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第四章 和風ファンタジーの魔法学校を、オロチから救え
第15話 背徳のスク水(修正済み
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ヤマト国へ向かっている船が、小島に到着した。
島への物資の提供と補給のため、しばらく滞在するという。
ビーチもあるな。もうちょっと遊べそうだ。
船員が、島に物資の詰まったコンテナをおろしていた。
魔法を使って、オレも手伝う。
「ベップおじさん、どうかな?」
「おおおおおお!」
ミラベルが、背徳的な姿で現れた。
着ているのは、スク水である。
思わず、荷物を落としそうになった。
慌てて、キャッチする。
「どうしたんだ、ミラベル?」
「船のお掃除を、お手伝いしようかなって」
長旅で、船が結構汚れていた。
この島での滞在は、その掃除も兼ねている。
「おじさんが買ってくれた水着でやってもよかったんだけど、汚れちゃうからね。それに」
「ん?」
「ベップおじさんが、見たそうだったから」
ミラベルが、照れくさそうに告げた。
「川で泳ぐときはスク水だ」と言ったとき、オレが見たそうにしていたのを、覚えていたらしい。
なんと、いじらしいんだ! サービス精神よすぎだろ!
「うんうん! いいと思うぞ」
あくまで、平静を装う。
だが、オレの気分は最高潮に達していた。
オレは今、どんな富豪や国王よりも幸せだと断言できる。
いかんいかん、掃除だったよな。
オレも水魔法を唱え、甲板に放水した。
濡れた甲板を、ブラシで擦る。
いやああ。すばらしい!
過去一でご褒美だと思うぞ。
言っておくが、オレは断じてロリが好きなのではない。
ミラベルが好きなんだ。
オレのために、ミラベルはスク水を着てくれている。
その優しさなども含めて、ミラベルが好きなんだ。
「そういえばさ、ベップおじさん。よく、あのカメの弱点がわかったよね?」
ブラシで甲板を擦りながら、ミラベルがオレに問いかける。
「ああ。オレのバフを遮断するくらいだから、なんか攻略法があるんだろうなと思ってな」
逆算して、「オレのバフは必要ないのかもしれない」と考えたんだ。
ミラベルはいつも、オレのバフがあるから戦えていた。
しかし今は、もう充分に強い。
あの戦いは、ミラベルが自力で敵の猛攻を突破できるかどうかのテストだった用に思える。
でなければ、攻略対象ヒロインだけで戦わせようなんて考えない。
この手のゲームは、たいていプレイヤーが戦うもんだ。
しかしこのエンドコンテンツは、明らかにヒロインの方へ比重が置かれている。
プレイヤーはサポートに徹し、ヒロインが目立つような仕掛けがなされていた。
それを裏付けるような、今回のプレイヤーとヒロインの断絶。
考えるに、ヒロインはひとりでもボスを倒せるレベルだと教えているようなものだった。
裏読みし過ぎかなとも思ったが、そうとしか。
だが、ミラベルにいくら説明しても、「ここはゲームの世界だから、その法則を推理したのだ」なんて伝えようがない。
「ミラベルが、強くなっていたからな。カメには致命的な弱点があったと思っただけさ」
そういう説明に、とどめた。
「終わったぞ。出発するってよ」
甲板の汚れを流し、オレは放水をやめる。
「うん」
ミラベルの方も、すっかり泥だらけになっていた。
オレはついでに、掃除で汚れたミラベルの身体をスク水越しに洗う。
紺色のスク水が、オレの魔法で濡れる。
「ところでベップおじさんは、スク水以外にもわたしに着て欲しい服とかはある?」
「急に何を!?」
「ここまで来たらさ、ベップおじさんに喜んでもらおうって思って」
「ありがたいな」
そうだな……。せっかく日本に近い世界に入るわけだから。
「制服は、一度着て欲しいかも」
「学生服かー。魔法学校に入れるのは、貴族とか王族とかだから、わたしは着る機会がないかな」
