを出して、嘉穂の両手に置いて行く。
「ありがとうございますぅ」
「ウチらは一個ずつでいいや。ありがたくもらっておくよ、福原」
それと、と嘉穂さんが微笑んだ。
「え、いいの、みんな?」
「いいんです。楽しかったのは、福原君だけじゃないですから」
嘉穂さんにそう言ってもらえたのが、何よりうれしかった。
「そっか、じゃあ、遠慮なく」
「福原、鼻血」と、湊が言う。
僕は慌てて、袖で鼻を拭った。何もついていないじゃないか!
「騙したな、湊!」
「でも、鼻の下伸ばしてたのは事実だから」
湊がイタズラっぽく笑う。
◆
帰ってくると、姉の昌子が居間でTVを見ていた。
僕の帰宅に気付くと、手を後ろに組みながら居間から玄関に歩いてくる。
「ほらよ」
姉さんに和菓子の包みを差し出す。さっき買ってきたのだ。
「なぁんだ、考えること、同じかよ」
だが、姉さんの方も、僕とまったく包みを差し出している。
「それって」
「ほら、あんた好きだったじゃん。○×どら焼き」
僕は苦笑した。同じ物を姉さんも買ってきてたからだ。
「晶太」
同じような苦笑いを昌子が浮かべる。
思えば、姉さんは嘉穂さんの元へ真っ先に駆けつけ謝罪したという。
ガサツな姉だと思っていたが、案外繊細な部分があるのかもしれないな。
「何だよ?」
謝るのか? 僕に? しょうながないなぁ。許してやるか。
「お茶」
……ああ?
「はあっ!? お前、こんな良い感じの流れで頼むか普通! お茶ぐらい自分で淹れやがれよクソ姉貴!」
こんな姉を許してやろうとした自分をブン殴りたいよこんちくしょう!
「女を働かせるなよ、このクソ弟」
そう言いながら、リビングへと引っ込んでいく。
これじゃあ、またケンカになりそうだ。
だが、こういうのも悪くない。
そう思いながら、僕は台所に向かい熱い緑茶を注ぐ。
(第一章 完)
0
あなたにおすすめの小説
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界帰りのエージェント、天才教え子(美女)に「間違った恋愛知識」で攻められる ~最強ドールと古代工房の謎~
よっしぃ
ファンタジー
【「45歳のおっさん」オリコンランキング18位・書籍化作家の最新作!】
━━━━
22年ぶりの帰郷――その姿、パンツ一丁でラベンダーまみれ。
━━━━
橘譲二、42歳。異世界日本での22年間の潜入任務を終え、ようやく故郷アストリア王国への帰還を果たした元エージェント。
しかし、転移魔法の強制発動により、入浴中に召喚されてしまう。
王宮謁見の間。その姿は――パンツ一丁、肩からずり落ちるバスタオル、全身ラベンダー色、片手には洗濯カゴ。
22年の功績は一瞬で水泡に帰し、追放を宣告される。相棒ゴーレム「コロ」は瀕死。絶体絶命のヨルグ・シュタイン。
そんな彼を救ったのは、かつての教え子――今や王国屈指のゴーレム技術者となった、美しきアリア=セレスティアだった。
「先生、わたくしがお助けいたします!」
しかし、彼女の「師匠への献身」は、闇ルートで入手した5冊の『愛の聖典(バイブル)』――通称"薄い本"――で学んだ独自理論に基づいており……!?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【登場人物】
■ ヨルグ・シュタイン(橘譲二) / 42歳
元アストリア王国エージェント。22年間、異世界日本で営業マンとして潜入任務を遂行。中間管理職としての鋼のメンタルと、ゴーレム技術の知識を持つ。情けないが、いざという時は頼りになる。
■ アリア=セレスティア / 30代前半
王国屈指のゴーレム技術者。かつてヨルグから技術を学んだ元教え子。22年間、師匠の帰還を待ち続け、5冊の"薄い本"で恋愛を研究。天然だが技術は超一流。勝負下着へのこだわりが強い。
■ レティシア(コロ)
高性能アンドロイド。元は犬型ゴーレム「コロ」だったが、アリアの技術で美少女型に再生。冷静沈着なAIだが、ヨルグへの忠誠心は絶対。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 毎日更新(ストック93話+書き下ろし継続中!)
■ 開始3日で第一部(第30話)まで一気読み可能!
■ 既刊:「45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる」
(アルファポリス刊/Oricon総合18位)
━━━━
情けない中年エージェント × 天然暴走スーツ美人 × 高性能アンドロイド。
パンツ一丁から始まる、異世界ファンタジーコメディ!
━━━━
【見どころ】
✓ 42歳おっさんの情けなくも愛しい日常
✓ 天然スーツ美人の暴走する献身
✓ テンポの良い会話劇とコメディ
✓ ゴーレム技術とAIの融合
✓ ラブコメ要素も充実
✓ 【薄い本】で学んだ恋愛理論の実践(?)
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる