クイズ「番組」研究部 ~『それでは問題! ブタの貯金箱の正式名は?』「資本主義のブタ!」『はあっ!?』~

椎名 富比路

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最終問題 それでは問題、で・す・が!

エピローグ

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 聖城先輩が、夏の試合を機に引退をした。
 優勝という輝かしい記録を残し、クイズ女王の栄冠を勝ち取った。
 写真に写る、全ての欲を捨て去ったような笑顔は、あのストイックな先輩からはとても考えられない。
 
 あれ以来、聖城先輩は部室に来ることも、嘉穂さんの勧誘にも来なくなった。
 自分の中で、納得ができたのだろう。
 現在、先輩は受験勉強にシフトして、クイズはしばらくお預けの生活を送っているらしい。

                                      ◆

 僕たちはと言うと……。
「はい湊選手、不正解! 『岩倉使節団』なんて名前のアイドルユニットなんていねーよ!」
 相変わらず、湊のボケに悩まされ、
「おい、そこ。メモ取ろうとするな。マジでいないからなそんなアイドルユニット……」
 のんの天然さに呆然となり、
「やなせ姉、誰も見てないからって、僕と手を繋ごうとしないで!」
 やなせ姉のセクハラに頭を抱えている。
 
「はい。津田選手、正解です」
 嘉穂さんだけが癒やしだ。

「以上で、今回のクイズ番組研究会、終了です! では、次回は夏休みの後にお会いしましょう!」
 僕はカメラの前に手を振って、挨拶を終える。
「お疲れ様でした。皆さん」

「疲れたのだー」
 のんが背伸びをする。

「あっという間だったわね、一学期」
 しみじみとしながら、やなせ姉が台本を片づけた。

「濃厚で慌ただしかったよねぇ」
 湊が首を回す。

「それだけ楽しかったんですよ」
 笑顔で嘉穂さんが机の片付けを手伝う。
 嘉穂さんが動き出すと同時に、他の女性陣もてきぱきと片づけを手伝い始めた。

「どうする、夏休み、また集まって何かしようか?」

「また野外ロケしたいです!」
 嘉穂さんが手を挙げて元気よく答えた。
「あれ、楽しかったね。嘉穂たんが一番ハイテンションだったし」
「い、いえいえ、あ、あれは、その……」
「デートが潰されたから、ヤケッパチだったのかい?」
「いやいやいや、デートだなんてそんな!」

 そうだ。いつまで誤解しているのやら。

「嘉穂よ、素直になるんだ」
「はう!?」
 のんの爆弾発言に、嘉穂さんが固まった。

「お腹が空いたの、ガマンしてたんだろ?」

「え、ええ。まあ……」
 事情が分かってないなりに、のんがアドバイスを送る。
 嘉穂さんが苦笑いを浮かべた。

「じゃあさ、また特番やろう。この間の公園みたいにさ」
「いいわね。またビーチに遊びに来てね」
 湊が提案すると、やなせ姉がすぐに乗ってきた。
「是非やりたいです!」
「オイラもやりたいぞー」
 嘉穂さん、のんがワイワイと喜ぶ。
「それで湊、何を企んでるんだ?」
「水着インタビュー」
「またそれかよ!」
 僕のピコピコハンマーが、湊のデコにクリーンヒットした。
 嘉穂さんが爆笑する。相変わらず嘉穂さんのゲラ癖は治らないらしい。
「それで、ウチが考えたカップルクイズだけど」
 
 そういえば、文化祭で出す予定だったな。
 家族やカップル関係の二人に関連する問題を出して、答えが一致するかで両者の絆を確かめ合う企画だったはずだ。
 
「二人も出るんだよね?」
「出るか!」

 そういう関係じゃないってば! 何度言わせるんだ。

「え、わたしはいいですよ?」
「何を言ってんの、嘉穂さん!?」
 特に嫌そうな顔なんて見せずに、嘉穂さんは微笑む。

 嘉穂さんの発言の真意は、僕には当分わからないだろう。

(完)
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