ゲームの世界に転移して、攻略不可だった最推し「勇者の妹」と旅に出る!

椎名 富比路

文字の大きさ
28 / 30
最終章 魔王の娘との戦い! さらば、推しよ!?

第28話 最強の技は……合体!?

しおりを挟む
 魔法少女ルックのミラベルと、ラストダンジョン【イクスコム城】へ向かう。

                                      *

 
【最終ミッション:魔王の娘 討伐】

 魔王の娘である、【イクスコム・アバドン】とバトルしていただきます。

 このミッションを終えると、ゲームクリアとなります。

                                      *
 
 クエストログも、あっさりだ。

 魔王の城に近づくにつれて、空が紫色に染まっていく。
 本家ゲームと、同じ演出だ。
 
 ただ、イクスコム城はお化け屋敷みたいな様相である。
「子どもが考える、恐ろしい化け物の巣」という感じに、アレンジされていた。
 本家魔王城は、もうちょっと本格的である。
 こちらは、テーマパークのアトラクションのようだ。

「ベップおじさん」
 
「ああ。魔王の娘メスガキは、この中にいる」

 扉を開けて中に入ると、すぐに王座に辿り着いた。
 細かい過程をすっ飛ばして、いきなりボス部屋へワープさせられたらしい。
 まあ、城も小さかったし、特に真新しいイベントもなさげだった。
 最強装備も、手に入れているしな。

「よく来たわね。逃げずに、このイクスコムと最後の戦いにくるとは」

「魔王の好きなようには、させないよ!」

 ミラベルが、ステッキを構える。

 対するイクスコムも、黒いドレスアーマーを着込んでいた。
 あれが、彼女の最終装備か。
 各部位に、歴代のボスキャラの特徴を持たせている。

「くらいなさい! 【スパイダーネット】! からの、【ヒュドラ】!」

 クモの糸で足を絡め取って、オロチの炎でこちらを火炙りにしようとした。

「ミラベル、鬼火で対抗!」

「はい!」

 足に絡みついた糸を、鬼火で焼く。
 続いて、オロチの炎をジャストガードで跳ね返した。

「反撃開始だぜ!」

「【ハートビート・キック】!」

 ミラベルが、ハート型のファイアボールを撃ち込む。火球に追いつくほどのダッシュ跳躍をして、ケリを放った。足刀蹴りの状態で、火球と一体になる。
 格闘と火属性魔法の、合せ技だ。

 さらに、

「こいつはどうだ? 【トルネード・スピン】!」

 ミラベルの周囲に竜巻を起こす。

 ハートビートが、回転を始めた。

 キックを止めようとする糸を引き裂き、ヒュドラの身体もズタズタにしていく。

「ぶちかませ、ミラベル!」

「てえええい! えっ!?」

 だが、ミラベル渾身の蹴りも、巨大なカメのシールドによって阻まれた。

「やるわね。防御モードに設定したのに、破壊されるなんて」

 カメの甲羅型シールドが、粉々に砕け散る。
 同時に、イクスコムを包んでいたドレスアーマーも、吹っ飛んだ。
 
 イクスコムは、いつものボンテージ姿に。
 しかし、身を挺した防御によって、イクスコムにダメージは入っていない。

「本番は、これからよ!」

 イクスコムの戦闘スタイルが、変わった。
 ヒュドラに似たオーラを伸ばし、ミラベルやオレに向けて撃ち込んでくる。
 第二形態があるのか。

「それぇ!」

 イクスコムが、怒涛のような攻撃を繰り出してくる。
 見た感じヒュドラに近いが、攻撃力はヒュドラなんて比ではない。
 八回連続攻撃によって、オレたちは防御を余儀なくされた。

 オレが防いだとしても、ミラベルにまで攻撃が振ってきてしまう。

「わあああ!」

 ミラベルの脇腹に、ダメージが入ってしまった。

「ベップおじさん、あの子、めちゃくちゃ強いよ!」

 自分に治癒魔法を施し、ミラベルが立上がる。
 
「攻撃特化の分、防御は紙切れ同然になっているはずだ。やっちまえ!」

「でも! うわ!」

 絶好のチャンスだったのに、ミラベルは攻撃を外してしまった。
 
 ミラベルの攻撃には、ためらいがある。
 攻めきれていない。

「どうしよう。思っているように戦えないよ。あの子だって、魔王の力でこんなことをしているだけだって、わかっちゃった」

 ミラベルは、優しい子だ。本心から悪意を向けられていないとわかると、たちまち戦えなくなるとは。

「そうか。どうすれば……」

 オレのスキルログに、とんでもない技の内容が。

【合体】

【合成魔法】と【アイテム合成】、両方のスキルを会得した者にだけ扱える、究極の技。

 ミラベルと、合体できる。


 おいおいおいおい! 冗談だろ!?

 オレとミラベルが、一つになるなんて。

『なにを、グズグズしているの、ベップ? 早く、ミラベルと一体になるのよ!』

 オレを召喚した妖精「ピーディー」が、再びオレの前に。

「だって、一つになるんだぜ? こんなの、実質結婚みたいなもんじゃないか!」

「ちょっと発想がキモいわね。でも、合体しないとあいつは倒せないわよ。ネタバレすると、あんたたちが合体しないと倒せないような設定なの」

 魔王アバドンが、イクスコムをそう設定したらしい。
 オレの性格を察知して、「どうせできないだろう」と見越したからだ。

 ちくしょう。そのとおりだぜ。魔王のやつ、まるでオレのようなヤロウだ。

「魔王の目的は、ミラベルと【合体すること】よ!」

「子作りするってことか?」
 
「違うわよ! 合体をそういう解釈をしていたの!?」

 オレの発想力は、健全な成人男性なんだよ。
 
「いい? 魔王アバドンの目的は、あの子の身体を乗っ取るつもりなの!」

 勇者に、自分を攻撃させないために。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...