メカクレ根暗少女が、サイクロプス魔王と契約して魔獣少女になり、魔界の頂点を目指す! でも、キャットファイトだなんて聞いてませんが!?

椎名 富比路

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第三章 今度の敵はバイク! 魔獣少女の夏

第22話 プールに現れた、二人の魔獣少女

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「イヴキ様、ありましたよ!」

 ラッシュガードのファスナーに、ブラの紐がひっかかっている。
 わたしは、イヴキ様にブラを渡した。

「ありがとうございます」

 あせあせと、イヴキ様がブラをつける。

「では、気を取り直して、遊びましょう」

 何事もなかったかのように、イヴキ様はプールに入っていく。

 イヴキ様の衣装は、黒い紐ビキニだ。布面積がきわどく、水に入っていないと男性の注目を集めてしまう。

「おうふ」
「ひゃんっ」

 流れるプールで一緒になり、イヴキ様と胸がぶつかり合った。

「失礼しましたわ、来栖クルスさん」
「いえいえ」と、わたしは返す。むしろ、眼福だ。
「いやあすごい。イヴキ様」

 おそらくイヴキ様は、このメンバーの誰よりも胸が大きい。形もよく、柔らかそうである。

「あなたほどの弾力は、ありませんわ」

 わたしの胸はボリュームのあるお椀型で、イヴキ様は柔らかいロケットおっぱいだ。ホントに飛んでいきそう。

 わたしたちは、ウォータースライダーや、特大バケツからの滝行を堪能した。

「お友だちと遊ぶなんて、夢みたいですわ」

 イヴキ様は、誰よりも楽しんでいる。

 フードコートの食事を、ごちそうしてくれた。

 母のタコスキッチンカーは、大混雑している。手伝おうかと聞いたら、「スタッフは大勢いるから遊んでこい」と返された。

「お家でも、お食事はグルテンは未使用ですの?」

 イヴキ様は、みんなと同じくお好み焼きを食べている。庶民的な味もいけるようだ。

「家ではグルテンバリバリだよ。小麦粉もお米も大好き」

 ヘルシー志向は、あくまでも「痩せたい・健康に気を使いたい、でも食べたい」人用だ。「身体に悪いモノが食べたいが、体調・健康管理面でガマンしてる人」のために、母の動画はある。

「お母様って、やはり胃袋でお父様を射止めなさったの?」

 臨也イザヤさんからの質問に、わたしはうなずいた。

「うん。警察署近くの町中華で、母は看板娘をやってたの」

 制服のまま接客してるのが、かわいかったという。

「未成年に手を出したんだな?」
「アグレッシブなんだね。ヒトエちゃんのお父さんて」

 妙な誤解を招いているぞ、父よ。

「ちゃんと成人してから手を出しました! 大学の勉強を父が母に教えてて、その縁で」

 大学で栄養士の資格を取って、父と逢瀬を重ねていた。気づいたら、わたしを身ごもっていたらしい。

「働きつつ、わたしを育ててたらしいよ。弟ができて、仕事はやめたけど」
「そこから、動画を出すように」
「うん。在宅ワークの一環」

 ホントは、キッチンカーで全国を回るのが夢だったらしい。

「でも、多少は夢がかなってよかったよ」

 午後は少し泳いでから、温泉に入ろうとなった。この市民プールは、スーパー銭湯も楽しめるのだ。

「魔獣少女が出なくて、よかったですね」

 バロール先輩に、心のなかで呼びかける。

『いないに越したことはないな。どっかで退治されているかもしれないが』

 こんな無防備なところに現れたら、ひとたまりもない。

 とかいっていたら、悲鳴が上がった。

 またイヴキ様のブラが流されたのかと思ったが、違う。客がウォータースライダーから逃げていた。

『何事だ!?』
「魔獣少女ですよ!」

 ウォータースライダーの上にいるのは、水着姿の魔獣少女である。

「我が名はクラーケン族の王、【ティアマト】! 魔獣少女の頂点に立つものだ!」

 髪からではなく、身体中から触手が生えている。よく見ると、水着が無数の触手だった。一本一本が、大型のヘビくらい太い。メデューサとはまた違った、触手の持ち主だ。

「紐水着とは、またマニアックな」
『いいから変身しろ!』
「はい先輩。ビースト・クロス!」

 物陰に隠れて、わたしは変身した。

「来たか、バロールよ! 魔獣少女を大量に狩っているそうじゃないか!」
「おうさ。オレのダチを殺したのはテメエか!?」

 バロール先輩は、友人である九尾の狐ヘカトンケイルの仇を追って戦っている。

「知らんな。だが、その友とやらのところへ送ってやろう!」

 水着型の触手が、こちらへ伸びてきた。それでいい。わたしがヘイトを稼いでいる間に、みんな逃げてくれれば。

「ちょっとアンタ! 市民たちの憩いの場になんてことを!」

 ここで、臨也さんが正義感を振るってしまった。

 彼女も、わたしと同じ考えか。

「うるさい小娘だねえ! 死ね!」

 魔獣少女ティアマトが、臨也さんへ触手を伸ばす。

『やべえ!』
「行きます!」

 わたしは、臨也さんを助けに向かった。

 だが、触手に足首を取られてしまう。

 盛大に、わたしはプールサイドで転倒した。

 引き離そうとしても、絡みついてしまっている。

 刀で触手を切り落とし、臨也さん救出へ急ぐ。

 だが、無数の触手に阻まれてしまった。

 間に合わない!?

 そのとき、一台のオンロードバイクが触手を跳ね飛ばす。バイクには、顔がついていた。あれは魔獣少女か。

 バランスを失った触手を、バイクは追撃で踏んづけていく。

「え、なに? きゃっ」

 魔獣少女は、臨也さんを小脇に抱えて後部座席に乗せた。

 オンロードに乗っていたのは、やはり魔獣少女である。

「マナさん?」

 魔獣少女は、マナさんだった。
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