38 / 74
第四章 元暗黒騎士、塔の地下アイドルを守る
第38話 特訓(家事
しおりを挟む
ようやくジルも目が冴えてきたのか、業務を開始した。書類に目を通し、はんこを押しまくる。
「俺が手伝える仕事は、ないか?」
「モンには、ございませんわ。わたくしたちドラゴンの業務は、専門性が高すぎますの」
ジルは俺の質問にさらっと答えた後、けたたましく鳴る壁掛け電話に意識を移す。声がワントーン高くなった辺り、客人相手のようだ。俺の知らない言語で、話している。
頭を使うし、接客もこなさなければならない。
単細胞で無愛想では務まらないと、俺は自覚した。
「ただ、家事はほとんど片付いちまったんだよ」
【チェイン・ライトニング・スピア】を駆使したせいで、ビルの住居エリアはすべて仕事が終わっている。
一〇分ほど仕事をしただけなのに、もう身体はガタガタだが。
「お仕事は、なくはないですわ。『おふぃす』の上から下まで、お掃除してくださいな」
また、掃除か。とはいえ、仕事があるだけありがたいな。やってやろうじゃないか。
「チェイン・ライトニング・スピア!」
全力移動魔法で、ビルの床を磨いていく。槍のアタッチメントには、もちろんモップを装着する。
ジルが文句を言ってこないレベルで、ピッカピカにしていった。
「はあ、はあ。こんなもんかな」
やはり、時間が余ってしまったじゃないか。
ジルがなにも教えてくれないなら、独学でもするかな。
「失礼、なんの仕事をしているんだ?」
「【ぽって】のグッズを、開発しています」
「……ぽって?」
なんだそれ? そんなヤツら、アクータ塔にいたか?
「ご存知ありませんか? アクータ塔で活動している、アイドルグループですよ。【一歩先で待ってる】、略して【ぽって】」
「アイドルグループにしては、キレた名前だな」
「最近は、そういうネーミングが流行りなんですよ」
従業員は、『ピーちゃん』というのが推しだという。
「モンさんも、ピーちゃん見ます? ピーキーちゃんを略して、ピーちゃんって呼ばれています」
「随分とイカレた、あだ名だな」
「言動がピーキーすぎるから、ピーキーちゃんと呼ばれているんですよ。この子です」
俺は、木彫りのフィギュアを見せてもらった。こんなのが、売られているんだな。
「……どっかで見た顔なんだよなあ」
確実に知っている顔なんだが、思い出せん。デフォルメされている上に、思いっきり顔を化粧でデコレートしているせいだ。
「たくさんあるんで、差し上げますよ」
「いや結構。大事にしてくれる人に、恵んでやってくれ」
俺は、フィギュアを返す。
「俺が手伝える仕事は、ないか?」
「モンには、ございませんわ。わたくしたちドラゴンの業務は、専門性が高すぎますの」
ジルは俺の質問にさらっと答えた後、けたたましく鳴る壁掛け電話に意識を移す。声がワントーン高くなった辺り、客人相手のようだ。俺の知らない言語で、話している。
頭を使うし、接客もこなさなければならない。
単細胞で無愛想では務まらないと、俺は自覚した。
「ただ、家事はほとんど片付いちまったんだよ」
【チェイン・ライトニング・スピア】を駆使したせいで、ビルの住居エリアはすべて仕事が終わっている。
一〇分ほど仕事をしただけなのに、もう身体はガタガタだが。
「お仕事は、なくはないですわ。『おふぃす』の上から下まで、お掃除してくださいな」
また、掃除か。とはいえ、仕事があるだけありがたいな。やってやろうじゃないか。
「チェイン・ライトニング・スピア!」
全力移動魔法で、ビルの床を磨いていく。槍のアタッチメントには、もちろんモップを装着する。
ジルが文句を言ってこないレベルで、ピッカピカにしていった。
「はあ、はあ。こんなもんかな」
やはり、時間が余ってしまったじゃないか。
ジルがなにも教えてくれないなら、独学でもするかな。
「失礼、なんの仕事をしているんだ?」
「【ぽって】のグッズを、開発しています」
「……ぽって?」
なんだそれ? そんなヤツら、アクータ塔にいたか?
「ご存知ありませんか? アクータ塔で活動している、アイドルグループですよ。【一歩先で待ってる】、略して【ぽって】」
「アイドルグループにしては、キレた名前だな」
「最近は、そういうネーミングが流行りなんですよ」
従業員は、『ピーちゃん』というのが推しだという。
「モンさんも、ピーちゃん見ます? ピーキーちゃんを略して、ピーちゃんって呼ばれています」
「随分とイカレた、あだ名だな」
「言動がピーキーすぎるから、ピーキーちゃんと呼ばれているんですよ。この子です」
俺は、木彫りのフィギュアを見せてもらった。こんなのが、売られているんだな。
「……どっかで見た顔なんだよなあ」
確実に知っている顔なんだが、思い出せん。デフォルメされている上に、思いっきり顔を化粧でデコレートしているせいだ。
「たくさんあるんで、差し上げますよ」
「いや結構。大事にしてくれる人に、恵んでやってくれ」
俺は、フィギュアを返す。
0
あなたにおすすめの小説
鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった
仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる