じゃじゃ馬王妃! ~フランス王妃アン・ド・ブルターニュが、悪徳貴族と魔族共を裁《シバ》く!~

椎名 富比路

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第三章 Est-ce que votre jeunesse brille?(君の青春は輝いているか)

めざといモリエール

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「あなたの運営するギルドは、社会に大変貢献しています。悪徳貴族をこらしめているそうではありませんか」

「ああ、アンジェリーヌちゃんのことね」と、ギルマスのモリエールは手を叩いた。「彼女ったら凄いのよ。ここ数週間で悪い貴族さまを三つ潰したんだから。おかげでギルドは大繁盛よ」

 貴族の横行が減り、冒険者の取り分などが見直されていると聞く。貴重な薬草やモンスターの素材を独占されることも減った。

「今日は来てないのね?」
 キョロキョロと、モリエールはリザの周辺を見回す。

 アンはよく、リザと行動を元にしている。リザに同行していると思っているのだろう。

「お妃様に黙って、ノワールムティエに向かったって聞いたけど?」

「私は、彼女とは知り合いじゃないから」

「アンジェリーナちゃんに会ったら伝えてちょうだい。あなたはパリの守り神だって」

「会いたいのは、私の方だわ。そんな立派な方がいらっしゃるなんて」

 自画自賛しているようで毛恥ずかしい。だが、謙遜するとボロが出そうなので称えておく。

「なら、ぜひギルドの酒場に入らしてちょうだいな。美味しいお酒で出迎えちゃうから!」
 ウインクして、モリエールは両手を胸の前で重ねた。

「じゃあ、失礼するわ」
 アンは馬車に足をかける。

「そうそう!」と、モリエールが後ろからアンに呼びかけた。

「な、なんでしょう?」




「お妃さまは、どうしてボクがギルマスだって分かったの?」





 思わず、アンは冷や汗をかいた。

「お妃さまには、ボクの素性は教えてないわよね?」


「あ、あなたのお噂は色々と聞いているわ。極めて優秀だって」
 実際にそうである。やることはやっているのだ。

「へー、ボクって結構有名人だったりするのかしら?」

「も、もちろんよ! だってポクラン家のお坊ちゃまでしょ? 王宮に支援までしてくれている方ですからね。感謝しているのよ。オホホ」
 苦し紛れに、アンは言い訳をする。

「はいはい。おしゃべりはそれまでだよ! アン王妃さま、お時間ですよー。ささ、参りましょう参りましょう」
 個人情報がバレそうになったところで、リザが助け船を出してくれた。

「では、私が留守の間、街の治安を守ってくださってありがとう」

「どういたしまして!」
 また、モリエールがリュートを荒々しく奏でる。王家の繁栄を願う歌に変わった。

 詩人モリエールの曲に見守られながら、アンは今度こそ王宮へと戻っていく。

「助かったわ、リザ」

「気をつけなよ、アン。一番正体をバラしちゃいけない相手だ。弱みを握られるよ」

 アンは、不注意を反省する。
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