12 / 49
第二章 魔獣少女と、サキュバスギャルとの熱烈な密着!
第12話 気が気じゃないお弁当タイム
しおりを挟む
どうしてうちの体育には、空手があるのか。小一時間問い詰めたい。
「あー。憂鬱だな」
昼食の用意をしながら、わたしはひとりごつ。
『女子も自身の身を守れるカラダづくり』をと、学校が採用したのだ。まあ、試合なんてめったにやらず、型稽古にとどまっているが。
『仕方あるまい、ヒトエ。社会が決めたルールだ。あきらめるんだな』
「授業に出ないあなたに言われても」
『まあ、試合をするのはオレサマじゃねえしな』
「ほらあ」
『所詮、護身術だろ? お前さんならワケねえだろうが』
たしかに、ヒトエの家は警察でさえ通う剣道場でもある。ヒトエも、剣術の心得が多少はあった。だから、バロールの剣技に順応できたといえる。
「弟ですら逃げ出すような、スパルタですよ? わたしが会得できるわけないでしょうが」
わたしは、弁当箱を開けた。
「わあ。ヒトエちゃんのお弁当、今日もかわいいね」
ユキちゃんが、わたしの弁当を見て目をきらめかせる。
わたしの弁当は、母のお手製だ。栄養に気を使ったメニューである。
「キャラ弁でもないのに、かわいい」
「そうかな? 茶色いほうが、わたしは好きなんだけど」
毎日サラダやかまぼこでは、精がつかない。魔獣少女をやっている関係上、もう少しボリュームが欲しかった。
「ぜいたくだよ、ヒトエちゃんは」
そういって、ユキちゃんはコンビニのサンドイッチにかぶりつく。ユキちゃんは両親が共働きで、お弁当を作ってもらえないのだった。夫婦仲もうまくいっていないとか。
「ごめんユキちゃん」
「いいよ。そういうつもりで言ったわけじゃないから……ん?」
わたしたちの間に、影がニュッと現れる。
正体は、御堂 マナさんだった。
「こ、こんにちは御堂さん」
「マナでいい。それより来栖、ここは空いているか?」
わたしが言うより先に、ユキちゃんが「どうぞー」と声をかける。
御堂……マナさんが、席を寄せてきた。
どういう光景に移っているのだろう。おかっぱと三つ編みメガネの地味子コンビに囲まれるギャルって。パシられたと思われているのだろうか。
「わたしも、ヒトエとお呼びください」
続いて、ユキちゃんも下の名前呼びを許可した。
「あたしの弁当、茶色くてな。カッコつかないんだ。誰かがいてくれると助かる」
苦笑いを浮かべて、マナさんは自分の弁当箱を開く。
「ウチ、バイク屋でさ。忙しくて惣菜屋のメニューばっかりなんだよ。手抜きっての?」
「そんなことないない、マナちゃん。茶色くても愛情だから」
「ありがとうな。ユキ」
「えへへ」
昼食代しかもらえていないユキちゃんが言うと、説得力がある。
「おトイレ行ってくるね」
ユキちゃんが、席を外した。
そのスキに、マナさんが声をかけてくる。
「ヒトエ、昨日の話なんだけど」
「お金ならいくらでもお渡ししますぅ。だから殺さないで」
「なんの話だ? 礼を言いたいだけだ。ちゃんと言えなかったから。ホントにありがとうな」
マナさんが、頭を下げてきた。
他の生徒が、何事かとざわつく。
これはいかん。取り繕わないと。
「そこまで言うなら、トンカツで手を打ちましょう」
「そんなんでいいのか?」
「今のわたしを癒やしてくれるのは、体に悪いモノなのです」
「わかったよ。ほら」
ホントに、マナさんはとんかつを一切れくれた。
「いただきます。はむう」
ああ、脂が全身に染み渡る。これだよ。お昼なんてこんなんでいいんだよ。どうせ眠くなるんだから、目一杯腹いっぱい食べたいっ。体に悪かろうが、添加物をモリモリ摂取したいんだ。
「ウチの母、健康マニアでして」
栄養のバランスを、母は特に気にする。
「だから、お菓子とか基本ダメで。だからユキちゃんと連れ立って、買い食いでストレスを発散しています」
「変わってんな、お前」
マナさんが、リラックスした笑顔を見せた。
こんな感じで、笑う人なんだ。
「なんのお話していたの?」
かわいいハンカチで手を拭きながら、ユキちゃんが後ろから声をかけてきた。
「早く食べないと、体育始まっちゃうよ」
「そうだった」
わたしは大急ぎで弁当を平らげる。直後、空手着に着替えた。
「今日は組手だって」
おおう。わたしの相手は、イヴキ様ではないか!
