Z級スキル『サメ使い』の令嬢! ~呪われしスキルを手にして追放された令嬢は、サメの勇者に拾われて義賊三昧ですわっ!~

椎名 富比路

文字の大きさ
28 / 48
第三章 婚約破棄した相手は、海軍の隊長でしたわ!

第28話 父の知り合いと会えましたわっ!

しおりを挟む
 ようやく、ウーコムの街に入れました。

「ねえルカン、ツテはあるの?」

 ステイサメの問いかけに、わたくしは首を振ります。

「ございません。ひとまず、商業ギルドへ参りましょう」

 正体を隠している以上、うかつにルクレツィアを名乗れません。わたくしに婚約破棄を言い渡した、海軍司令官もいますし。

 商業ギルドで取引をして寄付を行い、この街が廃れた原因を探るのが先決ですね。

「いらっしゃいませ。物品の取引でしょうか?」

 目にモノクルをハメた三〇代ほどの女性が、受付にいました。

「ええ。ちょっと換金なさっていただきたい商品がございまして」

 わたくしは、戦利品をジャラジャラとアイテムボックスから出します。

「ほお。どれもこれも年代物ばかりで……っ!」

 一枚の写真を見ると、女性受付さんは目の色を変えました。

 あらあ。わたくしとしたことが、自分の写真まで出してしまうとは。

 写真をひったくり、受付の女性が奥へ向かいます。

 数分後、年老いた女性がわたくしたちの前に現れました。

「おまたせ致しました。私はこの街の領主で、バロウズと申します」

 なんと、領主様がおいでになるとは。

「そこのあなた、顔を見せていただけますか?」
「わたくしですの?」
「ええ。あなたのことは、お父上からうかがっております。ルクレツィア様」

 バロウス女史は、わたくしの素性をご存知のようでした。

「わたくしが、わかりますの?」
「ええ。あなたのお顔は、ある方にそっくりです。それに、後ろの方は、サメさんでしょう?」

 ステイサメさんを見て、バロウズさんは微笑みかけます。

「【サメ使い】についても、お詳しいのですね?」
「ええ。よくぞご無事で。あなたはミグで流刑にされたと聞きましたが」

 バロウズさんが、わたくしを。抱きしめました。

「お父上が不幸な事故に巻き込まれませんでしたら、あなたがミグの領主でしたでしょうに」
「いえ。わたくしは領主が務まるほど、人間ができておりませんわ」
「ですが、お仲間はそうは思ってらっしゃらないようで」

 女史の言葉に、わたくしは振り返ります。

 ステイサメさんとエビちゃんさんとが、ともにうなづきました。

「ありがとうございます」
「ここですと、色々な目がございます。こちらへ」

 商業ギルドの奥へ通されました。さすがにギルドの受付で、立ち話は迷惑でしょうから。

「本当に、奥様の生き写しで」
「そうでしたの?」
「ええ。病で倒れられるまで」

 女史は、母専属のメイドさんだったそうです。

「あなたのような美しい方でした。彼女を直す治療法を求めて、あなたの父シャイダーは旅立ったのです。けれど、誰も帰ってきませんでした。奥様もショックで。まだ幼いあなたを残して」

 バロウズ女史が、ハンカチで目を拭いました。

「母を看取ってくださって、ありがとうございます」
「とんでもない。私は、なにもできませんでした」

 ハンカチを握りしめながら、バロウズさんは悔やしげな顔を見せています。

「父はなにか言い残しておりませんの?」
「奥様を苦しめたのは、邪神の影響でした。あの方は、お一人で邪神の封印を守っておいでだったのですが」

 そんなすごい血筋だったのですね。うちの母親は。

「ところが、兄シャイダーの功績を妬んだ弟の策略によって、奥様は毒の矢を受けて病に」

 バロウズ女史の言葉は、衝撃的でした。

「わたしも『これ以上の世話は無用』と、ウーコムに流されました」

 女史はシャイダーから、大金をもらっていました。素性を隠してウーコムの領主として大成し、わたくしが現れるのを待っていたのだとか。

「ですが、どこから情報が漏れたのか、私の正体が発覚し、深きものによる嫌がらせが発生して、街はこの有様で」

 おそらく、養父がからんでいるだろうと。

「死んで当然の男だったのですね。我が養父は」

 怒りがこみ上げてきます。

 でも、とっくに死んだ男など気に留めている場合ではありません。

「これは、沈没船で見つけた宝や金塊です。寄付しますわ」
「ありがとうございます。なんのお返しもできず」

 聞くと、街に食料を提供している畑がモンスターに荒らされているとか。

「退治に参りましょう!」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」

まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。 目が覚めたら、婚約破棄されていた。 理由は「地味で面白みがない」から。 泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。 最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。 でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。 厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。 そして就任スピーチで宣言した。 「500人全員の名前を、覚えます」 冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。 悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。 元婚約者は——後悔し始めていた。 婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。 なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。

過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~

黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。 待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金! チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。 「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない! 輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる! 元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

処理中です...