DTをこじらせたおっさん魔道士、地球からJKを召喚してしまう

椎名 富比路

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第五章 ラストバトル! さよならJK!?

最終話 DTとJK、その後

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「コロッケ、いかがですかー?」

 ロバートは、露天でコロッケを揚げている。
 場所は、ヒナマルと一緒に降りた地球の公園だ。

「どうロバちゃん、順調?」

 仕入れに行っていたヒナマルが、軽四に乗って帰ってきた。

「ああ。すごい売り上げだよ。午前中はこれでいいだろう」

 あれから、どれくらい経っただろう?
 
 ヒナマルは無事に、学校を卒業した。
 
 ロバートも、ヒナマルの両親を頼ってこの仕事を得る。
 
 大学に行く気がなかったヒナマルは、すぐにロバートを手伝ってくれた。

 コロッケを揚げられる程度の、小さな屋台だ。それでも、自分の城である。
 上げるのは牛肉、かぼちゃ、カニクリーム。
 どれも、ヒナマルの好きなものだ。
 お寿司屋の娘がコロッケを揚げるとは、両親は予想できただろうか。

「うまそうじゃのう、一つくれんか」

 一人の老女が、屋台の前に立つ。

「ありがとうござ……オババ!」

 なんと、現れたのはミニムであった。それも人間体の。

「うーん、うまいのう。これが二人の愛の結晶というわけか」

 ミニム老師が、カニクリームコロッケにかじりつく。「未知のものが食べたい」と、即決で頼んだのだ。

 コロッケはあっという間に売り切れて、今は店を畳んでいる。

「愛の結晶は、こっちですよ。オババ」

 ロバートは、ヒナマルの背にいる娘の頭をなでた。

「やー」と、娘が笑う。

「ワシがお前の子を見ることになるとは。両親や兄妹には悪いが」
「写真をどうぞー」

 ヒナマルは、よく気が利く。
 誰が来てもいいように、ちゃんと写真を撮っておいてあるのだ。

「よく来てくれたね。魔力? がなくて、大変なんじゃ」
「大丈夫じゃわい。ヒナマルに会うため、手を尽くしたからのう。その代わり、あまりとどまることはできんが」
「会いに来てくれて、ありがと。オババ」
「うむ。ワシもうれしいぞ。おお、そうじゃ、ミュリエルにも、子どもが生まれたゾイ」

 ミュリエルが写った写真を、ヒナマルに見せる。

「うわあ。かわいい! 男の子かー。あたしの子と結婚させよっかなー?」
「それもええのう」

 ヒナマルがミニムと話していると、娘がグズり出した。おそらく母乳を欲している。

 子どもをヒナマルにまかせて、ミニムと話し合う。

「あれから、向こうの世界はどうなりました?」
「人類と魔族との和平が、成立したわい」

 ミュリエルとパーシヴァルは、隠居生活を送っていた。
 だが、世界はそれを許さなかったらしい。
 魔族が弱体化した責任を取らされ、ミュリエルは結局、魔王として担ぎ上げられたとか。

「でのう、好き勝手やっとるわい」

 彼女を魔王にしてしまったため、魔族は大きな顔ができなくなったそうな。
 人類に敵対していた魔族などは、完全に勢力が縮小しているという。 

「そっちはどうなんじゃ?」
「実は、セルベールが来ました」
「なんと!?」

 ミニムが身構えると、ロバートは首を振った。

「勝手に自滅しました。ご安心を」
「ううむ。脅かすでないわい」
「すいません。でも、これでようやく、ボクも落ち着くことができます」

 ロバートは、自身の身の上を話す。

 ヒナマルの両親は、ロバートの話をあっさり信じてくれた。
 パーシヴァルたちの知り合いだという言葉がよかったのだろう。
 なにより、ヒナマルを無事に連れて帰ったのが好印象だったらしい。
 欲望に負けて手を出していたら、どうなっていたか。

 卒業と同時に入籍し、子どもも得た。

「そうじゃのう。では、もう時間でな。さらばじゃ」
 授乳中のヒナマルに声をかけ、ミニムは帰っていく。

「さて、午後もがんばろう」
「頼むね。ダンナサマ」
「うん。ありがとうヒナマル」
「なにが?」
「ボクの奥さんになってくれて」
「なにをいまさら」
 
 世界を救った大賢者と呼ばれた男は、今はチキュウでコロッケを揚げている。

 決して、落ちぶれたわけじゃない。

 今が一番幸せだから。

      (完)
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