メカクレ根暗少女が、サイクロプス魔王と契約して魔獣少女になり、魔界の頂点を目指す! でも、キャットファイトだなんて聞いてませんが!?

椎名 富比路

文字の大きさ
11 / 49
第二章 魔獣少女と、サキュバスギャルとの熱烈な密着!

第11話 閑話 赤いリムジンの通り魔

しおりを挟む
 加瀬カセイヴキは、自家用車で帰宅している途中だった。

 道のど真ん中に、一人の女子高生が立ち止まる。

「あら? 止めなさい」

 運転手はブレーキをかけた後、車から降りた。イヴキの方へ駆けていき、ドアを開ける。

「何事です? おや、あなたは」

 イヴキは車から降りて、少女の前に立つ。

「加瀬、イヴキ!」

 この少女は、前に半殺しにしたいじめっ子だ。身体中が、ズタズタになっている。

「あなた、魔獣少女になりまして?」

 魔獣少女は、負けるとボロボロになってしまう。この現象は、イヴキもよく知っていた。

「やっと見つけた。てめえぶっ殺す!」

 少女が、襲いかかろうとする。

「お待ちなさい」

 手を前に突き出しただけで、イヴキは少女を威圧した。

「サマエル!」

 治癒の魔物、サマエルを召喚する。翼を持った、赤いヘビを。

「フェニックス族の王、サマエル」

 少女も、イヴキが契約した魔物について詳しいようだ。

「この者を治療して差し上げて」
「かしこまりました。レディ・イヴ」

 サマエルが、翼を羽ばたかせた。光る燐粉が、少女の周りに舞う。

 少女の身体が、もとに戻っていった。

「後悔するぞ。このアタシを治すなんて!」

 少女が凄んでくる。

「誤解なさらないで。わたくしはあなたをかわいそうだと思ったから治療して差し上げたわけではありません」

 こんな羽虫程度の価値しかない女の暴言など、イヴキは意に介さない。

 第一、彼女らを回復させたのは、一度ではない。半殺しにした後も、彼女らをきれいに治療した。

 だが、理由は別にある。

「もう一度、壊してあげるためですわ」
「んだと!」

 少女が、ナイフを取り出す。天へ掲げて、魔獣少女へと変身した。

「テメエは治癒タイプだ。本来、戦闘向きじゃないはず! 勝機は――」
「ご心配なく。あなた程度に、魔獣少女の力を使う必要なんてございません」

 イヴキは、サマエルに手を出さぬよう命じる。

「なめてんのか? 魔獣少女に生身で挑むなんて!」
「魔獣少女の力など、お手軽すぎて味気がないですわ。まるでファーストフードみたい」

 カバンから指から先のない手袋を取り出し、イブキは片方ずつはめた。オープンフィンガーグローブを。

「手っ取り早く手に入れた力なんぞに、頼ろうとは思いません」

 グローブをはめ終えて、拳をガンガンと突き合う。

「これで勝負いたしましょう」
「バカが!」

 カラス型魔獣少女が、空から襲撃してきた。

 鋭いクチバシの攻撃を、肩に受ける。イヴキの制服が破れ、血が流れる。

「レディ・イヴ!」
「心配ご無用」

 ブラウスのリボンをほどき、肩に結ぶ。

 だが、敵の攻撃はやまない。

 クチバシや爪の攻撃を、イヴキは受け続ける。

 蹴りが顔に当たり、鼻血が吹き出す。

「生身で魔獣少女と戦うとか、お笑いもいいところだ!」

 憎い相手をいいように痛めつけることができて、魔獣少女はたいそううれしそうだ。

 イヴキは膝をつく。しかし、闘志は消えていない。

「ですが、動きは読めてきましたわ」
「なにをバ!?」

 少女の攻撃に合わせ、イヴキは翼を掴み投げ飛ばす。

 カラス型魔獣少女が、アスファルトに激突する。旋回で揚げ続けた速度と、イヴキのパワーが重なったのだ。無事では済むまい。

「くそ、今一度」

 再度飛ぼうとしたが、魔獣少女は羽ばたけなかった。翼が折れてしまったらしい。

「お返しですわ」

 動けなくなった魔獣少女に、イヴキは右フックを浴びせた。

「あらまあ。軽いジャブ程度のつもりでしたのに。口ほどにもないですわね」
「あ、が」

 変身も解け、少女はだらしなく横たわっている。

「なぜだ。治療タイプは戦闘なんて」

 起き上がろうとするが、少女は立てない。脳を揺らされたのか。再びナイフを持って変身を試みたが、ムダだった。

「そんなの、魔物たちが勝手に決めなさったルールです。わたくしは、わたくしのルールで戦ったまで」

 イヴキが、満身創痍の少女に歩み寄る。

「ひいい!」

 グローブをはめ直したイヴキの姿を前に、少女は後退りした。腰が抜けたのか、尻餅をつく。

「ああ、思い出させてしまいましたか」

 低く腰を構えて、イヴキは拳を振り上げた。

 腰を抜かしている状態の少女に、アッパーカットを見舞う。

 少女の首が、へし折れる音を聞いた。

 アスファルトに、少女は脳天から落ちていく。

「サマエル!」
「は、はい」

 イヴキを治療しようとして、サマエルがイヴキの方へと飛んできた。

「わたくしではありません。こちらを先に」
「は、はい」

 燐粉をまき、サマエルが少女を治療する。

「これでも、病院送りですよ。いくら私の能力で治しても、彼女たちの命を留める程度に過ぎません」

 骨折は治ったが、再起不能だろうとのこと。

「それでいいですわ。彼女たちも懲りたでしょうし」

 運転手に、医者を呼ぶように伝える。
 サマエルは最後に、イヴキを治療した。

「レディ・イヴ。あなた、こんな戦い方をしていては、いつか死にますよ」
「ええ、倒せるものなら倒しにいらっしゃい。もしそうなったら、わたくしは財閥を継ぐ器ではなかったまで」

 腫れたまぶたが戻り、鼻血も止まる。各部の切り傷やアザも消えた。
 だが、まだだ。まだ足りない。
 もっと、強い相手を。この乾きを癒してくれる存在はいないのか。
 
 イヴキは、彼女をここまで痛めつけた魔獣少女が気になった。

「何をしていますの? 早く運転なさい」

 イヴキが、運転手を急かす。

 彼女はもう、道に転がっている少女のことなど忘れていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました

春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。 名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。 誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。 ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、 あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。 「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」 「……もう限界だ」 私は知らなかった。 宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて―― ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。

処理中です...