だよな。
「民間人用の魔法科学校なら、ありますぞい」
島の長老らしき人物が、オレたちに声をかけてきた。
「ほんと!?」
「ええ。ヤマトに向かわれるのじゃな? ならば、聞いてみるとよろしいですぞ」
ヤマト国は、民間人にも魔法が浸透しているらしい。
カネさえ払えば、誰にでも魔法を教えてくれるという。
身につくかどうかは、本人の素質次第だそうだ。
「いいの?」
オレも、いいのかなと思う。
学校なんて通ったら、三年は拘束されるかもと思っていたのだが。
「オレたちは、旅のものなんだ。一箇所に滞在していいものか」
「心配は無用ですぞ。短期間で魔法を学べるコースもございますぞい」
本来の学校のように、長い年月をかけて共同生活を強いる場ではないらしい。
いわばカルチャーセンターや、自動車教習所みたいなもんか。「技術だけ教えます」って、感じの。
なら、いいかもしれない。
「学校、行ってみたい!」
ミラベルが、うれしそうにはしゃぐ。
「いいな。ありがとう、じいさま」
「いえいえ。ワシは勧誘をしているまででして」
長老っぽいじいさんが、名刺を差し出す。
「なるほど」
その人物は、魔法学校の理事長だった。
誘ってくれていたのか。
「あなた方、それなりに熟練の魔法使い殿とお見受けしますじゃ」
「まあ。そうなんだろうな」
ラスボスとも、出会ってるしな。
「では、ワシの願いを聞いていただきたいのです」
「ふむ」
オレは、長老から事情を聞く。
船が、ヤマト国に到着した。
やはりオレが思っていた通りで、和風ファンタジーっぽい雰囲気が漂う。
街行く人も、着物姿が目立つ。
また、もうひとつ特徴があった。
ケモミミというか、ほぼ顔がケモノのような種族がけっこういる。
哺乳類ばかりではない、リザードマン侍やカエル人間の僧侶などが、人と混じって暮らしていた。
どうやら、亜人種OKな国のようだ。
ならば魔法が浸透していても、不思議ではない。
こちらも、ネコミミで対抗だ。
と、思っていたら、もうミラベルはネコミミフードを被っていた。
「すごい、マッチしているね」
「いいな。こういう自由な国ってのは、いいもんだ」
さっそく、冒険者ギルドでブックマーク。
離れ小島で学校に関しての依頼を受けたことも、ちゃんと伝えておく。
「理事長直々の依頼とはね。あんたら、相当見込まれているよ」
耳の長いエルフの受付嬢から、にこやかに返された。
長老からの依頼は、オロチ退治だ。
学校の近くにある神社に、オロチは封印されていらしい。
だが、何者かがその封印を弱めたというのだ。
「ベップおじさん。その人物って……」
「おそらく、イクスだろうな。どこまでも、オレたちの邪魔をする気らしい」
完全には破られていないが、再封印するにはもう一度結界を自ら破る必要があるとか。
オロチを鎮めるための術者を育成しているというが、なかなかオロチを打倒できるレベルには育っていないという。
一人だけ、素質のある子はいるらしい。
その子は、理事長の孫娘だという。
かつて理事長は、オロチを封印した本人だった。
しかし激闘で身体を痛め、更新の育成のために引退。
孫娘というのは、民間人の男性との間に生まれた子らしい。
理事長としては、普通人として暮らしてもらいたかったそうだ。
が、オロチとの宿命の戦いは、避けられそうにない。
孫をサポートしてくれないかと、依頼してきたのである。
おお、白い制服が眩しい。
セーラー服とか、いいじゃないか。
「さてさて、その子は、どこにいるのやら」
「あの子じゃない?」
小柄な少女が、購買の前でオドオドしていた。
白いキツネ耳で、白いシッポが生えている。
長老が教えてくれた特徴と、よく似ていた。
だが少女は、購買の雑踏に入ることができない。
「あなた、なにがほしいの?」
「おいなりさん」
「買ってくるよ!」
ミラベルが人混みをかき分け、おいなりさんを探す。
「ベップおじさん、おいなりさんってどれ?」
知らないで、並んでたのかよ!