空手道場で、組手の試合が続く。
「なー。ありがとーございましたー」
組手の授業、ラスト前の時間だ。
ユキちゃんと臨也さんの試合が終わった。
「うひー。しんどいい」
白の分厚いプロテクターを外したユキちゃんが、戻ってくる。汗びっしょりで、三つ編みも崩れていた。
一方、風紀委員の臨也さんは、汗一つかいていない。呼吸も乱れず、姿勢も常時正しかった。格闘技経験者なのか?
「臨也さんって、なんかスポーツやっていたのかな?」
「しらなぁい。でも運動神経よかったね」
ゼエゼエ言いながら、ユキちゃんはわたしの質問に答えた。
「ほら、次はヒトエちゃんの番だよ」
ユキちゃんに背中をちょんと叩かれる。
対戦相手の加瀬 イヴキ様は、すでにスタンバイしていた。黒帯を、これでもかと見せつけながら。あの人は、黒帯と言っても六段くらいの実力者だ。年齢的に取れないだけで。財閥令嬢って、強くないと務まらないのか?
「わかった。行ってくるね」
正直、乗り気ではない。しかし、わたししかいないのだ。
「お待ちを」
イヴキ様が、体育教師に意見をする。
「あぶれている御堂さんとも、対戦がしたいですわ」
二対一の勝負を、イヴキ様が提案してきた。
「あー。憂鬱だな」
昼食の用意をしながら、わたしはひとりごつ。
『女子も自身の身を守れるカラダづくり』をと、学校が採用したのだ。まあ、試合なんてめったにやらず、型稽古にとどまっているが。
『仕方あるまい、ヒトエ。社会が決めたルールだ。あきらめるんだな』
「授業に出ないあなたに言われても」
『まあ、試合をするのはオレサマじゃねえしな』
「ほらあ」
『所詮、護身術だろ? お前さんならワケねえだろうが』
たしかに、ヒトエの家は警察でさえ通う剣道場でもある。ヒトエも、剣術の心得が多少はあった。だから、バロールの剣技に順応できたといえる。
「弟ですら逃げ出すような、スパルタですよ? わたしが会得できるわけないでしょうが」
わたしは、弁当箱を開けた。
「わあ。ヒトエちゃんのお弁当、今日もかわいいね」
ユキちゃんが、わたしの弁当を見て目をきらめかせる。
わたしの弁当は、母のお手製だ。栄養に気を使ったメニューである。
「キャラ弁でもないのに、かわいい」
「そうかな? 茶色いほうが、わたしは好きなんだけど」
毎日サラダやかまぼこでは、精がつかない。魔獣少女をやっている関係上、もう少しボリュームが欲しかった。
「ぜいたくだよ、ヒトエちゃんは」
そういって、ユキちゃんはコンビニのサンドイッチにかぶりつく。ユキちゃんは両親が共働きで、お弁当を作ってもらえないのだった。夫婦仲もうまくいっていないとか。
「ごめんユキちゃん」
「いいよ。そういうつもりで言ったわけじゃないから……ん?」
わたしたちの間に、影がニュッと現れる。
正体は、御堂 マナさんだった。
「こ、こんにちは御堂さん」
「マナでいい。それより来栖、ここは空いているか?」
わたしが言うより先に、ユキちゃんが「どうぞー」と声をかける。
御堂……マナさんが、席を寄せてきた。
どういう光景に移っているのだろう。おかっぱと三つ編みメガネの地味子コンビに囲まれるギャルって。パシられたと思われているのだろうか。
「わたしも、ヒトエとお呼びください」
続いて、ユキちゃんも下の名前呼びを許可した。
「あたしの弁当、茶色くてな。カッコつかないんだ。誰かがいてくれると助かる」
苦笑いを浮かべて、マナさんは自分の弁当箱を開く。
「ウチ、バイク屋でさ。忙しくて惣菜屋のメニューばっかりなんだよ。手抜きっての?」
「そんなことないない、マナちゃん。茶色くても愛情だから」
「ありがとうな。ユキ」
「えへへ」
昼食代しかもらえていないユキちゃんが言うと、説得力がある。
「おトイレ行ってくるね」
ユキちゃんが、席を外した。
そのスキに、マナさんが声をかけてくる。
「ヒトエ、昨日の話なんだけど」
