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第九章 おひとりさまYouTuber ふたりきり
第57話 半裸の婚約者の背中を拭く
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夢希が、半裸でオレに助けを求めてくる。
詳しく聞くと、まったく汗が引かないらしい。
「治りかけなんじゃねえのか?」
「多分。薬もちゃんと効いてきているみたい」
とにかく、汗を拭きたいという。
「おう。任せろ。とりあえずベッドで背中を向けてくれないか」
「はい」
夢希が、女の子座りになる。
無防備な背中に、オレはタオルを当てていった。さすると、変な気分になってしまう。トントンと、カーペットのシミを取る動作で。なるべく、相手を生身の女の子だと思わないように。しかし、いたわる感じで。
「ありがとう。少しはマシになってきた」
「こういうのでよかったら、いつでも言ってくれ」
「いつもは、ちょっと刺激が強いかも」
「だよな! 何を言ってるんだオレは!」
「一人で、つまんなくなかったか?」
夢希が寝ている間、オレは一人で動画を撮っていた。夢希が動画を作れない以上、オレが毎日投稿しなければ。
「ときどきモミジと小春さんが、話し相手になってくれた。だから平気」
ボクサーショーツの件も、小春さんのアドバイスだという。
「関西は、台風の影響がないって。いいなあ」
「大阪は特に、台風が来ねえっていうな」
そのまま、オレたちは無言の時を過ごした。
「快斗は? 大丈夫だった?」
「まあ、オレにはゲームがあるからな」
ぶっちゃけると、ウソである。ゲームもまったく身に入らず、勉強ばかりしていた。他のことに気を向けていないと、夢希のことばかり考えてしまう。婚約者なのだからそれが普通なんだろう。しかし、主に性的な意味でヤバかった。
とにかく、弱っている夢希がかわいくて仕方がなかったのである。
いつもクールで、なんでもできるイメージだった。実際、オレも助けられている。そんな夢希が、オレを頼ってくれていたのだ。惚れ直すに決まっているではないか。
「ありがとう、気にかけてくれて」
「当然だろ。オレたちは……婚約者なんだから」
「でも、うれしい。普通はここまでしてくれないよ」
「そうかな?」
「快斗は、頼りになるよ。普段から」
そんなこと、初めて言われたかも知れない。
「ここだけの話、弱っている快斗、めちゃくちゃかわいくてさ」
夢希も、オレとまったく同じことを考えていたのである。
「寝ている間に、何度もチュってしようって思っちゃって。でも、それでわたしが風邪になったら、快斗は悲しんじゃうなって、思いとどまって」
「マジか」
「わたしさ、意外とえっちなのかも……」
「悪い。ノーコメントとさせてもらう」
「こっちこそごめん。変な話をしちゃって」
そこから、無言でタオルを押し当てる作業に戻った。
「夢希、よくなったら、デートしような」
「いいなあ。きっと快晴だから、楽しいよ」
「ああ。夢希」
オレが、夢希の頭を撫でようとしたとき……。
「ただいまー。あら、お楽しみ中だった?」
星梨おばさんが帰ってきて、オレはすぐに夢希を寝かしつけた。
詳しく聞くと、まったく汗が引かないらしい。
「治りかけなんじゃねえのか?」
「多分。薬もちゃんと効いてきているみたい」
とにかく、汗を拭きたいという。
「おう。任せろ。とりあえずベッドで背中を向けてくれないか」
「はい」
夢希が、女の子座りになる。
無防備な背中に、オレはタオルを当てていった。さすると、変な気分になってしまう。トントンと、カーペットのシミを取る動作で。なるべく、相手を生身の女の子だと思わないように。しかし、いたわる感じで。
「ありがとう。少しはマシになってきた」
「こういうのでよかったら、いつでも言ってくれ」
「いつもは、ちょっと刺激が強いかも」
「だよな! 何を言ってるんだオレは!」
「一人で、つまんなくなかったか?」
夢希が寝ている間、オレは一人で動画を撮っていた。夢希が動画を作れない以上、オレが毎日投稿しなければ。
「ときどきモミジと小春さんが、話し相手になってくれた。だから平気」
ボクサーショーツの件も、小春さんのアドバイスだという。
「関西は、台風の影響がないって。いいなあ」
「大阪は特に、台風が来ねえっていうな」
そのまま、オレたちは無言の時を過ごした。
「快斗は? 大丈夫だった?」
「まあ、オレにはゲームがあるからな」
ぶっちゃけると、ウソである。ゲームもまったく身に入らず、勉強ばかりしていた。他のことに気を向けていないと、夢希のことばかり考えてしまう。婚約者なのだからそれが普通なんだろう。しかし、主に性的な意味でヤバかった。
とにかく、弱っている夢希がかわいくて仕方がなかったのである。
いつもクールで、なんでもできるイメージだった。実際、オレも助けられている。そんな夢希が、オレを頼ってくれていたのだ。惚れ直すに決まっているではないか。
「ありがとう、気にかけてくれて」
「当然だろ。オレたちは……婚約者なんだから」
「でも、うれしい。普通はここまでしてくれないよ」
「そうかな?」
「快斗は、頼りになるよ。普段から」
そんなこと、初めて言われたかも知れない。
「ここだけの話、弱っている快斗、めちゃくちゃかわいくてさ」
夢希も、オレとまったく同じことを考えていたのである。
「寝ている間に、何度もチュってしようって思っちゃって。でも、それでわたしが風邪になったら、快斗は悲しんじゃうなって、思いとどまって」
「マジか」
「わたしさ、意外とえっちなのかも……」
「悪い。ノーコメントとさせてもらう」
「こっちこそごめん。変な話をしちゃって」
そこから、無言でタオルを押し当てる作業に戻った。
「夢希、よくなったら、デートしような」
「いいなあ。きっと快晴だから、楽しいよ」
「ああ。夢希」
オレが、夢希の頭を撫でようとしたとき……。
「ただいまー。あら、お楽しみ中だった?」
星梨おばさんが帰ってきて、オレはすぐに夢希を寝かしつけた。
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