DTをこじらせたおっさん魔道士、地球からJKを召喚してしまう

椎名 富比路

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第二章 DT、JKと宿屋で二人きりに!?

パクパカ使いのJK

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「お、おごおお!」

 セルベールの首が、曲がってはいけない方向へ曲がった。
 あれで生きているのは、さすが魔族というところか。

 何も考えていないのか、パクパカはセルベールに背を向けて折れた木の枝から葉を食べている。

「むおおおお! おのれ人間のメスめ! ロバート・デューイ! この決着は必ず!」

 よろめきながらも、道化師は立ち上がった。

「ねえ、コイツからもっと聞くことある?」

 セルベールが話しているにも構わず、ヒナマルは道化師を指差す。

「ないよ」

 コイツは嘘つきだ。情報を引き出したところでブラフの可能性がある。ならば、聞く耳を持たない方がマシだ。


「パクパカ、キック」

 後ろ足で、パクパカはセルベールの顔面を蹴り上げた。

「ふんごぉ!」


 アゴを打ち抜かれて、セルベールはきれいな放物線を描いてぶっ飛ばされた。

「やりすぎたかな?」
「いや。あれだけやっても、おつりがくるくらいさ。彼はそれだけ、多くの命を奪った」

 彼の策略によって、どれだけの街が地図から消えていったか。

「すごい悪い奴なんだね。あのオッサン」
「殺意は高いね。この世界で一、二を争う、危険なヤツだよ。やっつけてくれてありがとう」
「でも、まだ死んでないよね?」
「それでも、脅威は去った。キミの機転のおかげだ」

 ヒナマルがパクパカを動かしていなければ、油断したロバートたちの前で街が焼かれていただろう。

 ダンジョンを出ると、隣国の冒険者たちがオークと斬り合っていた。ロバートの顔を見て安心したのか、活力溢れる勢いでオークの群れを壊滅させる。

「人がいっぱい! 助けに来てくれたんだね?」
「派手な魔法を使ったのに、理由があるっていったろ? これが、理由ってワケ」

 単に「モンスターの群れが、街を襲っている」と伝えても、隣の国から見れば脅威に感じてくれない。

 戦の炎が上がっていれば、
「魔物の群れによって、こちらにも被害が及ぶ」
 という説得力が生まれる。

 実際、それだけの規模だった。
 冒険者からすれば大した敵でなくても、街からすれば十分恐ろしい。

 だからこそ、特大の魔法を派手にぶっ放す必要があったのだ。

「無理矢理撃ち込んでいたわけじゃ、ないんだね」

「もちろん。ちゃんと計算してるんですよ?」
 得意げに、ロバートは指を立てた。

『何を言っておるか。まんまと敵に逃げられたくせに』
「まあ、そうなんですけどね」
『魔族の側近が動いているとなると、油断ならん。対策を打たねば』

 肩を落とすロバートを、ヒナマルは「まあまあ」と励ます。
「次に出くわしたら、やっつければいいじゃん」

「それもそうだね」

 街が見えてきた。

 パクパカを、門の前にある駅に返す。

 ステートルの街にある冒険者ギルドで、ロバートはギルマスのレックスに事情を説明した。

「と、まあこういうワケだ」
「どういうワケだよ?」

 テーブルに置かれたミノタウロスの斧を見て、レックスは唖然となる。

「隣町と連携して、ようやく魔物の抑え込みに成功したかと思えば、セルベールのご登場とはね」

 深く、レックスはため息をついた。

「ため息をつきたいのは、こっちだよ。またアイツを相手にするなんて」

 しかも、何をしでかすかわからない。
 
「魔王を復活させるために動いていると思うが、次にどの街を狙うか見当が付かねえ」

「いや、ヤツの向かいそうな場所はわかるよ」
 ロバートは、地図に指を這わせる。

 ステートルからほど遠い、とある大陸の中心に置かれた。
 山々に囲まれた広大な土地には、立派な城が建っている。

「王都ブッシュマイヤーか」
「どんな所なん?」
「エライ王様がいる。この辺りで最も栄えている都市だよ」

 ロバートに続き、レックスが後を追う。

「それだけじゃないぜ。俺たちの仲間の一人である、ヘザーの拠点がある。次に狙うのは、ヘザーだろう」

 ヘザーは、王の護衛をするかたわら、診療所も経営している。


 セルベールは、ヘザーもろとも王の息の根を止めようとしているのだろうか。
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