おひとりさま男子、カップルYouTuberになる ~他校に進学した優等生JKが婚約者だった~

椎名 富比路

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第六章 コラボ相手は関西人

第34話 同年代の恋愛事情

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 取材先の森本モリモト家にて、夕飯をごちそうになることに。

 星梨セイナおばさんに確認を取ったら、「食べておいで」とのこと。おばさんは大阪で、別件の仕事があるらしい。

「うそーん! あんた部活辞めたん!? なんでかなって一瞬思ってたけど、カレシいてるもんな。ええなあ」

 夢希ムギしゃべりながら、癒乃ユノがコロッケをサクサクと食べる。

「メッセでそういう話とか、しないのか?」

「せえへんよ。ウチ、メッセ無精やもん。部活優先やから、あんまりチェックとかせえへんねん」

「実はわたしも」と、夢希が手を上げた。

 意外と、夢希は人間関係はマメではないらしい。女子ってもっと情報共有しているものだと思っていたが。

「うーん。でも複雑や。ライバルが、おらんようになったんやさかい」

 癒乃さんがまた、コロッケを胃に詰め込む作業へ戻る。

「お母ちゃんと同じ、配信者になって出会うなんてなあ。奇跡やで」

「そうかも。癒乃ちゃんは、もうタコ足配線には出ないの?」

「『いついつに仕込まれました』とか動画で公開されたらな、出ようとする感情もなくなるて。アーカイブも消さしたわ」

 あああ。そういう話をさっきしていたな。それで怒って出なくなったのか。

「せやけど、婚約者かー。ええ人みたいやし、応援してるわ」

「あ、ありがとうな」

 てっきり、癒乃さんに適しされると思ったのだが。 

「癒乃ちゃんは、カレシは?」

「ウチはええわー。学校生活楽しいし、男はいらんかなー」

 口の周りをコロッケの衣ととんかつソースでベッタベタにしながら、癒乃さんはまたコロッケを味わう。

「癒乃さんの好きな、男性のタイプとかは?」

「んー。わからへーん。今どんなタレントさんがいてるとか、知らんし」

「顔じゃなくても、性格的なこととか」

「思いやりは、ほしいかな? せやけど、同年代には求められへんかなぁ。エロいことしか考えてへんし。弟たちがおるから、歳下とかありえへんし」

 高校生なら、そうかも。お金もないし、仕事もない。ルックスが限界突破していない限り、普通は一番見向きもされない人種だろう。

「え、なに快斗カイト? オトコ紹介してくれるのん?」

 いきなりタメ語で、癒乃さんがオレに聞いてきた。

「違うよ。学生の恋愛模様って、実はオレもよくわかっていないんだ」

「たしかに、周りで付き合ってるカップルとかおるけど、辛気臭い話ばっかり聞くねん。浮気したとかどうとか。もうそういうのばっか聞いてたら、一人でええわーって思う」

 とにかく、癒乃さんは面倒なことが嫌いらしい。

「ゴメンな参考にならへんで」

「いや。ありがとう」

「あんたホンマ、よーできた人やで。初対面やのに」

 癒乃さんとのトークは、まるでオバちゃんと会話しているようだった。

「ところで癒乃ちゃん自身は、動画とか撮らないの?」

「ないない。考えたこともない」

 テニスのフォームを撮ってもらうことはあるらしい。しかしすべて自分専用で、人に見せる動画ではないという。

「【チクタク】を利用している子とかおるけどさ、遊び目的やね。お金になるとかは思ってへん」

 ショート動画サイト【チクタク】は、近年爆発的に普及している。むしろチクタクをメイン活動拠点にしている人もいた。

「お母ちゃん見てたら、動画サイトの更新て、地味で、地道で、案外重労働やなって思ったわ。あんなん間近で見てたら、安易にやりたいとかは考えへんかな。弟らもおんなじこと言うと思うで」

 動画編集の大変さを、癒乃さんは身にしみてわかっているようだ。ずっと母親の背中を見ていたから。

「だからウチはやらんしできへんし、人にもススメへんねん」

 身内だからこそ、見えていた景色があるのだろう。

「ありがとう、癒乃さん。ごちそうさまでした」

「ええてええて。全部お母ちゃんが作ったんやから」

 癒乃さんは、料理を一切手伝っていない。母親の小春コハルさんも、絶対にさせないという。

 そう聞いてオレは、癒乃さんの料理の腕を察してしまった。
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