「茶色いおにぎりだ」
「黒いもので包んでいるおにぎりも、セットにあるよ!」
「それだ! それを買って」
戻ってきたミラベルの手には、助六が。
「はいどうぞ。これでいいのかな?」
「ありがとうございます。まさしくこれです。おいなりさんと巻き寿司セット!」
よかった。助六で、合っているらしい。
「わたしはミラベル。あなたは?」
「キョーコといいます」
見つけた。理事長の孫を。
島への物資の提供と補給のため、しばらく滞在するという。
ビーチもあるな。もうちょっと遊べそうだ。
船員が、島に物資の詰まったコンテナをおろしていた。
魔法を使って、オレも手伝う。
「ベップおじさん、どうかな?」
「おおおおおお!」
ミラベルが、背徳的な姿で現れた。
着ているのは、スク水である。
思わず、荷物を落としそうになった。
慌てて、キャッチする。
「どうしたんだ、ミラベル?」
「船のお掃除を、お手伝いしようかなって」
長旅で、船が結構汚れていた。
この島での滞在は、その掃除も兼ねている。
「おじさんが買ってくれた水着でやってもよかったんだけど、汚れちゃうからね。それに」
「ん?」
「ベップおじさんが、見たそうだったから」
ミラベルが、照れくさそうに告げた。
「川で泳ぐときはスク水だ」と言ったとき、オレが見たそうにしていたのを、覚えていたらしい。
なんと、いじらしいんだ! サービス精神よすぎだろ!
「うんうん! いいと思うぞ」
あくまで、平静を装う。
だが、オレの気分は最高潮に達していた。
オレは今、どんな富豪や国王よりも幸せだと断言できる。
いかんいかん、掃除だったよな。
オレも水魔法を唱え、甲板に放水した。
濡れた甲板を、ブラシで擦る。
いやああ。すばらしい!
過去一でご褒美だと思うぞ。
言っておくが、オレは断じてロリが好きなのではない。
ミラベルが好きなんだ。
オレのために、ミラベルはスク水を着てくれている。
その優しさなども含めて、ミラベルが好きなんだ。
「そういえばさ、ベップおじさん。よく、あのカメの弱点がわかったよね?」
ブラシで甲板を擦りながら、ミラベルがオレに問いかける。
「ああ。オレのバフを遮断するくらいだから、なんか攻略法があるんだろうなと思ってな」
逆算して、「オレのバフは必要ないのかもしれない」と考えたんだ。
ミラベルはいつも、オレのバフがあるから戦えていた。
しかし今は、もう充分に強い。
あの戦いは、ミラベルが自力で敵の猛攻を突破できるかどうかのテストだった用に思える。
でなければ、攻略対象ヒロインだけで戦わせようなんて考えない。
この手のゲームは、たいていプレイヤーが戦うもんだ。
しかしこのエンドコンテンツは、明らかにヒロインの方へ比重が置かれている。
プレイヤーはサポートに徹し、ヒロインが目立つような仕掛けがなされていた。
それを裏付けるような、今回のプレイヤーとヒロインの断絶。
考えるに、ヒロインはひとりでもボスを倒せるレベルだと教えているようなものだった。
裏読みし過ぎかなとも思ったが、そうとしか。
だが、ミラベルにいくら説明しても、「ここはゲームの世界だから、その法則を推理したのだ」なんて伝えようがない。
「ミラベルが、強くなっていたからな。カメには致命的な弱点があったと思っただけさ」
そういう説明に、とどめた。
「終わったぞ。出発するってよ」
甲板の汚れを流し、オレは放水をやめる。
「うん」
ミラベルの方も、すっかり泥だらけになっていた。
オレはついでに、掃除で汚れたミラベルの身体をスク水越しに洗う。
紺色のスク水が、オレの魔法で濡れる。
「ところでベップおじさんは、スク水以外にもわたしに着て欲しい服とかはある?」
「急に何を!?」
「ここまで来たらさ、ベップおじさんに喜んでもらおうって思って」
「ありがたいな」
そうだな……。せっかく日本に近い世界に入るわけだから。
「制服は、一度着て欲しいかも」
「学生服かー。魔法学校に入れるのは、貴族とか王族とかだから、わたしは着る機会がないかな」
だよな。
「民間人用の魔法科学校なら、ありますぞい」
島の長老らしき人物が、オレたちに声をかけてきた。
「ほんと!?」
「ええ。ヤマトに向かわれるのじゃな? ならば、聞いてみるとよろしいですぞ」