「お金ならいくらでもお渡ししますぅ。だから殺さないで」
「なんの話だ? 礼を言いたいだけだ。ちゃんと言えなかったから。ホントにありがとうな」
マナさんが、頭を下げてきた。
他の生徒が、何事かとざわつく。
これはいかん。取り繕わないと。
「そこまで言うなら、トンカツで手を打ちましょう」
「そんなんでいいのか?」
「今のわたしを癒やしてくれるのは、体に悪いモノなのです」
「わかったよ。ほら」
ホントに、マナさんはとんかつを一切れくれた。
「いただきます。はむう」
ああ、脂が全身に染み渡る。これだよ。お昼なんてこんなんでいいんだよ。どうせ眠くなるんだから、目一杯腹いっぱい食べたいっ。体に悪かろうが、添加物をモリモリ摂取したいんだ。
「ウチの母、健康マニアでして」
栄養のバランスを、母は特に気にする。
「だから、お菓子とか基本ダメで。だからユキちゃんと連れ立って、買い食いでストレスを発散しています」
「変わってんな、お前」
マナさんが、リラックスした笑顔を見せた。
こんな感じで、笑う人なんだ。
「なんのお話していたの?」
かわいいハンカチで手を拭きながら、ユキちゃんが後ろから声をかけてきた。
「早く食べないと、体育始まっちゃうよ」
「そうだった」
わたしは大急ぎで弁当を平らげる。直後、空手着に着替えた。
「今日は組手だって」
おおう。わたしの相手は、イヴキ様ではないか!
空手道場で、組手の試合が続く。
「なー。ありがとーございましたー」
組手の授業、ラスト前の時間だ。
ユキちゃんと臨也さんの試合が終わった。
「うひー。しんどいい」
白の分厚いプロテクターを外したユキちゃんが、戻ってくる。汗びっしょりで、三つ編みも崩れていた。
一方、風紀委員の臨也さんは、汗一つかいていない。呼吸も乱れず、姿勢も常時正しかった。格闘技経験者なのか?
「臨也さんって、なんかスポーツやっていたのかな?」
「しらなぁい。でも運動神経よかったね」
ゼエゼエ言いながら、ユキちゃんはわたしの質問に答えた。
「ほら、次はヒトエちゃんの番だよ」
ユキちゃんに背中をちょんと叩かれる。
対戦相手の加瀬 イヴキ様は、すでにスタンバイしていた。黒帯を、これでもかと見せつけながら。あの人は、黒帯と言っても六段くらいの実力者だ。年齢的に取れないだけで。財閥令嬢って、強くないと務まらないのか?
「わかった。行ってくるね」
正直、乗り気ではない。しかし、わたししかいないのだ。
「お待ちを」
イヴキ様が、体育教師に意見をする。
「あぶれている御堂さんとも、対戦がしたいですわ」
二対一の勝負を、イヴキ様が提案してきた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました
春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。
名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。
誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。
ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、
あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。
「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」
「……もう限界だ」
私は知らなかった。
宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて――
ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる