おひとりさま男子、カップルYouTuberになる ~他校に進学した優等生JKが婚約者だった~

椎名 富比路

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第二章 おひとりさま男子、婚約者と同居を始めます。

第7話 おひとりで編集

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 なんと、星梨セイナおばさんはオレに編集作業をさせるという。

「とんでもねえ! オレにそんな重要な役割をやらせていいのかよ?」

「今後、必要になってくる技術よ。当たり前じゃない」

 どうも、オレに仕事のやり方を教えることも、同居の条件に含まれているらしい。働き口ができるのはいいことだが、いきなりヘビーすぎん?

「大丈夫よ。変なのは映っていないわ。あなたなりに『映え』そうな映像にすればいいのよ」

 今回は「サムネイル」、つまり表紙は星梨おばさんが作ってくれるという。扉絵の作り方は、夢希ムギに教えていくらしい。

「いいのか、夢希はそれで」

「興味深い。学校の勉強しかしてこなかったから、動画配信ってそうやるのか知れて、面白い」

 まったく、へこたれていない。

「そうだ星梨さん。快斗カイトの動画は、わたしが編集していいですか?」

 夢希は、オレの動画を編集すると言い出す。

「いいわよ。お互いの練習になるし。でもいいの? 仕事が増えるわよ」

「色々と、失敗しておきたいんです。覚えることが増えるし、今のうちに不安要素を潰しておきたいんで」

「いい心がけね。いいわよ」

 三人でリビングに集まり、編集作業を開始した。

 こうしていると、星梨おばさんに勉強を教わっているみたいに思えてくる。実際は、そんなことはこれまでの人生で一切なかったが。

 階段を昇っていく夢希を、星梨おばさんが追いかけているシーンだ。

「ローアングルとか、やめなー」

「ショートパンツだからいいのよ」

 とはいえ、気になるぞ。

 業者さんが映り込む場面とかも、極力カットする。オレたちの動画に関係ないからな。トラブルがあったら大変だ。

 とにかく夢希は、勉強道具を机にしまっていく。

 すごいテキパキさんだ。オレなんてブチ込んでるだけだぜ。

「つーか、こんな動画が映えるのか?」

「こういった動画のほうが、映えるわよ。人間性が出るから」

 ヘタに作り込んだ動画より、日常を覗いているような動画のほうが、見てもらえるという。本当だろうか? 

 かくいう星梨おばさんも、まだ手探りらしい。

「底辺かもしれんぞ」

「いいのよ、最初は底辺でも。編集の勉強がメインだし」

 色々できていったほうが、なにかと便利だという。
 パソコンにも、ある程度は詳しくなったほうがいいのかもな。

「地味だけど、夢希の動画ってなんかいいよな」

 手際がよく、見てみて惚れ惚れしてくる。

「性格が出てるわよね。見る相手のこともちゃんと考えているのよね。パパパってできるところも、あえてゆっくりと作業しているの。教えてもいないのに」

 夢希の丁寧さは、編集してわかった。どこをカットすればいいのか、迷う。

 結局、業者さんが映り込む場面だけ削って、夢希の手作業をひたすら映す。

「おばさん、ちょっといいか?」

「いいわよ。なんでも聞いてちょうだい」

「バストアップが多くね?」

 オレたちの動画は、顔出し配信ではない。しかし、その分だけ逆に胸が強調されている。

 よく見ると、夢希もパッツパツのTシャツを着ていた。オレンジ色なので透けてはいないが、ブラのラインがくっきり出てしまっている。

 それにしても、夢希はデカいな。口に出してはいけないが。

 編集をしながら、オレは何度もため息をつく。

「これいいのか?」

「いいのよ。減るもんじゃないし」

「ダメだろ」

 ヘタするとエロ動画認定されて、アカウント削除されるぞ。

「あくまでも机の上の整理をしているだけなんだから、ノーカウントよ」

「いいのか、そんなので」

「大丈夫よ。YouTubeくんはきまぐれだけど、肌色認定されない限りはセーフなの」

 どうだろうな。不安で仕方がないが。

「夢希は平気か? ムリをしてないか?」

「全然、余裕。見ている人は、快斗くらいだから」

「とはいっても、公開されたら全世界の人に見られるぞ。いいのか?」

「多分、わたしには興味ないよ」

 なんだか夢希は、自分に自信がないな。

「夢希のよさは、オレはわかっているからな。困ったら、アーカイブ消すから」

「……うんっ」

 突然、夢希が顔を赤らめる。手でホホを扇ぎだした。

「お風呂いただきます」

 編集を終わらせて、夢希はバスルームへ直行する。

「青春よねえ」

 そうなのか?
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