44 / 91
第三章 夏と海とJK
第41話 風呂上がりはコーヒー牛乳に限る問題
しおりを挟む
「たしか、あの店でしたね」
好美から出た名は、大将の店だった。
米田 友膳というのが、大将の名前である。
好美の母は長女で、旅館のフロントが次女らしい。
海の家を営んでいるのは、フロントの息子なんだとか。
「よろしければ、お食事でもご一緒しませんか? 今でしたら、お二方の分もご用意できますわ」
もうすぐ、大広間を使って宴会が始まるという。
「あいにく、もう頼んでいまして」
気さくに誘ってくれるのはありがたい。が、これ以上詮索されるのも困る。
「そうですわね。せっかくお二人だけのご旅行ですものね」
変な遠慮をされた。
「じゃあ、お祭りもお二人で?」
宿の廊下に、ポスターが貼ってあった。今日は花火大会があるという。
「この時期は毎年、従業員の子供たちを縁日に連れて行くのよ。誰かがチビのお守りを頼まれているの。今年は私たちの番なのよ」
宴会なんて子供たちには退屈だろうから、夕飯も兼ねて花火大会へ連れ出すらしい。
「この花火は有名なの。わざわざ見に来る観光客もいらっしゃるのよ。琴子ちゃんに浴衣もお貸ししますよ。山ほどあるから」
「そうなんですね。琴子、好美ちゃんと行ってこいよ」
ここは友人に譲るべきだ。
「えーっ。一緒に行こうよ」と、琴子がステップを踏む。
「財布にされる」
「いいじゃん! JK二人をはべらせられるよ。両手に花」
「通報される!」
琴子のテンションに、好美も若干気後れしている。
「わたしもご一緒するので。お邪魔はしませんわ」
好美ママにゴリ押しされ、孝明は琴子とのお祭り見物に付き合うこととなった。
「じゃあ、お風呂に入ってらっしゃい。浴衣を用意しておくわ」
「はーい」
琴子と好美が、大浴場へ向かう。
孝明も後に続いた。
温泉に浸かり、疲れを癒やす。
琴子に身分を明かし、多少は気持ちが晴れた。
琴子も、少しは落ち着いてくれただろうか。
「コメくーん!」
女湯から琴子に声をかけられ、慌てて湯船に深く沈んだ。
「なんだよ?」
「先に上がって待っててー。着付けに結構、時間が掛かりそうだからー」
「ああ。分かった。ゆっくりしてるから焦らなくていいぞ」
「うーん」
正直焦った。思わず湯浴み中の琴子を想像してしまう。
邪念を払うように、頭と身体を洗った。
旅館から支給された浴衣に着替える。
風呂上がりと言えば、コーヒー牛乳だ。
酒が飲めるならビールなんだろうが。
ビンのコーヒー牛乳を一気飲みし、一息つく。
「お待たせ」
好美ママ指定の浴衣を着た琴子が、女湯から出てきた。
下駄に合わせて、えび茶色の生地に花火が上がっている。
白地にひまわり柄の好美が隣に。
好美ママと子どもたちも合流して、お祭りの会場へと向かった。
カランコロンと、琴子たちの下駄がリズムを取る。
「二人とも似合ってるよ」
素直な感想を、孝明は告げた。
「好美ちゃんのセンスがいいんだよー。じゃあ行こっか」
琴子が率先して、先頭を歩く。
好美から出た名は、大将の店だった。
米田 友膳というのが、大将の名前である。
好美の母は長女で、旅館のフロントが次女らしい。
海の家を営んでいるのは、フロントの息子なんだとか。
「よろしければ、お食事でもご一緒しませんか? 今でしたら、お二方の分もご用意できますわ」
もうすぐ、大広間を使って宴会が始まるという。
「あいにく、もう頼んでいまして」
気さくに誘ってくれるのはありがたい。が、これ以上詮索されるのも困る。
「そうですわね。せっかくお二人だけのご旅行ですものね」
変な遠慮をされた。
「じゃあ、お祭りもお二人で?」
宿の廊下に、ポスターが貼ってあった。今日は花火大会があるという。
「この時期は毎年、従業員の子供たちを縁日に連れて行くのよ。誰かがチビのお守りを頼まれているの。今年は私たちの番なのよ」
宴会なんて子供たちには退屈だろうから、夕飯も兼ねて花火大会へ連れ出すらしい。
「この花火は有名なの。わざわざ見に来る観光客もいらっしゃるのよ。琴子ちゃんに浴衣もお貸ししますよ。山ほどあるから」
「そうなんですね。琴子、好美ちゃんと行ってこいよ」
ここは友人に譲るべきだ。
「えーっ。一緒に行こうよ」と、琴子がステップを踏む。
「財布にされる」
「いいじゃん! JK二人をはべらせられるよ。両手に花」
「通報される!」
琴子のテンションに、好美も若干気後れしている。
「わたしもご一緒するので。お邪魔はしませんわ」
好美ママにゴリ押しされ、孝明は琴子とのお祭り見物に付き合うこととなった。
「じゃあ、お風呂に入ってらっしゃい。浴衣を用意しておくわ」
「はーい」
琴子と好美が、大浴場へ向かう。
孝明も後に続いた。
温泉に浸かり、疲れを癒やす。
琴子に身分を明かし、多少は気持ちが晴れた。
琴子も、少しは落ち着いてくれただろうか。
「コメくーん!」
女湯から琴子に声をかけられ、慌てて湯船に深く沈んだ。
「なんだよ?」
「先に上がって待っててー。着付けに結構、時間が掛かりそうだからー」
「ああ。分かった。ゆっくりしてるから焦らなくていいぞ」
「うーん」
正直焦った。思わず湯浴み中の琴子を想像してしまう。
邪念を払うように、頭と身体を洗った。
旅館から支給された浴衣に着替える。
風呂上がりと言えば、コーヒー牛乳だ。
酒が飲めるならビールなんだろうが。
ビンのコーヒー牛乳を一気飲みし、一息つく。
「お待たせ」
好美ママ指定の浴衣を着た琴子が、女湯から出てきた。
下駄に合わせて、えび茶色の生地に花火が上がっている。
白地にひまわり柄の好美が隣に。
好美ママと子どもたちも合流して、お祭りの会場へと向かった。
カランコロンと、琴子たちの下駄がリズムを取る。
「二人とも似合ってるよ」
素直な感想を、孝明は告げた。
「好美ちゃんのセンスがいいんだよー。じゃあ行こっか」
琴子が率先して、先頭を歩く。
0
あなたにおすすめの小説
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編7が完結しました!(2026.1.29)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』
まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。
朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。
「ご主人様の笑顔が見たいんです」
その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。
全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!?
甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。
「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」
「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」
「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる