おひとりさま男子、カップルYouTuberになる ~他校に進学した優等生JKが婚約者だった~

椎名 富比路

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第四章 ドキドキ動画合宿! BANの危機があるからポロリはナシ!

第25話 花より団子よりお前

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 花火大会当日、オレは夢希ムギの手を引いて、花火大会のある神社へ向かう。

 浴衣の買い物についていって、よかった。いま夢希の浴衣姿を見てしまっていたら、妖精の森に迷い込むところだったぜ。

「甚平なんて着ているやつ、いねえな?」

 周りを見ても、浴衣や甚平を着ている男がいない。みんな普段着である。

「着用している男性もいるが、ほとんどがオッサンだ。やらかしたか?」

「ううん。快斗カイト、似合ってる」

 夢希は、そう言ってくれるが。

「オッサンに、片足突っ込んでるのかなあ」

「いいじゃんオッサンでも。オッサンでも素敵だよ。快斗は」

 おうふ。これは、魂が妖精の森に持っていかれちまう。思わず、昇天しちまいそうになった。現実に戻らねば。

 通りを歩くと、いい香りがただよってきた。夜店のメニューは、どれもそそられるものが多いな。

「いいな。焼肉の串に、フランクフルト。昼も肉だったのに、なんで肉を欲してしまうんだ?」

 意地汚いオレは、食欲で溢れかえっている。
 大量のお好み焼きができるまでを、動画に撮っている人もいた。こういう映像、好きなんだよな。鉄板いっぱいにお好み焼きができていくさまを、倍速で流すチャンネルがある。なぜか、見てしまうんだよ。中毒性が高い。

「おやつ食べなかったもんね、今日は」

 そうなのだ。夕飯は、夜店を回って済ますと決めていた。なので、目いっぱい腹を減らしてきている。デートでも、カフェなどには行かなかった。個人営業のカフェだと、分煙していない場所もあるからな。

 ちょっとでも油断すれば、散財してしまう勢いだ。 

「先に、お腹になにか入れよう。落ち着こう」

 そうしよう。腹が減って倒れそうになっている。

 たこ焼きや焼きそばなど、バカみたいに買い漁った。今日はお祭りだからな。大奮発しようじゃないか。

 屋台にある畳席に、大量の戦利品を並べる。

「こんなたくさん、食いきれるかな?」

「大丈夫。わたしもお腹が空いているし」

「よし。じゃあ食おう。いただきます」

 まずは、焼きそばから。

「ああ、やっぱ外さねえ。焼きそばがうまくねえ屋台なんて、あんまり聞かねえよな」

「うん。全体的にソースが掛かっていて、当たりだね」

 焼きそばの上に、フランクフルトと焼肉を串から外して乗せていく。

「うまっ! この味変は大正解だった! たまんねえ!」

「ホントだ。ケチャップとソースがケンカしてないね」

 家でやっても、うまいんじゃないか?

 あと、なんといっても最強だったのが、じゃがバターだ。正直なめていた。こんなうまいものが、縁日で食えるなんて。じゃがいもにバターを乗せただけの料理が、信じられないくらいうまい。北海道じゃねえんだぞ。なのに、このうまさだ。暑い季節に、熱々のじゃがバターを食らう。なんだか、すごいぜいたくをしている気がしたな。

 あっという間に、テーブルの料理がなくなってしまった。

「まだ、ベビーカステラがあるね」

「それは、花火を見ながら食おう。もうすぐ始まるな」

「うん。手を握ってて」

 オレたちは、星梨セイナおばさんが教えてくれた穴場スポットまで向かう。ラムネとベビーカステラを買うのも、忘れない。
 花火からは遠くなったが、ここが唯一の撮影許可がもらえた場所である。
 おばさんが町内会と話し合っていたのは、ここでの撮影許可をもらうためだった。
 こんなことまでしてくれるなんて、おばさんはすげえいい人だ。本来は、オレたちが町内会に頭を下げなければいけないのに。
 おばさんと一緒に、町内会や青年団の人にお礼をいう。その後、撮影を開始した。

「よお。カイカイだ。今日は、花火大会に来ているぞ」

「よぉ、わたしはムゥだ。この浴衣いいでしょー。今日は撮影の許可をいただいたスポットで、花火を見に行くのだ」

 スマホで自撮りをしながら、夢希はくるりんと一回転をする。

「いいな」

「え、花火が?」

 打ち上がった花火を見ながら、夢希が首をかしげた。

「いや、違う。夢希が」

 夢希の顔が、花火より明るくなる。頬を染めているのが、暗くてもわかった。

「花火も夜店の料理も最高だったが、なによりオレは、夢希と一緒にいる時間が尊いんだ」

 繋いだ手が、段々と熱くなっていく。

「快斗、ありがとう。今日はすごく楽しい。一人だとさ、きっと夜店も味気なくて、花火も夏の風景の一部でしかなかった。今日ほど、花火大会が素敵と思ったことはないよ」

 詩人のような言葉で、夢希がオレを慕ってくれた。

「夢希の方こそ、ずっとそばにいてくれてありがとうな」

 ホントに夢希には、感謝してもしきれない。

 田舎に泊まるのも悪くないと、初めて思えた。

 人との繋がりって、大切なんだよな。


 後日、星梨おばさんから大発表があった。

「お喜びください。収益化が決定しました!」
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