ヤマト国は、民間人にも魔法が浸透しているらしい。
カネさえ払えば、誰にでも魔法を教えてくれるという。
身につくかどうかは、本人の素質次第だそうだ。
「いいの?」
オレも、いいのかなと思う。
学校なんて通ったら、三年は拘束されるかもと思っていたのだが。
「オレたちは、旅のものなんだ。一箇所に滞在していいものか」
「心配は無用ですぞ。短期間で魔法を学べるコースもございますぞい」
本来の学校のように、長い年月をかけて共同生活を強いる場ではないらしい。
いわばカルチャーセンターや、自動車教習所みたいなもんか。「技術だけ教えます」って、感じの。
なら、いいかもしれない。
「学校、行ってみたい!」
ミラベルが、うれしそうにはしゃぐ。
「いいな。ありがとう、じいさま」
「いえいえ。ワシは勧誘をしているまででして」
長老っぽいじいさんが、名刺を差し出す。
「なるほど」
その人物は、魔法学校の理事長だった。
誘ってくれていたのか。
「あなた方、それなりに熟練の魔法使い殿とお見受けしますじゃ」
「まあ。そうなんだろうな」
ラスボスとも、出会ってるしな。
「では、ワシの願いを聞いていただきたいのです」
「ふむ」
オレは、長老から事情を聞く。
船が、ヤマト国に到着した。
やはりオレが思っていた通りで、和風ファンタジーっぽい雰囲気が漂う。
街行く人も、着物姿が目立つ。
また、もうひとつ特徴があった。
ケモミミというか、ほぼ顔がケモノのような種族がけっこういる。
哺乳類ばかりではない、リザードマン侍やカエル人間の僧侶などが、人と混じって暮らしていた。
どうやら、亜人種OKな国のようだ。
ならば魔法が浸透していても、不思議ではない。
こちらも、ネコミミで対抗だ。
と、思っていたら、もうミラベルはネコミミフードを被っていた。
「すごい、マッチしているね」
「いいな。こういう自由な国ってのは、いいもんだ」
さっそく、冒険者ギルドでブックマーク。
離れ小島で学校に関しての依頼を受けたことも、ちゃんと伝えておく。
「理事長直々の依頼とはね。あんたら、相当見込まれているよ」
耳の長いエルフの受付嬢から、にこやかに返された。
長老からの依頼は、オロチ退治だ。
学校の近くにある神社に、オロチは封印されていらしい。
だが、何者かがその封印を弱めたというのだ。
「ベップおじさん。その人物って……」
「おそらく、イクスだろうな。どこまでも、オレたちの邪魔をする気らしい」
完全には破られていないが、再封印するにはもう一度結界を自ら破る必要があるとか。
オロチを鎮めるための術者を育成しているというが、なかなかオロチを打倒できるレベルには育っていないという。
一人だけ、素質のある子はいるらしい。
その子は、理事長の孫娘だという。
かつて理事長は、オロチを封印した本人だった。
しかし激闘で身体を痛め、更新の育成のために引退。
孫娘というのは、民間人の男性との間に生まれた子らしい。
理事長としては、普通人として暮らしてもらいたかったそうだ。
が、オロチとの宿命の戦いは、避けられそうにない。
孫をサポートしてくれないかと、依頼してきたのである。
おお、白い制服が眩しい。
セーラー服とか、いいじゃないか。
「さてさて、その子は、どこにいるのやら」
「あの子じゃない?」
小柄な少女が、購買の前でオドオドしていた。
白いキツネ耳で、白いシッポが生えている。
長老が教えてくれた特徴と、よく似ていた。
だが少女は、購買の雑踏に入ることができない。
「あなた、なにがほしいの?」
「おいなりさん」
「買ってくるよ!」
ミラベルが人混みをかき分け、おいなりさんを探す。
「ベップおじさん、おいなりさんってどれ?」
知らないで、並んでたのかよ!
「茶色いおにぎりだ」
「黒いもので包んでいるおにぎりも、セットにあるよ!」
「それだ! それを買って」
戻ってきたミラベルの手には、助六が。
「はいどうぞ。これでいいのかな?」
「ありがとうございます。まさしくこれです。おいなりさんと巻き寿司セット!」
よかった。助六で、合っているらしい。
「わたしはミラベル。あなたは?」
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