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第六章 最終決戦

第60話 アウゴエイデス破壊

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「わが一八の腕よ、力を貸してくれ!」

 僕は、【魔改造】で作り上げた腕で、カイムーン王に殴りかかる。

 だが、魔法障壁に阻まれた。

「ムダだ! 我はアウゴエイデスに守られておる! この強固な壁は、誰にも突き破れぬぞ!」

「あっそう。じゃあ、こういうのはどうだい? 【電光石火】!」

 僕はすべてのパーツを分離して、それぞれに【電光石火】のスキルを乗せる。

「気でも触れたか、ディートヘルム!? そんな攻撃、いくらやってもワシは貫けんぞ!」

「お前はね。でも」

 電光石火の切っ先を、すべて外側に向けた。

「行け!」

 螺旋状の雷は、アウゴエイデスの内蔵を突き破る。

 カイムーン王がダメなら、アウゴエイデスを内側から潰してやろうじゃん。

「まだまだだ! もっと、もっと魔力を上げろ!」

 雷はより早く、螺旋を描く。
 しかし、硬い外壁を崩せない。

「ダメか。だったらリユ、キミの力を借りる!」

 僕は、リユのカタナを胃壁に突き刺した。ありったけの魔力を、カタナに注ぎ込む。
 リユのカタナは、僕の魔力を炎へと変換した。アウゴエイデスの血管を巡って、炎が流れ込んでいく。

 アウゴエイデスが、悲鳴に似た声を上げる。皮膚が焼けただれ始めた。

 僕も危ういが、魔王のほうがもっと辛そうである。
 ついに、アウゴエイデスの肉を突き抜けた。振動で、巨人がヒザから崩れ落ちているのがわかる。

「な、くそ!」

 魔力供給が切れたのだろう。カイムーン王の障壁が途切れた。
 しかし、僕も魔王の肉体から落下する。

「情けなし、ディートヘルム。そのまま奈落まで落ちてしまえ!」

「死ぬかよ! 【フォース・エスパーダ】!」

 魔力で刃を形成し、僕はカイムーン王へと剣を伸ばす。

「バカめ! 届くわけ……」

 そこまで告げて、カイムーンはものを言わなくなった。
 光の剣が、カイムーンの腹を切り裂いたのである。ちょうど、アウゴエイデスと同じように。ついでに、首もはね飛ばした。
 魔王からの魔力供給を絶たれたカイムーン王は、肉体が枯れ果てて灰となる。

「見たか、これが一八代も続く、僕たちの、力だ」

 ゴホ、と僕は血を吐く。魔力を使いすぎたみたいだ。限界までフォースエスパーダを伸ばしたのが、致命的になったか。
 このままでは、落下死は必至である。
 せっかく、お嫁さんが待ってくれているのに。

『緊急脱出プログラム、作動』

 何も命令をしていないのに、ヒーターシールドと一八の腕が勝手に融合を始めた。その形は、僕がよく知っているゴーレムの姿で。

「トラマル!?」
「間に合ってよかったです。殿下」

 ヒーターシールドがヨロイを、アイアンゴーレムのトラマルに変えた。
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