1 / 1
姫少年は、王子様女子に世話を焼きたい
しおりを挟む
海外のバレンタインデーは、誰に何をあげてもいい。
世界広しと言えど、チョコを渡すのは日本だけである。
合っているのは、大切な人に贈り物をすることだけ。
そんな日本でも、女子にチョコをあげようって思っている男子は、ボクくらいではないだろうか。
でもいいや。女子にチョコをあげる最初の男子でもなんでも、喜んでなってやる。
ボクは、女子にチョコをあげるんじゃない。
大好きなミナミにあげるんだ。
えっと、チョコは商品になっているモノを溶かして作り直すと、マズくなるんだったっけ。
元々おいしく整えてあるチョコの味を、むざむざ壊すことになるらしい。
同じ理由で、カレーライスも既製品に隠し味なんか入れないほうが美味しいんだとか。
それを知らなくて、ボクもコーヒーの粉とかルーに混ぜちゃってたな。
では、ルールに従って手作り用のチョコで作りましょっと。
湯煎でチョコを溶かすだけで、なんだか楽しいな。
なんだよ妹よ。
ダメだ。味見っていって、この間もオムライスを半分くらい食べただろ?
お前の分も作っておいてやるから、ガマンしなさい。
クッキーも同時に焼く。
できあがったクッキーに、溶かしたチョコを少し付ける。
これを、一晩冷やす。
よし、これで完成っと。
ラッピングも完璧。
妹よ。ほら、お前にもクッキーだぞ。
クラスの子たちにもあげたい? わがまま言うんじゃない。
いくらボクの料理が人気だって言っても、これはあげないからな。
お弁当は奮発してやるから、それで辛抱しろっ。
あとは、放課後に渡すだけだ。
だが、ミナミからは予想外の答えが待っていた。
「ああ、トオル、作ってきちゃったんだ」
「え、どうして? 甘いものキライじゃないでしょ?」
ボクは、彼女の好みは把握しているつもりだったんだが?
ノンシュガーのクッキーで少し苦味をきかせた、甘み引き立つチョコレートにしたつもりなんだけどな。
「そうじゃないんだ。うれしいよ。でもね」
「なにが不満にさせた? ごめん。あやまるよ」
ボクが詫びると、ミナミが手をバタバタさせて首を振る。
「あやまるのは、ワタシの方さ。ちゃんと話しておかなかったから」
ミナミは照れくさそうに、ボクにささやく。
「一緒に作りたかったんだよ」
「そうなの?」
なんでも、ミナミの母は世話焼きで、娘でさえなにも手伝わせないという。
「いっつも、お弁当まで作らせてばっかりだったから、ワタシも腕をふるいたくてさ」
なんだ、そんなことかー。
「いいよ。一緒につくろうよ。というか手伝ってよ。妹がこのチョコクッキー食べたいってうるさくて」
「あはは。あの子らしいや。じゃあ、お邪魔するね」
「うん。どうぞ」
ボクが言うと、ミナミはすごくうれしそうに笑った。
世界広しと言えど、チョコを渡すのは日本だけである。
合っているのは、大切な人に贈り物をすることだけ。
そんな日本でも、女子にチョコをあげようって思っている男子は、ボクくらいではないだろうか。
でもいいや。女子にチョコをあげる最初の男子でもなんでも、喜んでなってやる。
ボクは、女子にチョコをあげるんじゃない。
大好きなミナミにあげるんだ。
えっと、チョコは商品になっているモノを溶かして作り直すと、マズくなるんだったっけ。
元々おいしく整えてあるチョコの味を、むざむざ壊すことになるらしい。
同じ理由で、カレーライスも既製品に隠し味なんか入れないほうが美味しいんだとか。
それを知らなくて、ボクもコーヒーの粉とかルーに混ぜちゃってたな。
では、ルールに従って手作り用のチョコで作りましょっと。
湯煎でチョコを溶かすだけで、なんだか楽しいな。
なんだよ妹よ。
ダメだ。味見っていって、この間もオムライスを半分くらい食べただろ?
お前の分も作っておいてやるから、ガマンしなさい。
クッキーも同時に焼く。
できあがったクッキーに、溶かしたチョコを少し付ける。
これを、一晩冷やす。
よし、これで完成っと。
ラッピングも完璧。
妹よ。ほら、お前にもクッキーだぞ。
クラスの子たちにもあげたい? わがまま言うんじゃない。
いくらボクの料理が人気だって言っても、これはあげないからな。
お弁当は奮発してやるから、それで辛抱しろっ。
あとは、放課後に渡すだけだ。
だが、ミナミからは予想外の答えが待っていた。
「ああ、トオル、作ってきちゃったんだ」
「え、どうして? 甘いものキライじゃないでしょ?」
ボクは、彼女の好みは把握しているつもりだったんだが?
ノンシュガーのクッキーで少し苦味をきかせた、甘み引き立つチョコレートにしたつもりなんだけどな。
「そうじゃないんだ。うれしいよ。でもね」
「なにが不満にさせた? ごめん。あやまるよ」
ボクが詫びると、ミナミが手をバタバタさせて首を振る。
「あやまるのは、ワタシの方さ。ちゃんと話しておかなかったから」
ミナミは照れくさそうに、ボクにささやく。
「一緒に作りたかったんだよ」
「そうなの?」
なんでも、ミナミの母は世話焼きで、娘でさえなにも手伝わせないという。
「いっつも、お弁当まで作らせてばっかりだったから、ワタシも腕をふるいたくてさ」
なんだ、そんなことかー。
「いいよ。一緒につくろうよ。というか手伝ってよ。妹がこのチョコクッキー食べたいってうるさくて」
「あはは。あの子らしいや。じゃあ、お邪魔するね」
「うん。どうぞ」
ボクが言うと、ミナミはすごくうれしそうに笑った。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる