おひとりさま男子、カップルYouTuberになる ~他校に進学した優等生JKが婚約者だった~

椎名 富比路

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第五章 収益化と言われても……

第27話 他のカップルをチェック

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「よお、カイカイだ。今日はいつもと趣向を変えて、人の動画をリサーチしようと思う」 

 実は、動画を続けていて、考えることがあった。
 他のカップル勢がどうなっているのか、気になっている。

 よく考えたら、カップルYouTuberってどんな動画を流しているのか、知らなかった。何度も調べようとしたのだが、積極的に観察するには勇気がいる。

 そこで、二人で鑑賞しようと提案してみた。

「再生数を延ばすため?」

 夢希ムギが質問してくる。

「違うな。単純にリサーチしたいだけだ。マネがしたいとか、そういうのじゃないから」


「動画の参考に」と思って、色々チェックしてみた。



「普通だな」

 メシを食っているだけだったり、モーニングルーティンを垂れ流すだけだったり。

「ある意味、わたしたちよりも普通かも」

 中には「浮気ドッキリ」などの過激なものがあるが、特に危なげはない。
 投稿サイトの目が厳しいのも、理由の一つだろう。
 とはいえ、何気ない日常の覗き見こそ、視聴の目的なのかも。

「ネコの動画を流す感じに、近いのかも知れないな」
「子どもをあやす場面なんて、まさにそんな感じだったし」

 人間をネコに例えるのはどうかと思うが、雰囲気的にはそれっぽい。ある意味で、観察に近いのだろう。

 こういうのを見て、人は癒やされるのかもな。

「ただ、ほとんどが顔出しなんだよ」

 絵描きなどのスキルなどがある人は、イラストだったりする。
 しかも成人カップルばかりなので、スキンシップの密着度がすさまじい。抱き合いながらそのまま寝ちゃったり、泡風呂とはいえ混浴だったり。

「やっぱり、マネは難しいな」

 寝ている相手に覆いかぶさって添い寝なんて、動画でもやらないぜ。

「これは、もうちょっと大人になってからだね」

 学生であると宣言している以上、今マネをすると炎上になりかねない。最悪、教育委員会モノだ。

 オレたちの動画は、「保護者同伴のもとで撮影している」と宣言している。である以上、踏み込んだ動画は撮らない。過激な動画を取りたいわけでもないから、特に問題はなかった。

 再生数も、普通にくつろいでいる動画のほうが再生数が高い。それより高いのは、カップル感で問題が起きたときの報告くらいである。妊娠したとか。

 意外と、ケンカしてるシーンなどの再生数は少ない。

 視聴者も、刺激より日常的な場面の切り取りを求めているようである。

「カイカイは今回の動画で、なにかわかったことある?」

「あるぞ。やっぱり結局は、自分たちの動画を撮るってことだな」

 上達するには、上手い人をマネすることが大事だ。しかし、自分を見失っていてはどうにもならない。

「ムゥは、うらやましいって思ったことはあるか? 配信者のほうがイケメンだなとか、この配信者は親切だなとか」

「あることはある。日曜大工している人とかいて、特技がある人っていいなーっていうのはあった」

 やはりな。脱サラしたカップルが軽自動車でキャンプ旅をする動画とか、憧れてしまう。

「でも、カイカイがいい」

「オレでいいのか?」

「みんなそれぞれいい人がいたと思うよ? だとしても、やっぱりこの人と一緒にいたいってのがあるわけじゃん。だからカップルなんだし。つまりさ。カイカイにしかない良さって、あるんだよ。きっと」

 今回の動画で、夢希はそれを再確認したそうだ。

「だから、カイカイは自身を持って、わたしのカレシを名乗っていいです」

「ありがとうな。ムゥ! というわけで他のカップル検証動画は終了だ。みんなありがとうな! オレは、ムゥと一緒に入られて幸せだ。これからも、そんな幸せいっぱいな動画を届けるから、楽しみにしていてくれな。じゃあ!」

 動画を切って、オレは即座に夢希を抱きしめてしまった。手をつなぐのにさえオドオドしていたのに、今は全力で夢希を慕っていると伝えたい。

「ああ、快斗カイト。よーしよしよし」

 夢希は、背中をトントンと叩いてくる。
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