メカクレ根暗少女が、サイクロプス魔王と契約して魔獣少女になり、魔界の頂点を目指す! でも、キャットファイトだなんて聞いてませんが!?

椎名 富比路

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第三章 今度の敵はバイク! 魔獣少女の夏

第23話 魔獣少女、担々麺勝負

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 馬の顔が付いたオンロードバイクに、マナさんがまたがっている。後ろに臨也イザヤさんを乗せて。

『ヒトエ、あいつは』
「ええ。姿こそ魔獣少女ですが、あの人はマナさんです」

 その姿は、まさしく魔獣少女に違いない。

「なあ!? 貴様ぁ!」

 魔獣少女ティアマトが、マナさん型魔獣少女へ触手を飛ばしてきた。

 オンロードを巧みに旋回させ、マナさんは触手を弾く。

 触手はなおも、二人に追撃してきた。

 なんと、マナさんは触手の上に乗って、滑走する。ティアマトを跳ね飛ばそうとした。

「ぎゃあ」

 直撃こそしなかったものの、ティアマトはスライダーの上から連絡する。

「後は任せたぞ、魔獣少女!」

 マナさんが、バイクで逃亡した。臨也さんを連れては、さすがに危険な動きではできないか。

「ちくしょう。我が汁なし担々麺の魅力を屋台で伝えようとしたら、『汁がなくて辛すぎる』って理由でボツにしやがって! 辛いからいいんだろうが! それに本来の担々麺は、汁なしで売られていたんだ! せめて、あのタコス屋台でも破壊してくれる!」

 なんて自分勝手な、魔獣少女なんだろう! あの触手は、担々麺をイメージしていたのか。

「おのれ、ムリヤリにでも客に食わせてくれる!」

 担々麺を、ティアマトが放出してきた。

 わたしは、すべての担々麺を口でキャッチする。

「うーん。まあまあですね。けど」
『だが、どうなんだ?』 
「この担々麺は、魔獣少女じゃあ二番手です!」
『だよな!』

 バロール先輩とわたしの人格が、入れ替わった。

「貴様、なんと言った!?」
「テメエは魔獣少女じゃ、二番目にすぎんといったのだ!」
「一番は誰だ!」
「もちろん」と、わたしは自分を親指で指す。

 わたしの姿が、魔獣少女水着バージョンになる。服装が紫のビキニに変わり、露出度が上がった。

「テメエの担々麺は、辛いだけでコクがねえ。オレサマがホンモノの担々麺を見せてやるぜ!」

 母のキッチンカーを借りて、担々麺を作り上げる。

「なんだこれは、担々麺じゃない。タコスじゃないか!?」
「おうよ。これが、担々タコス麺だ! 仕上がりは、食ってみたらわかるぜ!」

 わたしは、避難民に担々タコスを配った。

「おいしい! 中に麺が入ってる!」
「焼きそばとも違う食感がある! これは売れる!」

 ギャラリーには、大絶賛だ。

「どうだ、無理やり食わせるような料理に、価値などないんだよ!」
「ぬぬう、たしかにうまい! 辛さの中に、コクがある!」

 さすがのティアマトも、わたしの担々麺タコスを評価する。

「だが、老舗の中華料理屋の娘として、負けるワケにはいかない! 我は勝って、店を立て直すんだ!」

 ティアマトが、触手をわたしに伸ばしてきた。

「ようやく本音が出たな! やっちまえヒトエ!」
「はい。破邪・一文字斬り!」

 カウンターで衝撃波を放ち、魔獣少女を両断する。

 魔獣少女が、無害な水着姿の少女に。

「ふう」

 わたしは刀を納めて、変身を解く。

「ヒトエ!」

 マナさんたちが、わたしの元へ駆けつけてきた。

「みなさん、無事でしたか」
「うん。イヴキ様が助けてくれたよ」

 ユキちゃんの話だと、襲ってくる触手はイヴキ様がすべて叩き落としてくれたという。

「警察の方が、お見えになっています。ですが、せっかく遊びに来たんです。温泉くらいには入りたいですわよね。交渉してみますわ」

 イヴキ様は、警察の関係者と話し始める。

「OKが出ましたわ。温泉に被害が出ていないので、入って言いそうですわ。そちらで楽しみましょう」

 さ、さすがイヴキ様だ。あっさり、警察相手に話をまとめてしまうとは。

 わたしの親も警察官だが、父の立場もある。簡単に話し合いはできない。

 午後は温泉に入って、お開きに。

 それにしても、イヴキ様の裸はしばらく忘れられそうにないな。堂々とバストトップを見られるって、女でよかった。

 しかし、イヴキ様は強すぎる。
 魔獣少女でも処理が大変だったあの触手を、生身で叩き落とすなんて。
 ホントに人間だろうか?

『ヒトエ、これはもしかすると』

 わたしは、一人でうなずく。

 イヴキ様が魔獣少女である可能性は、考えておいたほうがよさそうだ。

「ヒトエ」

 マナさんに声をかけられる。

「少し話せるか?」

 わたしは、マナさんにサウナへ誘われた。
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