DTをこじらせたおっさん魔道士、地球からJKを召喚してしまう

椎名 富比路

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第五章 ラストバトル! さよならJK!?

パリピ対JK 最終決戦

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「くそお!」
「助太刀する!」

 操っているものを倒せばいいという判断になったのだろう。ロバートとパーシヴァルは同時に動いた。

 狙うは、セルベールの首だ。

 しかし、ドラゴンゾンビのしっぽに遮られ、進めない。

 レッドドラゴンが、ブレスでゾンビ龍の皮膚を焼く。しかし、またも再生してしまった。

「なにか、手はないか?」
「ムリだって! こいつは、ウチのいうことも聞かないもん!」
「そうなのか?」
「うん。オヤジの言うことしか聞かなかった」

 ならば、父親である魔王の影響を受けているということか。しかし、他界している魔王の力を、セルベールはどこから?

「ロバート、足元を見るのだ!」

 パーシヴァルの指摘どおり、セルベールの足を見た。

 そこには、魔王の生首が芦毛にされているではないか。

「あの頭を伝って、セルベールが司令を送り込んでいるのか!」
「そのようだな!」

 パーシヴァルが、セルベールへ向けて単身挑む。

「ロバートはスキを見て、セルベールから魔王の頭部を奪うのだ!」

 指示を飛ばした直後、パーシヴァルはセルベールと戦闘になった。八本以上ある多関節の触腕を、パーシヴァルは槍一本で打ち払う。

「よしきた!」

 ロバートは、指で笛を作った。吹くと、パクパカが二頭、ロバートの前に。

「カズコ、ヒナマルを乗せてやってくれ。ヒナマル、ドラゴンはミュリエルに任せるんだ!」

 ヒナマルは「わかった!」と返し、黄色いパクパカに飛び移った。

 入れ替わりで、レッドドラゴンの背中にはミュリエルが。ヒナマルかミュリエル、どちらかがやられたら負けだ。

 ヒナマルとは違って、ミュリエルの攻撃指示は容赦がない。
 打撃や斬撃など、インファイトでロバートたちから邪竜を遠ざけていく。
 魔法でムリヤリ命令を聞かせているのだろう。しかし、おそらく長くは持つまい。

 短期決戦だ。

「おおおおっ!」

 横乗り気味にパクパカにまたがって、重心を低くする。

 パーシヴァルとの戦闘で周りが見えなくなっているセルベールを狙うなら、今しかない。

 足元にある魔王の首に、手をのばす。

 直後、セルベールが背負う触腕の先が、死神の鎌のようになる。

「あなた方の狙いなど、お見通しですよ!」

 セルベールの鎌が、ロバートの腕に伸びた。

「それはどうかな?」

 玉砕覚悟で、ロバートは鎌を手甲で覆った腕で掴む。

「は、離せ!」

 ロバートを振り払おうと、セルベールがもがく。

 魔王の首に、もうひとつの腕が伸びる。

「なあ!」

 自分の腕を犠牲にしてでも、ロバートは魔王の首を取らせるつもりだった。

「ユミ!」

 ヒナマルが、ミュリエルに向かって生首を飛ばす。

 ミュリエルは、ヒナマルから来たパスを見事にキャッチする。

「ナイキャッチ!」
「伊達に一緒にバスケの授業とかしてないって!」

 父親の首をボール呼ばわりなのは置いておき、ミュリエルはドラゴンゾンビに指示を送った。

「あ、あああ」

 恐怖に怯えながら、セルベールが尻餅をつく。

「離すのです! いいかげんにワタシからどけええ!」

 半狂乱になりながら、セルベールはロバートを蹴り飛ばした。触腕を数本持っていかれながらも、セルベールはロバートの拘束から脱出する。

「ロバちゃんをいじめてんじゃねええ!」

 またしても、黄色いパクパカの後ろ足が、セルベールの顎に炸裂した。

「ごはあ!?」

 またしても、セルベールが宙を舞う。

「あいつを食っちまえ!」と、ミュリエルがドラゴンに指示を出す。

 ドラゴンゾンビが、天に向かって大口を開けた。

 セルベールが、その口へと吸い込まれていく。

「くそお、なぜなんですか? なぜワタシが、こんな目にいいいいい!」

 バキバキと音を立てて、セルベールの肉体がドラゴンゾンビの口で砕けていった。やがて、魔力が完全に消滅する。

「もう大丈夫だよ。ヒナマル。あとは……」

 空に広がるチキュウの光景を見つめる魔王ミュリエルから、笑顔が消えた。


 そう。あとは、ヒナマルが帰るだけ。
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