失業暗黒騎士、勇者の姪である姫が作った街の門番に転職するも、姫様のほうが明らかに強い

椎名 富比路

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最終章 暗黒騎士よ、勇者殺害の黒幕を暴け

第74話 最終話 暗黒騎士 新生プルソン・セルバンデス

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 次元の裂け目の向こう側から、さらに次元の裂け目ができている。
 それも複数も。
 勇者キサラギの言う通り、何万も裂け目があった。

「この世界は、おしまいだ。魔王プルソンの配下が、大量にこの地に向かってくる。そうなれば、魔物たちの軍勢を我々だけでは抑えられぬ」

 武器を構えつつも、キサラギは絶望的な顔をしている。

「プルソンねえ。なら、俺に考えがある」

「あなた? シモン?」

 我が妻ジルが、首を傾げた。

「相手はプルソンの手下なんだろ? だったら、やることは一つだ」

 俺は、笛を鳴らす。

 裂け目から、大量の魔物たちが溢れ出した。
 みな一様に、俺の笛の音に聴き惚れている。

「鎮まれよ、皆のもの。プルソン・セルバンデスは倒れた。俺が倒した。息子である、このシモン・セルバンデスがな」
 
 俺の言葉に、魔物たちが静まり返った。

「今日から、俺がプルソン・セルバンデスだ! そして、コイツが、俺の嫁! ジリーク・セルバンデスだ。ドラゴンだぞ。キレさせると怖いぞ」

 俺は、ジルを抱き寄せる。

「どうだ? ベルゼビュート四天王も、伝説の勇者たちも揃い踏みだ。このメンバーを相手にして細切れにされたくなければ、早急に元の世界へ帰れ。イヤだと言うなら、全力でお相手しよう」

 魔物たちに、俺は撤退を迫った。
 
 おとなしく、魔物たちは引き下がる。プルソンが死んでも、魔物たちの支配は息子に引き継がれると理解できたようだ。


「父であるプルソンを倒したからか、すごいカリスマ性ですね」

 ヒナ王女が、俺を称賛する。

 だが、どこか退屈そう。

「お前さんの言いたいことは、よくわかるよ」

 俺は、魔物たちを呼び止めた。

「おい、本当に帰るやつがあるかよ?」

 去ろうとする魔物たちの足が、止まる。

「ここで引き下がって、それでも世界を震撼させた魔族騎士の配下か? 戦闘力だけなら最強と言われた騎士の手下かよ?」

 魔物たちの目の色から、歓喜の表情が。
 こいつらも、退屈を解消したいんだな。

「来いよ。この王が、二代目プルソン・セルバンデスこと、シモンが許す。全力で殺しに来い!」

「シモン・セルバンデス! 貴様、正気か!? せっかく追い出すチャンスだった魔物たちを、みすみす呼び戻すなど!」

「あんたこそ、正気かよ、勇者キサラギ。若者のバトル疲れって柄じゃねえだろうが? これだけのご馳走が、自分から降ってきてくれるんだ。食わねえ選択肢はない」

「狂っている。やはり貴様らは、鬼だ」

「最高の、褒め言葉だぜ。俺たちの行いを蛮行と呼ぶなら、止めてみなよ。この魔物たちを退けながらな!」

「望むところだ!」

 よし、言質取った。

 俺はヒナ王女とともに、ニヤリと笑う。

 つくづく俺もヒナも、戦闘狂だ。


(完)
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